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76話 裸の付き合い。男の。

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「ほお、これはいいものだな。魔族領にいた時には縁がなかったのだが、惜しいことをした」


お温泉につかりながらクラウスさんがつぶやいた。


交渉は汗を流してからにしましょうと提案をしたはいいものの、
なぜかクラウスさんと一緒にお風呂にはいる事になってしまっています。


本当になんでだよ。


まだ初対面なのに。
しかもクラウスさんは王国の王様なんだよ?


もっとほら、いろいろ手順を踏んで会うモノではないのだろうか?


まあ、手順とかいわれても分からないから、
ノリが軽い方が助かると言えば助かるのだけど。


で、肝心のクラウスさんは温泉を気に入ってくれているようだ。
体を洗ってから湯船につかるなど、手取足取り教えながらであったけれど、
とても気持ち良さそうだ。


温泉好きに悪い人はいないだろう。
この人はきっと話が通じる人だと思う。
たまあに例外いるけど。


クラウスさんはしばらく温泉を堪能した後、
送り出した騎士団の不手際を謝罪してくれた。


問題を起こした彼は、適切な処分をくだし、
村に賠償もするとのことだった。


温泉で正座してるよこの人。


でもきちんとした対応をしてもらえるなら、
こちらとしてもこれ以上いうことはない。


小さなことでいがみ合うより、
協力しあったほうがみんな幸せになれるから、
この件はもう水にながそうと思う。


そうしてポツポツとクラウスさんと話していると、


「タクマくん。ここだけの話だが、王国にくるつもりはないか?
魔族領との契約を教えてもらえれば、それ以上だそう。悪い話ではないはずだ」


とひっそり提案されてしまった。


クラウスさんはどうやら本気で言っているようだ。
少し心臓がドクン!と鳴ったが、落ちついて
その提案は飲めないです、と断った。


魅力的な提案ではあった。
魔族領とくらべ王国は村に近い場所にある。


これから積極的に交流を深めていくのならば、
クラウスさんの提案をのんだ方が特なのかもしれない。


でも、魔族領のみなさんはこの村のために
色々なモノを与えてくれているので、その思いを裏切りたくはなかった。


それに利益だけで動いていると誤解されるのも嫌だからね。


クラウスさんの機嫌を損ねたかと思ったが、
彼は僕の返答を聞いて、すまぬ私が馬鹿だったと大きな声で笑っていた。



そしてでは交易だけでもしてもらえるか?
と新たに提案をされたのでこちらは快く引き受けることになるのであった。


ただ一つだけ懸念があるとすれば猫人族のみなさんが
王国でどのような扱いを受けるかであった。


村長の話では猫人族は、あまりよい扱いをうけなかったから、
こんな辺境の森に隠れ住んでいたわけで、王国と交易を
はじめて人間がこの村に来るようになれば再び同じ問題が
おこる可能性がある。


それだけは絶対避けたかった。


猫人族のみなさんが不幸になるなら、
どれだけ利益になろうと交易を始める気はない。


そういうとクラウスさんは真剣な表情をしながら、
確かに差別は存在しているが、すでに王国ではないこと。


交易を行う際は、王国が許可をした人間のみ
村へ入れることにするのでどうだ?と譲歩をしてくれた。


とりあえずはそれで様子を見て、
問題がなさそうなら拡大していこうということで話がきまった。


温泉から上がると、クラウスさんと王国騎士団の皆さんは一度お帰りになった。
また近いうちに正式な使者をこの村に送ってもらい交流を始めるつもりだ。


まあいろいろあったけど、なんとかなったのではないでしょうか。
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