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☆酒好き追放聖女×俺様系伝説の吸血鬼
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前言撤回である。誰だ、少しは暇があるかな、なんて言った奴。わたしだけど。
ノアトに到着し、王と王子に到着を報告してから、ほぼノンストップで働き詰めである。あっちに派遣され、こっちに呼び出され。
聖花ちゃんが【黒】の浄化に当たっているから、それ系統の仕事は一切しなくていいとはいえ、これは酷い。少し街に出る時間があれば、どころか、城に戻って客室のベッドで寝られればいいほうだ。
これで、おおよそ五、六年働かなくてもいいだけの報酬を貰うのか。……もっとふっかけて置けばよかった。向こうはよっぽど困っていたのか、わたしが思うぼったくり価格でも、二つ返事で受け入れた。
わたしは三日ぶりの王宮のソファの上に倒れ込みながら、かなりここへ来たことを後悔していた。せめてあと倍、報酬を吊り上げていたら……。
まだお風呂に入っていないのに、疲れがどっと来て、このまま眠ってしまいたくなる。
昨日は街の外れの病院のベッドで、患者用のベッドを使うわけにも行かないので、医者の仮眠用ベッドを借りて、わたしは眠った。ちなみに、仮眠用、と言うだけあって、深く眠らないようにわざとそう作っているのか、単純に小さな病院だから予算がないのか、すごく固い、木箱の上にシーツをひいているのかって聞きたくなるような悲惨なベッドだった。
その前は、移動の馬車の中で眠るしかなかったし、さらにその前は、人外討伐の応援に行っていたので野宿だった。
どれも最悪な寝心地で、ソファではあるが、こちらの方が断然気持ちよく寝られそうだった。
――コンコン。
ノックするような音に、わたしの意識は再浮上する。危ない、寝るところだった。
重たい体をなんとか動かし、扉の方を見るが――扉を叩いたような音だったか?
なんか違う気がする、と首を傾げると、もう一度、ノックする音が。
違う、扉じゃなくて窓だ。
ようやく音の出どころが分かり、よたよたと疲れた体に鞭を打って窓辺に向かう。この客間に小窓はなくて、バルコニーへ繋がる大きい窓があるだけだ。
窓辺に近付くと、人影があるのが分かる。一瞬、ぎくりと体がこわばったが、バルコニーに立っている人物が誰か分かれば、警戒心はすっとなくなった。
立っていたのはシルムだった。夜で暗いからか、うっすらと両目が光っている。わたしのいる部屋は灯りがついているから、そこまで目立つわけでもないけど。
それにしても、よく王宮の中に入ってこれたな……。警備とか、どうなっているんだろう。
そんなことを思いながら、わたしはバルコニーへと続く窓を開けた。
ノアトに到着し、王と王子に到着を報告してから、ほぼノンストップで働き詰めである。あっちに派遣され、こっちに呼び出され。
聖花ちゃんが【黒】の浄化に当たっているから、それ系統の仕事は一切しなくていいとはいえ、これは酷い。少し街に出る時間があれば、どころか、城に戻って客室のベッドで寝られればいいほうだ。
これで、おおよそ五、六年働かなくてもいいだけの報酬を貰うのか。……もっとふっかけて置けばよかった。向こうはよっぽど困っていたのか、わたしが思うぼったくり価格でも、二つ返事で受け入れた。
わたしは三日ぶりの王宮のソファの上に倒れ込みながら、かなりここへ来たことを後悔していた。せめてあと倍、報酬を吊り上げていたら……。
まだお風呂に入っていないのに、疲れがどっと来て、このまま眠ってしまいたくなる。
昨日は街の外れの病院のベッドで、患者用のベッドを使うわけにも行かないので、医者の仮眠用ベッドを借りて、わたしは眠った。ちなみに、仮眠用、と言うだけあって、深く眠らないようにわざとそう作っているのか、単純に小さな病院だから予算がないのか、すごく固い、木箱の上にシーツをひいているのかって聞きたくなるような悲惨なベッドだった。
その前は、移動の馬車の中で眠るしかなかったし、さらにその前は、人外討伐の応援に行っていたので野宿だった。
どれも最悪な寝心地で、ソファではあるが、こちらの方が断然気持ちよく寝られそうだった。
――コンコン。
ノックするような音に、わたしの意識は再浮上する。危ない、寝るところだった。
重たい体をなんとか動かし、扉の方を見るが――扉を叩いたような音だったか?
なんか違う気がする、と首を傾げると、もう一度、ノックする音が。
違う、扉じゃなくて窓だ。
ようやく音の出どころが分かり、よたよたと疲れた体に鞭を打って窓辺に向かう。この客間に小窓はなくて、バルコニーへ繋がる大きい窓があるだけだ。
窓辺に近付くと、人影があるのが分かる。一瞬、ぎくりと体がこわばったが、バルコニーに立っている人物が誰か分かれば、警戒心はすっとなくなった。
立っていたのはシルムだった。夜で暗いからか、うっすらと両目が光っている。わたしのいる部屋は灯りがついているから、そこまで目立つわけでもないけど。
それにしても、よく王宮の中に入ってこれたな……。警備とか、どうなっているんだろう。
そんなことを思いながら、わたしはバルコニーへと続く窓を開けた。
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