【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命

文字の大きさ
20 / 56

第20話 アクロバットダンスのお相手!?

しおりを挟む
 ベストウォーリアートーナメント。
 長い横文字でわかりにくいかもしれないが、これはユピテル英才学園で1番大きな大会のことだ。

 有名な名門校とだけあって、その大会には多くの国民が訪れる。

 オリンピックみたいなものだと思ってくれた方がわかりやすいだろう。

「おもしれぇじゃねーか! オレが1位になってやる! ジャックのはるか上を──」

「静粛に」

 叫び出したブレイズを、先生が一瞬で黙らせる。
 厳しい。

 俺たちの担任はこの学園の中でも厳しい分類に入る。

 その分、さっきみたいに「感心」されると達成感があるのも事実。
 実力のある先生で、ほとんどのクラスメイトが尊敬している存在だ。

吾輩わがはいが話している途中だ、バーニング。口を挟むでない。その意気込みはよいが、礼儀も学べ。大会では礼儀正しく、ウォーリアーシップに従って戦ってもらう」

 ウォーリアーシップっていうのは、戦士の心得。
 スポーツ選手のスポーツマンシップと同じだ。

「質問をしてもよろしいでしょうか、イーグルアイ先生」

 穏やかかつ、しなやかな声が聞こえた。

 推薦入学者で、今回のテストでも上位、絶世の美女とも称されるヴィーナス・エレガントだ。
 まっすぐ、そして優雅に挙手している。

 先生が頷いた。

「よろしい」

「トーナメントが開催されるのはまだまだ先のことではないのでしょうか? わたくし、数年前から毎年観客として観に来ていたのですが、毎年冬に開催されるはずではないかと……」

 今は夏。

 確かに冬に向けて今から準備するのは、さすがに早過ぎるような気もする。

「効果的な質問だ。例年はエレガントの指摘の通り、冬に行っている。しかしながら、今年は例外的だ。冬にはまた別のイベントを用意している。そのため、この大会が夏開催へと変更になったのだ」

「そういうことだったのですね。ありがとうございます」

 さすがはエレガント。
 聞いていて気持ちがいい。

「大会はおよそ1か月後の8月28日。各自訓練に励み、最高の結果を出してもらいたい。そして──」

 イーグルアイ先生の目が光る。

「──吾輩のクラスであるからには、優秀な結果、観客を動かす戦いを見せてほしい。ホームルームは以上だ。提出物がある者はただちに持ってくるように。吾輩はゆっくり待ってあげられるほど暇ではない」


 ***


 授業開始の鐘が鳴る。
 友達と楽しく話していた生徒たちも、この音で授業モードに切り替わった。

 最初の授業はアクロバット学。

 普段はアクロバット室でするのに、今日は教室にいたままで、という指示を受けていた。
 そう、アクロバット教師のウィンド・タイフーン先生から。

「試験はいい成績だったようだね。ボクも剣術とアクロバットの監督をして、キミたちの風を感じたよ。ゴーっと来る風だった!」

 相変わらずマーリーンが嬉しそうにしている。

 タイフーン先生が教室に入ってきた瞬間、身の毛がよだつほどの風が教室全体を駆け抜けた。
 先生のテンションが上がっているということだ。

「特に圧倒的ナンバー1、ジャックくんには感心した。これからは授業でも、その実力を見せてくれよ」
 
 そういえばそうだ。

 俺は今まで授業では手を抜いていた。
 というと少し聞こえが悪いが、本気でやらなかったのは本当だ。

 目立つことに興味はなかったし、自分の秘密について悟られないためにはそれもまた必要だろうと思っていたからだ。

 だが、それは自分に対する言いわけだったと知った。
 甘えだった。

 全力で俺に挑んでくるライバルがいるんだったら、それに応えることが礼儀ってことだ。

「はい」

 俺ははっきりと、そう返事をした。

「うんうん、それでこそトップ! 頼もしいねぇ。じゃあ、ジャックくんに拍手!」

 タイフーン先生のひとことで、クラスのみんなからの拍手を浴びることになった。

 今回、まさかのブレイズも拍手している。
 眉間にしわを寄せているものの、納得している拍手らしい。

 フロスト(本人がフロストと呼ぶように言ってきた)にいたっては尊敬の目を輝かせながら、誰よりも大きな拍手をしていた。

 で、ルミナス。
 彼も少し笑顔は引きつっていたが、ここで拍手しなければ周囲から浮いてしまうことを考えたのか、小さく拍手していた。

「ひゅーひゅー、ジャック、やるぜ!」

 ゲイルはこの通り。

 相変わらず騒がしい。

「なかなか気合いのこもった拍手じゃないか。いい風だ! そして、ボクは言わなくてはならない。この風を止めることにはなるけど、伝えたくてはならないんだ……」

 タイフーン先生の声がいつもより落ち着いた。
 これは何か深刻な伝達があることの予兆。

 騒がしかったクラスが、一気に緊張感のあるクラスへと変わる。

 そんなに深刻なことなのか?
 タイフーン先生の心の中はまるで読めない。真剣な顔してジョークを言うこともあるし、笑いながら大事な話をするときもある。だが、この落ち着きはかなり重要な話であることに間違いは──。

「……ベストウォーリアートーナメントでの、アクロバットダンスのパートナーを決めてもらうことになった! これだよ! だから今回の授業は教室なんだ! パートナーは必ず異性と組むこと! 青春しよう、勉強ばっかりじゃなくてさ!」

 クラスメイトのほぼ全員が発狂した。

 異性とパートナーだと!?

 喜んでいる者もいれば、絶望している者も、参加する意欲なんてなさそうな者もいる。

「最高だよ! 女子とイチャイチャできるよ! ヴィーナス様と手をつなぎたいよー!」

 誰のセリフかはわかるはずだ。
 
「オーマイガー、これが──これが何より楽しみだったんだーーーーー!」

「あんだと? オレにへらへら遊んでる暇ぁねーんだよ!」

 はぁ。
 タイフーン先生、やってくれたな……。

「そうそう、大事なことだけど、これ、絶対参加しないと単位が取れないらしい。さらには、素晴らしいアクロバットダンスをした3ペア──つまり6名には、トーナメント本戦での対戦相手選択権が与えられる! ちなみに1回だけ。やっぱりいい風だ、このクラスは!」

「やっぱりやってやろーじゃねーか! やるからにはオレが1位になってやる!」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

処理中です...