125 / 145
フロストハウル編
第125話 スペシャルゲストはあいつという期待外れ(人による)
しおりを挟む
体育館には等間隔にパイプ椅子が並べられていて、そのすべての席が観客で綺麗に埋め尽くされていた。
今ステージの上で話している冒険者を見るために、これだけの人が集まったということだ。
この学校の生徒だけではなく、アイドルを応援するようなうちわを持ったガチファンや、多くの保護者、小さい子供たちが集っていた。
これほどまでの人気とは。
正直に言うと、ちょっとだけ悔しい。
スペシャルゲストはステージの上に配置されているソファに腰掛け、その隣に座る放送部の女子生徒と対談するような形で話している。
講演会と宣伝されていたものの、実際はトークショーみたいな感じか。
「雷電だったか……」
俺の期待は一気に水の泡に。
スペシャルゲストの正体は俺と同じ【ウルフパック】所属のSランク冒険者、雷電舞姫だった。
それこそ、西園寺がスペシャルゲストって流れでも良かったんじゃないか?
「雷電がゲストって知ってましたか?」
一応西園寺に聞いてみる。
彼は雷電の上司だし、知っていてもおかしくはない。
スペシャルゲストの話題になった途端に何も言わなくなったので、もしやと思っていた。
だが――。
「初耳だ」
「え?」
「1ヶ月ほど前、私にスペシャルゲストの件でメールが来たんだが……重要な会議があると断ったもので……」
「それって、剣騎に丸投げしたっていう――」
「そうだ。剣騎には申し訳ないと思っている」
絶対思ってないだろ。
思ってるんだったら会議に参加してくれ。
それより、やっぱり西園寺にもスペシャルゲストの依頼が来てたのか。雷電が呼ばれるくらいだから、まずは有名人で超絶人気の西園寺に依頼するのは当然だな。
「依頼を断ってからは何も報告がなかったのでまったく気にしていなかったのだが……まさか雷電舞姫が……」
「普通は社長に連絡が入るんじゃないの? 会社宛てのメールはあんたが管理してるんでしょ?」
ここで真悠姉さんが凍り付く。
俺も一緒だ。
西園寺を「あんた」呼びできるほど度胸のあるアホはなかなかいない。佐藤はふにゃふにゃ西園寺を知らないはずなのに、やってのけた。
いろいろと無礼で生意気な小娘だとは思う。
だが、西園寺はそんなことまったく気にしない。
「おそらくDMで連絡を取ったんだろう。社長に一言いってくれてもいいような気もするが……」
それもそうだ。
だが、雷電にとってはこの講演会もちょっとしたおまけ活動という認識でしかないんだろう。社長に報告するまでもない、と。
テレビに出たりすることもよくあるし、これも芸能活動の一環という感じか。
「すみません、チケットは買われましたか?」
「……あ、いえ……」
実行委員が体育館入り口で立ち止まっている俺たちに話しかけてくる。
チケットを買うなんていうのは初耳なので、首を振った。
「でしたら、本校舎1階の下足室近くで販売しているので、ぜひ買われてからいらしてください。まだ立ち見席には空きがありますので」
この実行委員の少年は、俺たちが何者であるかわかっているんだろうか。
西園寺や真悠姉さんの存在に驚いた様子がまったくない。
「チケットはいくらですか?」
肝心な値段を聞く。
無料でもおかしくはないというか、だいたい無料でやっているようなイメージがあるが、ここでは違うらしいからな。
高校のちょっとしたイベントだし、せいぜい数百円くらいで――。
「2200円です」
「「「は!?」」」
俺、真悠姉さん、佐藤の3人が驚きのあまり声を上げる。
これは法外な値段だ。
中身スッカスカな雷電トークに振り回されている来客たちは、全員このためだけに2200円を払ったというのか……。
『あれ? しゃちょーと真悠っちじゃーん! ついでに黒瀬も。わざわざ来てくれるとかマジ神』
大声で反応してしまったせいか、雷電が俺たちに気付いた。
会場中の視線が体育館入り口に集まる。
視線は主に西園寺、真悠姉さん、俺の3人に向けられていた。
その瞬間、大歓声。
この学校の生徒である俺はともかく、まさか西園寺龍河と本波真悠を拝めるとは思わなかっただろう。
皮肉なことに、これで彼らの2200円が報われる形になったのかもしれないな。
今ステージの上で話している冒険者を見るために、これだけの人が集まったということだ。
この学校の生徒だけではなく、アイドルを応援するようなうちわを持ったガチファンや、多くの保護者、小さい子供たちが集っていた。
これほどまでの人気とは。
正直に言うと、ちょっとだけ悔しい。
スペシャルゲストはステージの上に配置されているソファに腰掛け、その隣に座る放送部の女子生徒と対談するような形で話している。
講演会と宣伝されていたものの、実際はトークショーみたいな感じか。
「雷電だったか……」
俺の期待は一気に水の泡に。
スペシャルゲストの正体は俺と同じ【ウルフパック】所属のSランク冒険者、雷電舞姫だった。
それこそ、西園寺がスペシャルゲストって流れでも良かったんじゃないか?
「雷電がゲストって知ってましたか?」
一応西園寺に聞いてみる。
彼は雷電の上司だし、知っていてもおかしくはない。
スペシャルゲストの話題になった途端に何も言わなくなったので、もしやと思っていた。
だが――。
「初耳だ」
「え?」
「1ヶ月ほど前、私にスペシャルゲストの件でメールが来たんだが……重要な会議があると断ったもので……」
「それって、剣騎に丸投げしたっていう――」
「そうだ。剣騎には申し訳ないと思っている」
絶対思ってないだろ。
思ってるんだったら会議に参加してくれ。
それより、やっぱり西園寺にもスペシャルゲストの依頼が来てたのか。雷電が呼ばれるくらいだから、まずは有名人で超絶人気の西園寺に依頼するのは当然だな。
「依頼を断ってからは何も報告がなかったのでまったく気にしていなかったのだが……まさか雷電舞姫が……」
「普通は社長に連絡が入るんじゃないの? 会社宛てのメールはあんたが管理してるんでしょ?」
ここで真悠姉さんが凍り付く。
俺も一緒だ。
西園寺を「あんた」呼びできるほど度胸のあるアホはなかなかいない。佐藤はふにゃふにゃ西園寺を知らないはずなのに、やってのけた。
いろいろと無礼で生意気な小娘だとは思う。
だが、西園寺はそんなことまったく気にしない。
「おそらくDMで連絡を取ったんだろう。社長に一言いってくれてもいいような気もするが……」
それもそうだ。
だが、雷電にとってはこの講演会もちょっとしたおまけ活動という認識でしかないんだろう。社長に報告するまでもない、と。
テレビに出たりすることもよくあるし、これも芸能活動の一環という感じか。
「すみません、チケットは買われましたか?」
「……あ、いえ……」
実行委員が体育館入り口で立ち止まっている俺たちに話しかけてくる。
チケットを買うなんていうのは初耳なので、首を振った。
「でしたら、本校舎1階の下足室近くで販売しているので、ぜひ買われてからいらしてください。まだ立ち見席には空きがありますので」
この実行委員の少年は、俺たちが何者であるかわかっているんだろうか。
西園寺や真悠姉さんの存在に驚いた様子がまったくない。
「チケットはいくらですか?」
肝心な値段を聞く。
無料でもおかしくはないというか、だいたい無料でやっているようなイメージがあるが、ここでは違うらしいからな。
高校のちょっとしたイベントだし、せいぜい数百円くらいで――。
「2200円です」
「「「は!?」」」
俺、真悠姉さん、佐藤の3人が驚きのあまり声を上げる。
これは法外な値段だ。
中身スッカスカな雷電トークに振り回されている来客たちは、全員このためだけに2200円を払ったというのか……。
『あれ? しゃちょーと真悠っちじゃーん! ついでに黒瀬も。わざわざ来てくれるとかマジ神』
大声で反応してしまったせいか、雷電が俺たちに気付いた。
会場中の視線が体育館入り口に集まる。
視線は主に西園寺、真悠姉さん、俺の3人に向けられていた。
その瞬間、大歓声。
この学校の生徒である俺はともかく、まさか西園寺龍河と本波真悠を拝めるとは思わなかっただろう。
皮肉なことに、これで彼らの2200円が報われる形になったのかもしれないな。
20
あなたにおすすめの小説
【完結】メインヒロインとの恋愛フラグを全部ブチ壊した俺、サブヒロインと付き合うことにする
エース皇命
青春
《将来ヤンデレになるメインヒロインより、サブヒロインの方が良くね?》
16歳で自分が前世にハマっていた学園ドラマの主人公の人生を送っていることに気付いた風野白狼。しかしそこで、今ちょうどいい感じのメインヒロインが付き合ったらヤンデレであることを思い出す。
告白されて付き合うのは2か月後。
それまでに起こる体育祭イベント、文化祭イベントでの恋愛フラグを全てぶち壊し、3人の脈ありサブヒロインと付き合うために攻略を始めていく。
3人のサブヒロインもまた曲者揃い。
猫系ふわふわガールの火波 猫音子に、ツンデレ義姉の風野 犬織、アニオタボーイッシュガールの空賀 栗涼。
この3人の中から、最終的に誰を選び、付き合うことになるのか。てかそもそも彼女たちを落とせるのか!?
もちろん、メインヒロインも黙ってはいない!
5人の癖強キャラたちが爆走する、イレギュラーなラブコメ、ここに誕生!
※カクヨム、小説家になろうでも連載中!
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる