美しき吸血鬼は聖女に跪く

朝飯膳

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☆酒好き追放聖女×俺様系伝説の吸血鬼

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 部屋に入り、扉を閉めながら、わたしは下唇をなぞる。前回、手を切ったのと同じような要領で、唇を切った。
 ぷつ、と皮が弾けるような感覚と同時に、血の味が口の中に広がる。前回よりは上手くいったようで、深く傷がついた様子はない。

「シルム」

 名前を呼ぶと、シルムが振り返る。多少、シルムの方がわたしより身長が高いものの、背伸びをすれば、彼の唇に届く。

「――っ!」

 血を混ぜた口づけに、シルムの肩が跳ねた。わたしは、シルムの上唇を食むようにして、甘く噛み、彼の口にわたしの下唇は触れるようにする。
 ある程度、血が混じった唾液が彼の口の中に入ったであろう頃に、わたしは舌を滑り込ませる。

「ん、んぅ、はっ……うぅっ」

 シルムの舌へと、血を刷り込むように絡ませると、どんどんと彼が膝を曲げていくのが分かる。彼の腰に腕を回して引き寄せるも、ついにシルムは膝を床についた。
 流石にここまで来るとキスしにくいのだが、わたしに必死に縋りつきながら口に吸い付き、緩く腰を動かすシルムが可愛くて、つい、もっと、とキスを続けてしまう。

「――おっと」

 パッと唇が離れ、がくんとシルムの体が揺れたかと思うと、彼は完全に床へとへたり込んでしまった。
 はあはあと息を荒げつつ、時折、甘い声がシルムの口からこぼれる。

 ぼんやりとわたしを見上げるシルムに、わたしは笑いかける。自分でも、意地の悪い笑み、というか、まるで悪役のように、にんまりと笑っている自覚があった。
 シルムのあごを、くい、と人差し指で軽く持ち上げる。

「シルム、どこから飲みたい? 口でも、首でも、好きなところから飲んでもいいわよ。ご褒美なんだから」

 わたしを見上げるシルムが、息を整えながら、ごくり、と唾を飲み込んだ。

「ふともも――太ももが、いい」

 シルムは、熱に浮かされるように言った。

 太もも、とは。思っても見ない場所に、一瞬、キョトンとするが、確かに内腿は柔らかいし、噛みつきやすいんだろう。
 わたしはベッドに腰かけ、スカートをめくり、ぱちりとガーターベルトを外した。普段は滅多に人前に出ない部位が、晒される。

「シルム、お好きにどうぞ」

 そう誘ってやると、シルムは、ずりずりとへたり込んだ体勢のまま、こちらに近寄った。わたしはシルムが飲みやすいように、少し足を開いてやる。
 恥ずかしい体勢ではあるけれど、それ以上に、わたしの血を飲むために、這っているシルムの姿に興奮していた。

 わざとじらすように、ゆっくりと、内腿に傷を入れる。ゆっくり、ゆっくり。
 わたしの指が、動く様を、シルムは見入っている。

 いい感じに傷がつき、わたしの指が離れると、シルムは、ぱくり、とわたしの太ももに噛みついた。
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