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第43話 傷だらけの審査員と暗いルミナス
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前夜祭──クラス代表になった生徒以外は、男女のペアで楽しく気楽に踊る。
リリーとペアを組んで臨んだクラス代表を決めるためのオーディション。
何度も失敗を繰り返しながらも、代表の座を勝ち取るために完璧なアクロバットダンスを披露することができた。
ゲイルとハローちゃんのふたりは、その最高の演技までも超えてきたんだ。
緊張するべきはゲイルたちなのに、なぜか俺の心臓はばくばくいっている。
クラスの評価は彼らに託した。
エリートクラスの実力を、しっかり見せつけてほしい。
「ジャックくん、踊ろ?」
俺のペアは、やっぱりリリーしかいない。
天使のような碧眼の美少女が微笑みかけていた。
そして……俺はリリーのことが好きだ。
ずっとそれを言いたいのに、言うチャンスを逃してばかり。
このタイミングで言うか?
お互いに手をつなぎ、踊り始める。
オーディションのときほど派手にすることはなく、気楽にお互い見つめ合いながらダンスした。
「なんだか、緊張、するね」
「確かにそうだな」
リリーが少し顔を赤らめる。
ちなみに、ブレイズのペアはクラスの天才エマ・スマート。
メガネをかけていて、ものすごく頭がいい。なんでブレイズとペアを組むことになったのかはわからないが、どっちもまったく楽しくなさそうだったし、手をつないでもいなかった。
「ゲイルくんたち、大丈夫かな?」
代表ペアたちの大会は中央で行われる。
中央には円形のステージがあり、その上で演技を披露。オーディションのときと同じように、先生たちが審査する。
で、そこにはもちろん──。
「はーい、生徒会長のリード・サンダー、今回の実況をさせていただきまーす! よろしくー」
相変わらずのサンダー会長。
だが、もう俺には彼が可愛く見えてしかたない。そして、いざというときには頼りになるとか、彼を会長として応援したくなるやつの心理もわかるようになってきた。
あれだけうざいと思っていたあの実況が、可愛く思えてくるなんて。
「解説はみんなお馴染み、タイフーン先生だよー! 審査員はスキル『分析眼』を持つイーグルアイ先生と、美学教師のアロマ先生、そしてー、今日はなんとー、ゲスト審査員もお呼びしてまーす!」
拍手と歓声が上がった。
会長の紹介で立ち上がったのは、顔中猫に引っ掻かれたのかってくらいに傷だらけの、俺より少し年上くらいの青年。
髪は同じ黒髪で、切れ長の鋭い目は紫色をしている。
彼は立ち上がっただけで何も言わなかった。
唇は乾燥してパリパリだし、やる気もなさそうだ。こんな人、ゲスト審査員で大丈夫か?
「うわー、かっこいいですね! ありがとうございますー」
会長、絶対お世辞だろ。
「リードくん、そろそろ始めようか。観客の注目も集まったみたいだしね」
暴走しそうな会長を止めるのは、いつもタイフーン先生だ。
先生のひとことで、会場が水を打ったように静かになった。
「今回はベスト3を決めたい。審査員が──クラスでオーディションをしたときも見ただろうからわかっていると思うけど──項目ごとに10点満点で点数を出していくシステムだ」
審査員たちは細かく頷いている。
イーグルアイ先生は最近忙しそうだった。ホームルームにも出張で来ないときが多かったし、今回の顔色もさほどよくない。
俺たちの担任は、冷たい目でゲスト審査員を睨んでいる。
それか、ただ眠たそうにゲスト審査員を見つめている、か。
「準備はいーでーすかー? じゃあ、始めまーす!」
サンダー会長の陽気な言葉で始まった。
待機していた演奏のプロたち。今回もまた、演奏クラブの仲間たちが大活躍ってところだろう。
前夜祭にふさわしい、勢いのある演奏とアクロバットダンスだった。
「おーーー! こんな技見たこともない!」
「うわー! 失敗!」
何かが起こるたびに叫ぶ会長。
それをどこか嘲るようにして見ているゲスト審査員。
その気持もわからないわけじゃないが、そこはこの雰囲気に合わせようよ。だいたい、なんでこんな不気味な青年がゲストに選ばれた?
何かがおかしい。
俺は──俺たちは何か肝心なものを見落としている。
ふとルミナスに目をやった。
テストが終わってほとんど関わることのなかったルミナス。性格は最悪で、それを証明するかのごとく謎の包帯男と組んでいたやつだ。
ルミナスの顔はいつもと違ってやつれていた。
3日間寝てない、みたいな顔だ。
目の下のくまが濃く、体調がすごく悪そう。その悲しい姿に、一瞬だけ同情しそうになった。一瞬だけ、だが。
俺の足は勝手に動いていた。
まだゲイルたちはアクロバットダンス対決をしている。そういえば、ルミナスは……誰と踊っていたんだっけ?
「調子はどうだ、ルミナス?」
まさか、俺の方から話しかけるとは。
心配になったわけじゃない。そんなことはない。ただ、不気味だし亡霊のようにも見えるのでやめてほしいと思っているだけだ。
「……ジャック・ストロング」
俺のフルネーム。
声は震えていて、どこか怯えてい様子。
そうやって俺のフルネームをただ呼ぶだけのルミナスは、本物の亡霊にしか見えない。
「ルミナス?」
再度声をかける。
正気か確かめるためだった。
「君は僕には勝てない……結局、君は明日のトーナメントで死ぬことになるからね」
リリーとペアを組んで臨んだクラス代表を決めるためのオーディション。
何度も失敗を繰り返しながらも、代表の座を勝ち取るために完璧なアクロバットダンスを披露することができた。
ゲイルとハローちゃんのふたりは、その最高の演技までも超えてきたんだ。
緊張するべきはゲイルたちなのに、なぜか俺の心臓はばくばくいっている。
クラスの評価は彼らに託した。
エリートクラスの実力を、しっかり見せつけてほしい。
「ジャックくん、踊ろ?」
俺のペアは、やっぱりリリーしかいない。
天使のような碧眼の美少女が微笑みかけていた。
そして……俺はリリーのことが好きだ。
ずっとそれを言いたいのに、言うチャンスを逃してばかり。
このタイミングで言うか?
お互いに手をつなぎ、踊り始める。
オーディションのときほど派手にすることはなく、気楽にお互い見つめ合いながらダンスした。
「なんだか、緊張、するね」
「確かにそうだな」
リリーが少し顔を赤らめる。
ちなみに、ブレイズのペアはクラスの天才エマ・スマート。
メガネをかけていて、ものすごく頭がいい。なんでブレイズとペアを組むことになったのかはわからないが、どっちもまったく楽しくなさそうだったし、手をつないでもいなかった。
「ゲイルくんたち、大丈夫かな?」
代表ペアたちの大会は中央で行われる。
中央には円形のステージがあり、その上で演技を披露。オーディションのときと同じように、先生たちが審査する。
で、そこにはもちろん──。
「はーい、生徒会長のリード・サンダー、今回の実況をさせていただきまーす! よろしくー」
相変わらずのサンダー会長。
だが、もう俺には彼が可愛く見えてしかたない。そして、いざというときには頼りになるとか、彼を会長として応援したくなるやつの心理もわかるようになってきた。
あれだけうざいと思っていたあの実況が、可愛く思えてくるなんて。
「解説はみんなお馴染み、タイフーン先生だよー! 審査員はスキル『分析眼』を持つイーグルアイ先生と、美学教師のアロマ先生、そしてー、今日はなんとー、ゲスト審査員もお呼びしてまーす!」
拍手と歓声が上がった。
会長の紹介で立ち上がったのは、顔中猫に引っ掻かれたのかってくらいに傷だらけの、俺より少し年上くらいの青年。
髪は同じ黒髪で、切れ長の鋭い目は紫色をしている。
彼は立ち上がっただけで何も言わなかった。
唇は乾燥してパリパリだし、やる気もなさそうだ。こんな人、ゲスト審査員で大丈夫か?
「うわー、かっこいいですね! ありがとうございますー」
会長、絶対お世辞だろ。
「リードくん、そろそろ始めようか。観客の注目も集まったみたいだしね」
暴走しそうな会長を止めるのは、いつもタイフーン先生だ。
先生のひとことで、会場が水を打ったように静かになった。
「今回はベスト3を決めたい。審査員が──クラスでオーディションをしたときも見ただろうからわかっていると思うけど──項目ごとに10点満点で点数を出していくシステムだ」
審査員たちは細かく頷いている。
イーグルアイ先生は最近忙しそうだった。ホームルームにも出張で来ないときが多かったし、今回の顔色もさほどよくない。
俺たちの担任は、冷たい目でゲスト審査員を睨んでいる。
それか、ただ眠たそうにゲスト審査員を見つめている、か。
「準備はいーでーすかー? じゃあ、始めまーす!」
サンダー会長の陽気な言葉で始まった。
待機していた演奏のプロたち。今回もまた、演奏クラブの仲間たちが大活躍ってところだろう。
前夜祭にふさわしい、勢いのある演奏とアクロバットダンスだった。
「おーーー! こんな技見たこともない!」
「うわー! 失敗!」
何かが起こるたびに叫ぶ会長。
それをどこか嘲るようにして見ているゲスト審査員。
その気持もわからないわけじゃないが、そこはこの雰囲気に合わせようよ。だいたい、なんでこんな不気味な青年がゲストに選ばれた?
何かがおかしい。
俺は──俺たちは何か肝心なものを見落としている。
ふとルミナスに目をやった。
テストが終わってほとんど関わることのなかったルミナス。性格は最悪で、それを証明するかのごとく謎の包帯男と組んでいたやつだ。
ルミナスの顔はいつもと違ってやつれていた。
3日間寝てない、みたいな顔だ。
目の下のくまが濃く、体調がすごく悪そう。その悲しい姿に、一瞬だけ同情しそうになった。一瞬だけ、だが。
俺の足は勝手に動いていた。
まだゲイルたちはアクロバットダンス対決をしている。そういえば、ルミナスは……誰と踊っていたんだっけ?
「調子はどうだ、ルミナス?」
まさか、俺の方から話しかけるとは。
心配になったわけじゃない。そんなことはない。ただ、不気味だし亡霊のようにも見えるのでやめてほしいと思っているだけだ。
「……ジャック・ストロング」
俺のフルネーム。
声は震えていて、どこか怯えてい様子。
そうやって俺のフルネームをただ呼ぶだけのルミナスは、本物の亡霊にしか見えない。
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再度声をかける。
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