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08最終話
しおりを挟む『わぁ~、悠誠さんこの部屋広いねっ!』
「うん、将来の事を考えて4LDKにして良かったね」
あれから数ヶ月後、以前の部屋より大きなマンションを買った私達はウキウキしながら部屋を見渡す。
『ここにソファーを置いて、あっちに冷蔵庫を…』
「ははっ、クリスは部屋の事で夢中だね。引っ越しが出来て良かった。家電はクリスが懸賞で結構当ててくれたから助かったよ」
『いえいえ、とんでもないです。でもマンションを一括払いなんてして大丈夫ですか?』
「うん、愛する人の為にならお金も惜しまないよ。お金くらいでクリスが喜んでくれるのなら…俺は嬉しいな」
『悠誠さん変わり者って言われません?』
「ふふ、俺はクリスにだけ盲目的になるみたいだね」
『…悠誠さん、私の為に湯水の様にお金を使いそうで心配です』
「それがお望みならいくらでも出してあげるよ?クリスの為だったら死にもの狂いで働くし」
『それは…困ります。私も少しは出したいです』
「大丈夫、クリスには身体と愛で払って貰うから。また有給が取れたら連続エッチ漬けの日々を送ろうか。むしろ定期的に…」
突然とんでもない事を言う悠誠さんに私は焦った。
『ゆ、悠誠さんっ。その話は置いておきましょうっ!それより引っ越し屋さん来ちゃいますよ』
「あぁ、そうだったね。早くしないと来ちゃうからイチャイチャを始めようか、幸いお風呂はもう使えるみたいだしね」
悠誠さんは私をその場で押し倒すとにっこり微笑む。
『あ、あの悠誠さん?』
「愛しているクリス。病めるときも健やかなる時も俺は君を愛する。そして死んでも探し出してまた愛を囁くよ」
『そ、それって…』
「指輪は用意しているけど、もっとムードのある所で渡したいからもう少し待ってね?」
『…っ!』
涙が溢れて来ると悠誠さんが笑って舌で舐めとった。
「返事は聞かせてくれる?」
『私も悠誠さんと一生を終えて生まれ変わってもそばに居たいですっ』
「そう、これでお嬢さんは全て俺のものになったね。はぁ~緊張したっ」
突然ため息をつく悠誠さんに戸惑いを隠せないでいると苦笑いをして私を見る。
「万が一振られたらどうしようかと思ったよ。顔には出さなかったけど結構緊張をした」
『っぷ』
「こら、クリス笑い事じゃないよ。俺にとっては」
『だって、悠誠さんがそんな風に思っていたなんて』
私は微笑むと悠誠さんの唇に軽く口づけをした。
『私も悠誠さんの事を病めるときも健やかなる時も愛しています』
その言葉に悠誠さんとって合図になった様で引っ越し業者が来る直前まで愛されました。
雨の日に拾われた優しい中年男性は今では婚約者となったのです。
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