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3話

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「で?私の所にきたって分け?」


「そう!しばらく泊めて!」


家から追い出された私は親友の家に身を寄せる。
事前に彼女には連絡をいれていた。


映像を見て、一日時間を空けたのはこのためだ。
追い出されてもいいように準備をしていたのだ。


「目に物見せてやる!」


親友宅でいろいろとモノを広げる。
浮気の証拠である動画は、すでにコピーを作ってある。

取られたらまずい通帳や貴金属も移動済みだ。


あの家には、もう何もない。


働いていない旦那だ。
これからの生活費としてきっと私の資産を当てにしていたのだろう。


先回りして対策してやった。
ざまあみろ。


「あんまり危ないことはしないでよ」



親友は明日速いからと先に寝た。
肝心の私は夜遅くまで起きている。



離婚は確定だ。
だが、それだけでは物足りない。

2度も裏切られ、暴力まで振われたのだ。
誰が簡単にすませてやるものか。


「いひひひひひひ!」


悪魔のような笑い声をだしながら、準備をする。
そしてうるさいと親友に叱られるのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「おい!離婚するんだ!慰謝料を寄こせ!」


数日後。


想定内のことと、想定外のことが同時に起きた。


怒った旦那が会社に突撃してきたのだ。


そろそろお金が尽きる頃だとは思ってた。
だから会社から家までは親友とともに移動していた。


だから問題無いと思ったのに。


まさか会社自体に突撃してくるとは。
上司や同期達がとても驚いている。


ただ、旦那の話はすでにしていたので、こちらの味方でいてくれる。


旦那自体も、警備員さんが追い払ってくれた。
営業妨害で訴えてもいいと上司が旦那に伝えてくれる。


さすがにもう突撃訪問はしてこないだろう。


ただものすごく怒っていたので、一人で会うのは危険だ。
絶対に一人で帰らないようにしようと思った。


親友の家へと戻る。


落ち着いて、旦那の事を思い出していく。
そうすると、なんだかひどく笑えてきた。


「おい!離婚するんだ!慰謝料を寄こせ!」


あの人は、自分が慰謝料をもらえるなどと思っているのだ。
どうしてそのような考えに至るのが。


実に滑稽で笑えてくる。


「あはははははは!」


腹を抱えて笑う。


「悪魔だ。悪魔が笑っておる」


親友が嘆いた。
私はそんな親友の嘆きにすら気づかず、
ただ笑い続けるのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ねえ、ガルシア、まだ離婚してくれないの~」


「大丈夫、もうすぐだよ。たんまり慰謝料も入ってくる。
そうしたらおいしいものでも食べようか」


「え~、リリィ、うれし~」


ルディが建てた家。

今、その家はガルシアとリリィの愛の巣となっていた。


すでに二人に貯金はない。


彼らは当てにしていた。
けれどどちらも気にしてはいない。


ルディはかなりのお金を持っている。
そして離婚すれば、その半分くらいは手に入るのだ。


しばらくは安泰だろ。
本気で、そのように考えていた。


「でも、通帳がないのは予想外だったよ」


ガルシアは不満げだ。


本来はもっとお金が手に入る予定であった。


ルディを家から追い出し。
家のお金を自分の懐に移して。


慰謝料もふんだくってやる計画だったというのに


家にはお金はほとんどなかった。
そのせいで、今は手持ちがほとんど無い。


速く慰謝料が入ってこなければ、
すこしマズイ状況であった



「ね~、難しい事考えないでよ。遊ぼ」


「ん~、それもそうだな」


ガルシアはリリィを押し倒す。
熱い抱擁を交わす。


自身らの待ち受ける未来も知らずに。
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