【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命

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第55話 俺は最強の戦士になる

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 あの決勝戦のあとのことは、あんまりよく覚えてない。

 俺もブレイズも、ルミナスもみんな倒れ、そこを駆けつけた学園長らに助けてもらったらしい。
 学園長もイーグルアイ先生も、長時間拷問に耐えていた。

 その場にいた全員が痛手を負っていた。

 俺は全身骨折と軽い火傷。
 ブレイズは腰の骨が粉砕。ルミナスは昏睡状態。

 イーグルアイ先生は筋肉を破損。

 学園長は高熱で寝込んでいる。

 ここまでのダメージはない。
 俺も意識がもうろうとしていたし、すぐに医務室で応急処置をしてもらわなければ、あの世に行っていたところだ。

 そんな中、唯一のいいニュースといえば、闇のスキルの持ち主で初代転生者のブラック・シックネスが消失したこと。いいニュースと言っていいのかはわからない。
 あのイーグルアイ先生との衝撃の事実を、忘れたわけじゃない。

 だが、少なくとも、この学園に迫った脅威は当分の間消え去ったことになるだろう。

 相手はひどい心の傷を、俺たちに残して消えたが。


 ***


「ジャックくん!」
「ジャック!」

 俺が医務室で寝ているという噂を聞きつけ、リリーとゲイルが突撃してきた。
 同じ部屋にはブレイズもいる。

 ブレイズは寝ているようだった。

 ちなみにルミナスは、危険なので別の部屋で隔離されている。

「リリーね……怖くて……助けにいかないといけなかったのに……」

「みんなこんな状態に……」

 ふたりとも大泣きだった。

 俺たちを闘技場において逃げたことに、責任を感じている。
 そんな必要なんてない。

「俺は……大丈夫……すぐよくなるさ……」

 声がうまく出なかった。

 声を出そうとすると、強烈に喉が痛む。
 
「やっぱり……しばらくは……休む必要がある……らしい……」

「うん。リリー、ずっとここにいる。ジャックくんが死んだら絶対に嫌だもん」

「おれもずっと面倒見てやるぜ、親友」


 ***


 あれから2週間がたった。

 1週間目にリハビリを始め、なんとか不自由なく体を動かすことができるようになっている。
 俺の体質が特別だったこともあるらしい。体もすっかり綺麗で、ほぼあの戦闘前と同じだった。

 まだ、無茶をするわけにはいかないが。

「オレは結局、おめぇに負けちまったのか」

 ブレイズも、俺に負けないようにリハビリを頑張っている。
 
 ついには、リハビリで勝ってやる、なんてことを言い出した。
 言っていることはよくわからないが、いつものブレイズだ、何も変わってない、と思ってなんだかほっとした。

「ルミナスは……大丈夫なのか」

「あいつは危険なやつだ。牢獄に入れとかねぇと危ないに決まってんだろ」

 ルミナスは3日して目が覚めたらしい。
 相変わらず体はボロボロのままだが、治癒でなんとかよくなったそうだ。

 そして、俺たちが気づかないうちに、この学園を退学。

 王国最大の刑務所に連行された。

「これでよかったのかはわからない。この学園も、今後どうなるのか……」

「ねちねちすんじゃねぇ。オレとしては、今後おめぇをぶっ潰す計画があんだ。学園に潰れてもらっちまったら困る」

「そうか──そうだな」

 俺は苦笑いをした。


 ***


「結局ブレイズは優勝できなかったわけだ。やはり最終的に勝ったのはジャック──さすがは学園屈指の実力者」

 フロストが尊敬を込めて俺に言う。

 俺たちはまた、一緒に朝食を食べていた。
 隣にはゲイルとフロスト、そして正面にはブレイズ。

 そこに、余った右斜め前と左斜め前に、リリーとハローちゃんが座っている。

 俺はすっかり友達に囲まれていた。

「おいフロスト。うるせぇんだいちいち、おめぇはオレに負けたじゃねーか」

「確かに、君は気持ちで、僕よりも勝っていた、ブレイズ。その努力は──」

「あ? しれっと褒めんな! 黙ってろ」

 そう言いながらも、お互いに認め合うようになったフロストとブレイズ。
 正反対のスキル、性格だからこそ、築き上げられる何かがあるのかもしれない。

 リリーとは正式に付き合うことになった。

 だがそれは、ただのラブコメになってしまうので詳しく話すつもりはない。
 
 ハローちゃんとは友達として、いい関係が築けている。
 最近彼女とゲイルの距離がやたらと近いことは、話した方がいいのか?

 ほんの少し体は痛むが、いつもの朝食──学園生活が戻ってきた。


 ***


「今から朝のホームルームを始める。まずは、ストロング、バーニングの復帰を歓迎しよう」

 クラス全体で大きな拍手が巻き起こった。
 
「イーグルアイ先生も、おかえり!」

 ゲイルが大声で言う。
 イーグルアイ先生も、俺たちと同じで今日からの復帰だった。

吾輩わがはいも、タイフーン先生も無事だ。無論、吾輩にはまだ、償わなければならないことが残ってるがな」

 首をかしげている生徒も多い。

 だが、俺は安心した。
 イーグルアイ先生もあの事態を重く受け止め、罪を償おうとしている。

 もちろんただで済まされることじゃない。ただ、俺には先生の誠意が受け取れた。

「そして、遅くなったが、ベストウォーリアートーナメントの優勝者、ジャック・ストロングを祝福しよう」

 ゲイルが飛びかかってきた。
 嬉しすぎて抑えられなかったらしい。ブレイズも炎に包まれながらのスタンディングオベーション。

 だが──。

「俺は優勝者なんかじゃありません。ここにいないルミナス、最後まで一緒に戦ってくれたブレイズ、俺のことを応援してくれた友達みんなが、優勝者だと思います」

「そうか」

 珍しくイーグルアイ先生が微笑んだ。

 俺の答えに満足してくれている。

「吾輩もその精神に倣わなくてはならないようだ。しかし──よいか、あの事件があったことによって学園行事がなくなるわけではない。次は2年生への進級試験。ここで例年クラスの4分の1の生徒が涙を飲む。吾輩のクラスではそんなことがないよう、全員合格の心構えで臨むように」

 また学園生活が再スタートしようとしている。

「ホームルームは以上! 素早くアクロバットの授業に迎え」

 再スタートではあるが、今は心強い仲間たちがいる。
 
 俺のハチャメチャ学園生活は、まだ始まったばかりだ。






 ~作者あとがき~
 皆様、最後まで読んでいただきありがとうございました。
 どうも、世界最強の人間を目指す、世界一の野心家、エース皇命こうめいです。

 まず、『実はチートの転生者』がHOTランキングの1位を5日間ほど独占できたことを嬉しく思います。お気に入り登録者も2000人ほどにまで増えました。

 僕がこの作品に込めたメッセージのひとつは、「人は何度でもやり直し、挑戦し続けられる」ということです。

 第1話の冒頭から、僕はブレイズが「ざまぁ」の対象であるかのように書いていたので、もしかしたら最初はブレイズが悪いやつのように思えたかもしれません。
 しかし、ブレイズはただ、本気でジャックとぶつかりたいだけでした。彼の熱い気持ちは、書いていてとても心地よかったです。

 では、作中で全体的に敵のように扱われていたルミナスはどうなのか。

 僕は彼にも、最後に挽回のチャンスを与えました。
 納得のいかなかった方もいらっしゃるかもしれません。ですが、人は何度も過ちを犯し、気づき、前に進んでいくのです。タイトルからしてよくある「ざまぁ」ラノベかと思われがちですが、僕はオリジナリティをストーリーに組み込み、他とは違うものにしました。

 話は変わりますが、僕は今、新作の異世界ファンタジーを準備しています。
 高校生で勉強とか時間が限られていますが、こつこつ書いて、華麗にカムバックしたいです。

 作風はシリアスになり、コメディの軽さはなくなりますが、最後には感動のラストが待っているので期待していてほしいです。タイトルは『教えよう、僕が魔王を倒せなかったイキサツを』となっています。


 最後になりますが、僕から皆様にお願いがあります。

 ここまで読んだら、ぜひしおりを挟んでいただきたいのです。
 どれくらいの方が読んでくださったのかがわかり、今後の活動の参考になります。また、よければお気に入り登録はしたままでいてくださると嬉しいです。やっぱり読者様が離れていくのは寂しいですから。

 これからも世界最強の人間を目指して努力していきます。

 以上!
 エース皇命こうめいでした!



 みんな~、作者お気に入り登録もよっろしく~!
   by  リード生徒会長
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