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フロストハウル編
第122話 文化祭にどうしても行きたい熱量高めの関係者たち
文化祭前日の金曜の夜。
午後9時の街はまだ活気に満ち溢れていた。
俺は今日もゼロナと夜の活動をしている。
超人としての活動を通してわかったことは、そもそも【選別の泉】の試練を乗り越えた超人の数が多いということだ。
ダンジョンに足を運ぶ冒険者だけではない。
普通にそこら辺を歩いているような超人もたくさんいる。
とはいえ、Bランク以上の超人の割合は少ない。
ランクを上げるには冒険者としてダンジョンに潜り、経験値を集めることが重要だ。危険ではあるものの、ダンジョンは最高の訓練施設であるとも言える。
それに【選別の泉】に合格すれば冒険者系の企業がすぐに勧誘してくる。
髪色や目の色が変わるので、かつらや茶色のカラコンで隠すとかいう努力をしない限り、自分が超人であるということを堂々と公表していることになる。
となると、どこかの冒険者企業に入ってしまった方が楽ではあるわけだ。
光超人として政府と直接契約を結んだ方が、政府としてはありがたいんだろう。だが、企業の競争や経済成長を促す上でも、冒険者企業のような民間企業に自由を与えるというのはいい方針だと思う。
「今日はいつもより疲れてるみたいだね」
ゼロナが俺の顔を覗き込んできた。
爽やかな柑橘系の香りが鼻を通り抜ける。
近くで見ても肌荒れのない完璧な肌だ。そこまで化粧をしているようにも見えないので、そもそもの肌がとんでもなく綺麗ってことだな。
まあ、それは楓香も姉さんも同じだが。
「明日の文化祭の準備で忙しかったんだ。冒険者だからって理由で、力仕事はほとんど俺がやったし……」
「そういえば文化祭があるって言ってたね。ぼくは日本の文化祭についてよく知らないわけだが……うん、明日は仕事を休んで文化祭を体験しにいこうかな」
「ちゃんと働いた方がいいと思うんだが」
「いいんだ。店長はぼくだから」
「……」
「それで、才斗は何を見せてくれるのかな?」
「俺のクラスはメイド喫茶なんだが、ダンジョン冒険者をコンセプトにした、特別なメイド喫茶になっていて――」
「メイド喫茶か。ちなみに、そこに奈菜ちゃんとミズ・白桃は……?」
目を輝かせ、絶大な期待を寄せてくるゼロナ。
初めて見る貴重な表情だ。
「椎名はメイド、楓香は冒険者役で――」
「わかった。100パーセント行くよ。ちなみに、奈菜ちゃんに恋人がいるか知っていたら教えてほしい」
「恋人はいないと思う」
「ありがとう、才斗。明日はいつもより気合いを入れて行くから、間違ってぼくに惚れてしまわないようにね」
表情だけは魅力的で色っぽかったが、そこに含まれている下心を考えると、ちょっと残念な気持ちになるのだった。
***
今夜は超人絡みの事件は起こらず、10時頃になるともう帰っていいとゼロナに言われた。
きっと俺が帰った後も監視を続けるんだろう。
文化祭の準備で疲れている俺に休んでもらおうと気遣ってくれたのかもしれないな。
「今日は早かったですね。もしかして、わたしと長時間えっちするために――」
「明日は文化祭だからな。早く帰っていいって言われただけだ」
「でも、もちろんえっちは――」
「文化祭、行きたい」
もはや淫乱のセリフなんて誰も聞きたくない。
今度は姉さんが楓香のセリフを相殺する。
俺はもちろんと頷く。
「一般公開は10時からだから、それぐらいに来てくれると嬉しい。姉さんが最初の一般客になってくれても――」
「それは負けられない戦い。たぶん、ライバルは多いと思う」
「ライバル?」
艶のある赤髪を輝かせる姉さんは、やけに気合いが入っている様子だった。
***
いつものように楓香と姉さんに挟まれて横になる。
シングルベッドなのでかなり窮屈だ。
「それぞれ自分のベッドがあるわけだし、そこに寝たら――」
「それじゃあエロいことできないじゃないですか。最近のマイブームは才斗くんの首を舐めながら眠ることなんです」
「ダメ。楓香がどんなことするかわからないから、監視役が必要」
と、いうことらしい。
ハーレムっぽいが、片方は実の姉だ。
普通に睡眠を取っているだけだし、健全な方だろう。
もう慣れつつある窮屈なベッドで、眠りに落ちようとしたその時、左手首にはめている腕時計から激しい振動が伝わってきた。
「こんな時間に何だ……?」
家に帰って風呂に入ったりしたことで、今は午後11時半。
遅すぎるわけでもないが、かなり非常識な時間にかけてくる奴だ。
――誰だよ……?
「――って、真悠姉さんか……」
「どうかしたんですか?」
「ライバル登場の予感がする」
2人の反応はさておき、真悠姉さんからの電話をスルーするわけにはいかない。なんだか可哀想だからだ。
「もしもし」
『才斗ちゃ~ん、久しぶり~』
「今、夜中ですけど」
『冷たいでちゅよ才斗ちゃん。反抗期はまだ続いてたのかな~』
静かな夜の寝室に響く真悠姉さんの甘々な声。
楓香や姉さんが黙っているはずがない。
「今ちょうど才斗くんとえっちしてる最中なので、電話はやめてもらえますか?」
「才斗は今実の姉に抱き締められながら寝ようとしてる。弟の睡眠を害する人は姉とは言えない」
『……嘘……才斗ちゃん……2人と……』
「一緒に暮らしてるから、たまたま近くにいるだけで――」
『大丈夫、来月からお姉ちゃんも一緒に暮らしまちゅからね~。ずっと面倒を見てきたのは真悠お姉ちゃんだもんね~』
「……」
冗談であることを祈ろう。
この家、確かにまだ人は住めるだけの広さはある。だが、女性3人との共同生活は精神的にかなりきつい。
『そうそう、明日は朝早くから東京まで行って、才斗ちゃんの文化祭に行きまちゅよ~』
……そりゃあそう来るよな。
午後9時の街はまだ活気に満ち溢れていた。
俺は今日もゼロナと夜の活動をしている。
超人としての活動を通してわかったことは、そもそも【選別の泉】の試練を乗り越えた超人の数が多いということだ。
ダンジョンに足を運ぶ冒険者だけではない。
普通にそこら辺を歩いているような超人もたくさんいる。
とはいえ、Bランク以上の超人の割合は少ない。
ランクを上げるには冒険者としてダンジョンに潜り、経験値を集めることが重要だ。危険ではあるものの、ダンジョンは最高の訓練施設であるとも言える。
それに【選別の泉】に合格すれば冒険者系の企業がすぐに勧誘してくる。
髪色や目の色が変わるので、かつらや茶色のカラコンで隠すとかいう努力をしない限り、自分が超人であるということを堂々と公表していることになる。
となると、どこかの冒険者企業に入ってしまった方が楽ではあるわけだ。
光超人として政府と直接契約を結んだ方が、政府としてはありがたいんだろう。だが、企業の競争や経済成長を促す上でも、冒険者企業のような民間企業に自由を与えるというのはいい方針だと思う。
「今日はいつもより疲れてるみたいだね」
ゼロナが俺の顔を覗き込んできた。
爽やかな柑橘系の香りが鼻を通り抜ける。
近くで見ても肌荒れのない完璧な肌だ。そこまで化粧をしているようにも見えないので、そもそもの肌がとんでもなく綺麗ってことだな。
まあ、それは楓香も姉さんも同じだが。
「明日の文化祭の準備で忙しかったんだ。冒険者だからって理由で、力仕事はほとんど俺がやったし……」
「そういえば文化祭があるって言ってたね。ぼくは日本の文化祭についてよく知らないわけだが……うん、明日は仕事を休んで文化祭を体験しにいこうかな」
「ちゃんと働いた方がいいと思うんだが」
「いいんだ。店長はぼくだから」
「……」
「それで、才斗は何を見せてくれるのかな?」
「俺のクラスはメイド喫茶なんだが、ダンジョン冒険者をコンセプトにした、特別なメイド喫茶になっていて――」
「メイド喫茶か。ちなみに、そこに奈菜ちゃんとミズ・白桃は……?」
目を輝かせ、絶大な期待を寄せてくるゼロナ。
初めて見る貴重な表情だ。
「椎名はメイド、楓香は冒険者役で――」
「わかった。100パーセント行くよ。ちなみに、奈菜ちゃんに恋人がいるか知っていたら教えてほしい」
「恋人はいないと思う」
「ありがとう、才斗。明日はいつもより気合いを入れて行くから、間違ってぼくに惚れてしまわないようにね」
表情だけは魅力的で色っぽかったが、そこに含まれている下心を考えると、ちょっと残念な気持ちになるのだった。
***
今夜は超人絡みの事件は起こらず、10時頃になるともう帰っていいとゼロナに言われた。
きっと俺が帰った後も監視を続けるんだろう。
文化祭の準備で疲れている俺に休んでもらおうと気遣ってくれたのかもしれないな。
「今日は早かったですね。もしかして、わたしと長時間えっちするために――」
「明日は文化祭だからな。早く帰っていいって言われただけだ」
「でも、もちろんえっちは――」
「文化祭、行きたい」
もはや淫乱のセリフなんて誰も聞きたくない。
今度は姉さんが楓香のセリフを相殺する。
俺はもちろんと頷く。
「一般公開は10時からだから、それぐらいに来てくれると嬉しい。姉さんが最初の一般客になってくれても――」
「それは負けられない戦い。たぶん、ライバルは多いと思う」
「ライバル?」
艶のある赤髪を輝かせる姉さんは、やけに気合いが入っている様子だった。
***
いつものように楓香と姉さんに挟まれて横になる。
シングルベッドなのでかなり窮屈だ。
「それぞれ自分のベッドがあるわけだし、そこに寝たら――」
「それじゃあエロいことできないじゃないですか。最近のマイブームは才斗くんの首を舐めながら眠ることなんです」
「ダメ。楓香がどんなことするかわからないから、監視役が必要」
と、いうことらしい。
ハーレムっぽいが、片方は実の姉だ。
普通に睡眠を取っているだけだし、健全な方だろう。
もう慣れつつある窮屈なベッドで、眠りに落ちようとしたその時、左手首にはめている腕時計から激しい振動が伝わってきた。
「こんな時間に何だ……?」
家に帰って風呂に入ったりしたことで、今は午後11時半。
遅すぎるわけでもないが、かなり非常識な時間にかけてくる奴だ。
――誰だよ……?
「――って、真悠姉さんか……」
「どうかしたんですか?」
「ライバル登場の予感がする」
2人の反応はさておき、真悠姉さんからの電話をスルーするわけにはいかない。なんだか可哀想だからだ。
「もしもし」
『才斗ちゃ~ん、久しぶり~』
「今、夜中ですけど」
『冷たいでちゅよ才斗ちゃん。反抗期はまだ続いてたのかな~』
静かな夜の寝室に響く真悠姉さんの甘々な声。
楓香や姉さんが黙っているはずがない。
「今ちょうど才斗くんとえっちしてる最中なので、電話はやめてもらえますか?」
「才斗は今実の姉に抱き締められながら寝ようとしてる。弟の睡眠を害する人は姉とは言えない」
『……嘘……才斗ちゃん……2人と……』
「一緒に暮らしてるから、たまたま近くにいるだけで――」
『大丈夫、来月からお姉ちゃんも一緒に暮らしまちゅからね~。ずっと面倒を見てきたのは真悠お姉ちゃんだもんね~』
「……」
冗談であることを祈ろう。
この家、確かにまだ人は住めるだけの広さはある。だが、女性3人との共同生活は精神的にかなりきつい。
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