【完結】僕たちのアオハルは血のにおい ～クラウディ・ヘヴン〜

クリムゾン・ヘル

Xmas

「真姫さん！」

　振り返るとそこには龍哉が居た。


    ゴールデンウイーク以来、ライブの観客に顔見知りが増えた。


    打ち上げの待ち合わせ場所に向かう真姫の元に、自転車を押しつつ龍哉がやって来た。

    2人は並んで歩いた。

「本当、いいライブでしたね。超感動しました」

「ありがとう。ステージの上からも皆居るの判ったわ」

　ふと見た空には星。晴れているから今夜は冷えるだろう。
　真姫は言った。

「皇介から聞いたけど、ご飯一緒に来ないの？」

「明後日、塾のテストなので。今日は充分息抜きしたし、残念だけどこれから帰ります」

「そうなの…。受験生は大変ね」


　龍哉が歩みを止める。

「…これ、俺の独り言なんですけど」

　龍哉は優しく笑った。

「俺、真姫さんが好きです」

　真姫が目を丸くすると、龍哉は自転車に跨った。

「返事は…後からでいいので」


　真姫はその後ろ姿を、ただ見る事しか出来なかった。