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☆酒好き追放聖女×俺様系伝説の吸血鬼
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「これはこれは聖女様! お世話になります、にゃー」
冒険者ギルドへ行ったわたしを出迎えたのは、ショートカットの白髪が綺麗な、猫の獣人の女性職員だ。可愛くて小柄な彼女は、『需要』と言うものを理解しているのか、語尾に、にゃー、とつける。多分、それはあくまで『設定』のようで、口癖ではないもよう。たまにつけ忘れているし。
「おや、聖女様、そちらの方は誰ですか? にゃー」
「わたしの知り合い。大規模討伐に参加してくれるんだって」
「それはありがたい! こちらの参加名簿にお名前を……あ、文字、書けますかにゃ?」
シルムは「問題ない!」と名簿を受け取り、名前を書いていた。……こいつ、意外と綺麗な字を書くなあ。
ちなみに、大規模討伐は冒険者以外でも参加出来る。普段は傭兵の人だったり、王城から騎士団の人間が来ることもある。ただ、主催は冒険者ギルドなので、冒険者として参加する方が報酬がいいのだが。
シルムはさらっと名前を書くと、名簿を女性職員に渡した。
「はーい、お預かりしますにゃー。 えーっと……シルム……しっ、シルム・ヴァカニル!? 嘘でしょ!?」
女性職員は、すっかり『設定』を忘れて、目を丸くしている。女性職員の叫びが、他の参加者にも届いたようで、かなりざわざわとしている。
そのざわめきはどれも、シルムの名前を聞いて驚いているようなものが多かった。ざわざわしている話し声は聞き取りにくいが、時折、そんなような声が聞こえるのだ。
……シルムって、そんなに凄いの?
わたしは思わず彼の顔を見てしまう。
わたしの視線に気が付いたシルムが、ふんっ、と鼻を鳴らした。
「当然だ、あのシルム・ヴァカニルだぞ。この反応が普通なんだ」
「ふーん」
わたしにとっては、わたしにいい様にされてべそべそ泣きながら血を吸っている可愛くて可哀想な男、という印象しかないのだが、そうやら本当に有名人らしい。
「凄い! これなら、この大規模討伐も安心ね! ……あ、安心ですにゃー!」
きらきらとした目でシルムを見る女性職員を見ると、不思議な気持ちになる。本当に強いのか……?
まあ、それは大規模討伐が始まってみれば分かることだ。
わたしはそう思いながら、女性職員から名簿を受け取って、名前を書き込んだ。
ちなみに、わたしの方の名前も少しは知れ渡っているようで、マシバ・パトリッチェ、という名前を見られた後、少し同情されたような目で見られた。
それを見たシルムに、また鼻で笑われたので、むっとして、足を踏み抜いてしまった。
冒険者ギルドへ行ったわたしを出迎えたのは、ショートカットの白髪が綺麗な、猫の獣人の女性職員だ。可愛くて小柄な彼女は、『需要』と言うものを理解しているのか、語尾に、にゃー、とつける。多分、それはあくまで『設定』のようで、口癖ではないもよう。たまにつけ忘れているし。
「おや、聖女様、そちらの方は誰ですか? にゃー」
「わたしの知り合い。大規模討伐に参加してくれるんだって」
「それはありがたい! こちらの参加名簿にお名前を……あ、文字、書けますかにゃ?」
シルムは「問題ない!」と名簿を受け取り、名前を書いていた。……こいつ、意外と綺麗な字を書くなあ。
ちなみに、大規模討伐は冒険者以外でも参加出来る。普段は傭兵の人だったり、王城から騎士団の人間が来ることもある。ただ、主催は冒険者ギルドなので、冒険者として参加する方が報酬がいいのだが。
シルムはさらっと名前を書くと、名簿を女性職員に渡した。
「はーい、お預かりしますにゃー。 えーっと……シルム……しっ、シルム・ヴァカニル!? 嘘でしょ!?」
女性職員は、すっかり『設定』を忘れて、目を丸くしている。女性職員の叫びが、他の参加者にも届いたようで、かなりざわざわとしている。
そのざわめきはどれも、シルムの名前を聞いて驚いているようなものが多かった。ざわざわしている話し声は聞き取りにくいが、時折、そんなような声が聞こえるのだ。
……シルムって、そんなに凄いの?
わたしは思わず彼の顔を見てしまう。
わたしの視線に気が付いたシルムが、ふんっ、と鼻を鳴らした。
「当然だ、あのシルム・ヴァカニルだぞ。この反応が普通なんだ」
「ふーん」
わたしにとっては、わたしにいい様にされてべそべそ泣きながら血を吸っている可愛くて可哀想な男、という印象しかないのだが、そうやら本当に有名人らしい。
「凄い! これなら、この大規模討伐も安心ね! ……あ、安心ですにゃー!」
きらきらとした目でシルムを見る女性職員を見ると、不思議な気持ちになる。本当に強いのか……?
まあ、それは大規模討伐が始まってみれば分かることだ。
わたしはそう思いながら、女性職員から名簿を受け取って、名前を書き込んだ。
ちなみに、わたしの方の名前も少しは知れ渡っているようで、マシバ・パトリッチェ、という名前を見られた後、少し同情されたような目で見られた。
それを見たシルムに、また鼻で笑われたので、むっとして、足を踏み抜いてしまった。
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