【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
21 / 105
一学期期末テスト編

その21 乙女同士の小さな争い

しおりを挟む
『あれ、オスカーくん? 昨日は来なかったから心配――ッ!』

 学園図書館に入ると、すぐにカウンターがある。
 そこにはいつも通り、図書委員である如月きさらぎエリザベスの姿があった。

 濃い紫の長髪に、瑠璃色の瞳。
 たったひとつしか年齢としは変わらないのに、俺よりも遥かに大人びて見える。前髪は真ん中分けにしていて、そのバランスのいい顔立ちと潤いのある肌が強調されていた。

 俺がやってきて一瞬だけ顔を明るくしたが、何か・・に気づいたのか急に瞠目して無言になる。

 俺の隣にいる、小さな少女ロリの存在に気づいたのだ。

「オ、オスカーくんが……ガ、彼女ガールフレンドを……!」

 舌が回らないエリザベス。

 そんな姿のエリザベスは貴重だ。いつもは完璧に図書カウンター係をこなしている彼女も、こうやって普通の女子学生のような反応をするのか。

「この子はただのクラスメイトだ」

 クルリンの方は一切見ることなく、冷静に説明した。

 だが――。

「むぅ」

 クルリンが不満げである。
 ただの・・・クラスメイト扱いが良くなかったのだろう。だが、俺は基本的に友人・・という言葉を使いたくない。

 別にクルリンのことを友人と思っていないわけではなく、ただ、「友人か……その言葉は嫌いだ」という「かっこよさそう」な演出をするためである。

「そ、そうなんだー」

 絶対信じてない。

 まだ目にモヤがかかっていて、俺達の言葉も頭に入っていないようだ。だが、西園寺さいおんじオスカーに恋人がいる、という誤解をされてしまっては困る。俺は常に孤高の存在でなくてはならない。

「本当だ。クルリン、君からも説明してくれ」

「はいなのです。オスカーしゃまはあたちの彼氏かれちなのです」

「――ッ! やっぱり二人はもう――」

 予想通りといえば予想通りだったが、頬をぷくっと膨らませたクルリンの一言が、エリザベスをえぐる。

 それにしても、ぷりぷり怒っているクルリンを見ていると癒やされるのはおかしいことなのだろうか。
 
「嘘を言うな、クルリン。嘘つきは好きではない」

 少々強引で、クルリンが可哀想な気もする。だが、冷酷な俺は無表情で言い放つことに成功した。

「むぅ。オスカーしゃま、いじわるなのです。ただの・・・クラスメイトっていうの、訂正てーせーしてくださいなのです!」

「わかった。友達だ。これでいいか?」

「ふわぁ」

 嬉しそうで何よりだ。

 自分で言ってみて思ったが、友人・・は駄目で友達・・はいいという自分の基準がよくわからない。俺が潜在的に思い描いている「かっこよさそう」な人物像は、なかなかの曲者くせものだ。

 自分で自分を理解することの方が、他人を理解することよりも困難なことだってある。

「そ、それじゃあ、本当に二人は付き合ってないの?」

「勿論だ」「むむむぅ」

 エリザベスの確認に、俺が即答し、クルリンがまた頬をぱんぱんにする。

「そっか、そうなんだね」

 力を抜き、クスクスっと笑うエリザベス。
 完全に信じてくれたようだ。少し前よりも機嫌が良さそうだし、一件落着。

「昨日のことだけど、心配してたんだよ? オスカーくん、入学してから毎日ここに来てるのに、昨日は全然来なかったから」

「昨日、か」

 意味深に虚空を見つめる俺。

 その動作に意味など含まれていない。昨日は決闘があったので来れなかったというだけだが、エリザベスにとっては、毎日欠かさず来ていた常連が来なかった日、というのが気になってたまらないのだろう。

 ちらっとクルリンに目配せし、話を続ける。

「とある生徒との因縁の戦いに終止符を打たなければならなかった」

「そうなのです! いんねんなのです!」

 加勢になっているのかよくわからないクルリンの一言。

 俺はまたエリザベスに視線を戻し、その美しい碧眼をじっと見つめた。クルリンよりも濃く、深い青色だ。
 二つの視線が絡み合い、俺達の意識が調和を生む。

「だが安心して欲しい。もう決着はついた。またこの聖域サンクチュアリに戻ってくることができたのも、全ては君がここで待っていてくれたからだ」

「――オスカーくん……」

「感謝する」

 そう言って、俺は彼女に背を向けた。

 エリザベスとの会話は毎回このパターンだ。
 言葉の意味をじっくり考えさせてしまい、結局何も意味がない、ということに気づかせないために、俺は颯爽と去っていく。

「行くぞ、クルリン」

 クルリンを連れ、図書館の奥の勉強スペースに向かうのだった。

『待って――』

 こうやって呼び止めるエリザベスを感じるのは何度目だろうか。

 俺は聞こえないふりをして、歩みを続ける。
 今まで彼女が追いかけてきたことはない。図書カウンターの仕事を放棄するわけにはいかない、という責任感があるからなのかもしれないし、追いかけるほどでもない、と心の中では思っているからなのかもしれない。

 俺には一生理解できないだろう。

 クルリンは最初首を傾げていたが、俺の指示に素直についてきた。因縁も何もないグレイソンとの決闘。そこに疑問を抱かれてしまっては困る。
 さほど頭が切れる感じではなさそうなので、クルリンに関しては考える時間を与えなければ上手く丸め込めるだろう。

 そしてこの時、俺は察知していた。

 このやり取りをじっくりと観察している者がいることを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...