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「もういいや、僕たち離婚しよう」
それは夜は明け始めた時の事だった。
突然、旦那が告げる。
あきれたように、ため息をつきながら。
「なに、その言い方」
「何って、君がグチグチうるさいからだろうが!」
旦那が声を荒げる。
まるで被害者であるかのように。
とんだ被害妄想だと思った。
妹と浮気したのは、あなたの方なのに。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「愛してるよ、リリィ」
「私もよ、ガルシア」
たまたま仕事が早く終わり、いつもより速く家に帰ったとき。
旦那と妹が抱き合っているのを見てしまった。
濃厚なキスをして。
人様の家を我が物顔で使っている。
ガルシアは、あまり働かない人だった。
いつもソファーでの横になっては、ダラダラとしているだけ。
働いて、お金を稼ぐのはいつも私だ。
この家だって、私が買ったモノだ。
必死に働いて、食べたいものを我慢して、
貯めたお金で購入した家。
そんな家で、こいつらは一体何をしているのだ。
扉を開けて部屋に入る。
二人がギョッとした顔をした。
私が来ることを考えていなかったという顔。
「ルディ!?きょ、きょうは仕事で遅くナるんじゃ!?」
「ええ、その予定だったよ。でも早く終わったの」
低めの声で告げる。
「で?これはどういう状況?」
わざわざ聞かなくとも分かりはする。
浮気現場だ。
ガルシアは妹と浮気している。
だが、わざと問い詰めてやった。
自分たちの口から、言わせてやるように。
「ち、違います、勘違いです、お姉様」
妹のリリィが泣きながらガルシアから離れた。
違うと必死に叫んでいる。
まだ浮気などとも言っていないにも関わらず。
何が、どう違うと言うのか。
自覚ありの完全黒ではないか。
「へえ?じゃあ何をしていたの?」
「えっと、それは、その・・・」
さらに問い詰める。
妹は口をモゴモゴとさせる。
釈然としない。
はあ、とため息をつく。
妹の悪いくせだ。
リリィは昔から容姿が良かった。
だから厳しく育てられた私と違い、命一杯両親に甘やかされていた。
見ためと愛想だけはいい女。
それが彼女の正体だ。
学生時代も、私が彼氏を作ろうとすると、
リリィはすぐに気づいて、
「ごめ~ん、お姉ちゃんの彼氏、とっちゃった♥」
と誠意もない態度と言葉で謝ってきた。
彼氏も、表面上は魅力的な妹に、骨抜きにされている。
そしてしばらくたって、妹の本性を知り、復縁を申し込んでくるまでが
デフォルトであるのだ。
「もういい」
あきれながら二人を見つめる。
「リリィ、あなたは今すぐ出て行って。そしてガルシア、椅子に座って」
「でも、」
「でもじゃない。あなたは出て行って」
「・・・はい」
妹を無理矢理追い出す。
萎縮し小さくなっている旦那を椅子に座らせる。
さて、どうしてやろうか。
それは夜は明け始めた時の事だった。
突然、旦那が告げる。
あきれたように、ため息をつきながら。
「なに、その言い方」
「何って、君がグチグチうるさいからだろうが!」
旦那が声を荒げる。
まるで被害者であるかのように。
とんだ被害妄想だと思った。
妹と浮気したのは、あなたの方なのに。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「愛してるよ、リリィ」
「私もよ、ガルシア」
たまたま仕事が早く終わり、いつもより速く家に帰ったとき。
旦那と妹が抱き合っているのを見てしまった。
濃厚なキスをして。
人様の家を我が物顔で使っている。
ガルシアは、あまり働かない人だった。
いつもソファーでの横になっては、ダラダラとしているだけ。
働いて、お金を稼ぐのはいつも私だ。
この家だって、私が買ったモノだ。
必死に働いて、食べたいものを我慢して、
貯めたお金で購入した家。
そんな家で、こいつらは一体何をしているのだ。
扉を開けて部屋に入る。
二人がギョッとした顔をした。
私が来ることを考えていなかったという顔。
「ルディ!?きょ、きょうは仕事で遅くナるんじゃ!?」
「ええ、その予定だったよ。でも早く終わったの」
低めの声で告げる。
「で?これはどういう状況?」
わざわざ聞かなくとも分かりはする。
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ガルシアは妹と浮気している。
だが、わざと問い詰めてやった。
自分たちの口から、言わせてやるように。
「ち、違います、勘違いです、お姉様」
妹のリリィが泣きながらガルシアから離れた。
違うと必死に叫んでいる。
まだ浮気などとも言っていないにも関わらず。
何が、どう違うと言うのか。
自覚ありの完全黒ではないか。
「へえ?じゃあ何をしていたの?」
「えっと、それは、その・・・」
さらに問い詰める。
妹は口をモゴモゴとさせる。
釈然としない。
はあ、とため息をつく。
妹の悪いくせだ。
リリィは昔から容姿が良かった。
だから厳しく育てられた私と違い、命一杯両親に甘やかされていた。
見ためと愛想だけはいい女。
それが彼女の正体だ。
学生時代も、私が彼氏を作ろうとすると、
リリィはすぐに気づいて、
「ごめ~ん、お姉ちゃんの彼氏、とっちゃった♥」
と誠意もない態度と言葉で謝ってきた。
彼氏も、表面上は魅力的な妹に、骨抜きにされている。
そしてしばらくたって、妹の本性を知り、復縁を申し込んでくるまでが
デフォルトであるのだ。
「もういい」
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「リリィ、あなたは今すぐ出て行って。そしてガルシア、椅子に座って」
「でも、」
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「・・・はい」
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萎縮し小さくなっている旦那を椅子に座らせる。
さて、どうしてやろうか。
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