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フロストハウル編
第127話 トークショーの主役をあっという間に奪う人気者
トークショーはちょうど1時間行われた。
おかげで昼食を取る時間が完全になくなってしまったわけだが、ステージに上がって話している以上、途中で退出するわけにもいかない。
少なくとも、雷電が1人でペラペラ話すよりはためになる内容を話すことができたのではないだろうか。
冒険者として注目されることの大変さや、周囲から期待されることへの考えなど。
西園寺に至っては、会社を経営することの大変さなんかも語っていた。
そのおかげで、本来の主役である雷電のパートが大幅に短くなったことは言うまでもない。
それに対して、当の本人はかなり悔しそうにしていた。
「しゃちょー話しすぎ~。舞ちゃん全然しゃべってないんですけど~」
「すまない、しかし質問されたことに答えないわけにもいかない」
雷電は観客や進行役の女子生徒から質問された際、一言か二言でさらっと返していた。
西園寺は1つの質問に対して丁寧に答えていくので、どうしても時間がかかっていたわけだ。
それに加え、西園寺への質問が1番多かったのもあるな。
こうして、雷電は社長に主役を奪われてしまった。
一度はゲスト出演を断ったはずの社長に。
盛大な拍手を全身で受けながら、バックステージに入る。俺たちの姿が見えなくなっても、会場は大歓声に包まれていた。
「もー、完全に主役奪われたしぃ。絶対黒瀬のせいだかんね!」
「俺?」
「大人気冒険者舞ちゃんの講演会に来たかったのはわかるけどさぁ、しゃちょーも同伴とか反則だしぃ」
不貞腐れたような顔をしながら、ぶーぶー呟く雷電。
どうやら不満の矛先は俺に向いているらしい。
俺と雷電の仲はそもそも良くないので、不満をぶつけられるのもしかたない話か。とはいえ、納得はいかない。
「もう少し内容のある話をしたらどうだ? 雷電の薄い内容で2200円取るのは詐欺だぞ」
「うっざ。言っとくけど、あの会場にいたの全員舞ちゃんファンだしぃ」
「そりゃあ雷電の講演会なんだから――」
「喧嘩する才斗ちゃんも可愛いでちゅね~。才斗ちゃんは何も悪くないから気にしなくていいでちゅよ~」
俺を冷静にさせたのは、真悠姉さんだった。
このまま言い合いを続けていれば、そのうち怒鳴り合いとかになっていたのかもしれない。
だが、俺を完全に肯定する真悠姉さんのスタンスは、雷電の不満に火をつけることになる。
本気で腹を立てたらしく、グッと握った拳を引くのがわかった。
このままだと俺、殴られる。
「そこまでにしておけ」
一言。
声はそこまで大きくなかったものの、威厳を纏った西園寺の言葉には逆らえない何かがある。その何かとは、おそらく圧倒的な強さだろう。
雷電の殺気が一瞬にして拡散し、俺も本気で反撃する必要がなくなった。
「天音ちゃんと佐藤勝海が待っている。それに、我々はこの後すぐに昼食を取らなくてはならない」
最後のセリフのトーンから察するに、西園寺は俺との昼食を凄く楽しみにしている……。
残念なことに、俺はこの後すぐにメイド喫茶の仕事に戻らないといけないから、昼ご飯の時間なんてない。
他の4人で仲良く食べてくれ。
ちなみに、トークショーに主演していない天音姉さんと佐藤は、普通の観客として2200円払っていたようだ。
ステージに上がった俺たちは無料なのでなんだか申し訳ない。
雷電に至ってはギャラが発生しているらしいし(俺たちはボランティア扱いだ)。
「社長、実は俺――」
――もう教室に戻らないといけないんです。
そう言おうとしたその時。
地震のような強烈な揺れと共に、壁が吹っ飛ばされたんじゃないかと思うほどの轟音が体育館に鳴り響いた。
直後、耳をつんざくような悲鳴が広がる。
「なんだ?」
顔をしかめ、すぐさま反応する西園寺。
ステージとバックステージを仕切るカーテンをめくり、即座に状況を確かめる。
俺も西園寺に続いた。
「これは……」
出口に逃げ惑う人々。
飛び散った壁の破片に体の自由を奪われている人々。
姉さんと佐藤は怪我人を救うために重い壁の破片を動かしている。手際はいいが、そもそも怪我人の数が多いので俺たちも加勢に行かなくてはならないだろう。
だがその前に――。
「あいつ、誰?」
雷電が不快そうな顔をして言う。
「体育館の硬い壁を吹き飛ばす男……間違いなく普通の人間じゃないな」
砕かれた壁の範囲は体育館1面分。
ちょっと意味がわからない。
ヤツは老人のような白髪だった。
背が高く、ガリガリ。ノッポという言葉が似合う。
狂気に満ちた血の色の瞳を燃やしながら、正気など完全に失ったかのように壊れた笑みを浮かべていた。
おかげで昼食を取る時間が完全になくなってしまったわけだが、ステージに上がって話している以上、途中で退出するわけにもいかない。
少なくとも、雷電が1人でペラペラ話すよりはためになる内容を話すことができたのではないだろうか。
冒険者として注目されることの大変さや、周囲から期待されることへの考えなど。
西園寺に至っては、会社を経営することの大変さなんかも語っていた。
そのおかげで、本来の主役である雷電のパートが大幅に短くなったことは言うまでもない。
それに対して、当の本人はかなり悔しそうにしていた。
「しゃちょー話しすぎ~。舞ちゃん全然しゃべってないんですけど~」
「すまない、しかし質問されたことに答えないわけにもいかない」
雷電は観客や進行役の女子生徒から質問された際、一言か二言でさらっと返していた。
西園寺は1つの質問に対して丁寧に答えていくので、どうしても時間がかかっていたわけだ。
それに加え、西園寺への質問が1番多かったのもあるな。
こうして、雷電は社長に主役を奪われてしまった。
一度はゲスト出演を断ったはずの社長に。
盛大な拍手を全身で受けながら、バックステージに入る。俺たちの姿が見えなくなっても、会場は大歓声に包まれていた。
「もー、完全に主役奪われたしぃ。絶対黒瀬のせいだかんね!」
「俺?」
「大人気冒険者舞ちゃんの講演会に来たかったのはわかるけどさぁ、しゃちょーも同伴とか反則だしぃ」
不貞腐れたような顔をしながら、ぶーぶー呟く雷電。
どうやら不満の矛先は俺に向いているらしい。
俺と雷電の仲はそもそも良くないので、不満をぶつけられるのもしかたない話か。とはいえ、納得はいかない。
「もう少し内容のある話をしたらどうだ? 雷電の薄い内容で2200円取るのは詐欺だぞ」
「うっざ。言っとくけど、あの会場にいたの全員舞ちゃんファンだしぃ」
「そりゃあ雷電の講演会なんだから――」
「喧嘩する才斗ちゃんも可愛いでちゅね~。才斗ちゃんは何も悪くないから気にしなくていいでちゅよ~」
俺を冷静にさせたのは、真悠姉さんだった。
このまま言い合いを続けていれば、そのうち怒鳴り合いとかになっていたのかもしれない。
だが、俺を完全に肯定する真悠姉さんのスタンスは、雷電の不満に火をつけることになる。
本気で腹を立てたらしく、グッと握った拳を引くのがわかった。
このままだと俺、殴られる。
「そこまでにしておけ」
一言。
声はそこまで大きくなかったものの、威厳を纏った西園寺の言葉には逆らえない何かがある。その何かとは、おそらく圧倒的な強さだろう。
雷電の殺気が一瞬にして拡散し、俺も本気で反撃する必要がなくなった。
「天音ちゃんと佐藤勝海が待っている。それに、我々はこの後すぐに昼食を取らなくてはならない」
最後のセリフのトーンから察するに、西園寺は俺との昼食を凄く楽しみにしている……。
残念なことに、俺はこの後すぐにメイド喫茶の仕事に戻らないといけないから、昼ご飯の時間なんてない。
他の4人で仲良く食べてくれ。
ちなみに、トークショーに主演していない天音姉さんと佐藤は、普通の観客として2200円払っていたようだ。
ステージに上がった俺たちは無料なのでなんだか申し訳ない。
雷電に至ってはギャラが発生しているらしいし(俺たちはボランティア扱いだ)。
「社長、実は俺――」
――もう教室に戻らないといけないんです。
そう言おうとしたその時。
地震のような強烈な揺れと共に、壁が吹っ飛ばされたんじゃないかと思うほどの轟音が体育館に鳴り響いた。
直後、耳をつんざくような悲鳴が広がる。
「なんだ?」
顔をしかめ、すぐさま反応する西園寺。
ステージとバックステージを仕切るカーテンをめくり、即座に状況を確かめる。
俺も西園寺に続いた。
「これは……」
出口に逃げ惑う人々。
飛び散った壁の破片に体の自由を奪われている人々。
姉さんと佐藤は怪我人を救うために重い壁の破片を動かしている。手際はいいが、そもそも怪我人の数が多いので俺たちも加勢に行かなくてはならないだろう。
だがその前に――。
「あいつ、誰?」
雷電が不快そうな顔をして言う。
「体育館の硬い壁を吹き飛ばす男……間違いなく普通の人間じゃないな」
砕かれた壁の範囲は体育館1面分。
ちょっと意味がわからない。
ヤツは老人のような白髪だった。
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