ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命

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ダンジョン遠征編

第141話 美少女同士でお互いを褒め合うという百合の予感

 私立清明せいめい高校の文化祭で起きた悲劇。
 それはメディアで大々的に報じられた。

 冒険者ブラックが通っている高校として、そもそも有名だった清明高校。

 今回の件で、さらに有名になったな。
 いい意味でも悪い意味でも。

 メディアで報じられたのは、清明高校で起きた事件のことだけじゃない。【ウルフパック】が隠していた超絶美人のSランク冒険者に関する情報も、またたく間に広まってしまった。

「もう隠れSランク冒険者ではなくなってしまったね」

 文化祭から1週間がたった11月2日。
 俺はゼロナと共に西園寺さいおんじリバーサイドの最上階を訪れていた。

 前回社長室に来てからまださほど月日がたっていない。

 この場には、俺、ゼロナ、西園寺、そして真一しんいちがいる。

「まさかゼロナさんがSランク冒険者やったとはなぁ」

 真一は生きていた。
 というか、あの戦いで殺されたようだが、無事生き返ることに成功したらしい。それを知ったのは今日が初めてなので、なんかほっとした。

「ぼくからすれば、あんな殺され方をして生きているということの方が驚きだがね」

「厳密に言えば、あれは死ではない」

 ゼロナの一言に対し、真一ではなく西園寺が答える。
 意味深なセリフだ。

青木真一なにわフェニックスの本体はこの社長室にある。この本体が危害を加えられない限り、彼が死ぬことはない」

「いつも俺たちが会っているのは本体じゃない、ということですか?」

 俺に質問に西園寺と真一が頷く。

「そして、おれがその本体で、ここから動くことはできひん。分身と思考を共通することもできひん。そんな便利な超能スキルやないやろ?」

「それでも十分万能だと思うが」

 少なくとも、俺のシャドウライドよりずっと万能だ。
 影に入って移動するだけだぞ、俺の超能スキル

さい君」

 ここで、咳払いをして話題を変えようとする西園寺。

 俺とゼロナは西園寺に呼び出された。それなりに重要な話があるに違いない。

「予定より早まってしまったが、今日で氷室澪奈フロストハウルとのタッグを解消してもらう」



 ***



 同日。

 白桃しらももは土曜日だというのに学校に向かっていた。
 生徒2人と学校で落ち合う約束をしていたからである。

 約束の時間は午後1時。

 黒瀬くろせと同じタイミングで家を出て、12時45分には校門の前に到着する。黒瀬は西園寺に呼び出され、西園寺リバーサイドへと向かったようだ。

「別に、友達・・と約束して会うとか初めてで、嬉しくなって1時間前から来てたわけじゃないんだからねっ!」

「……」

 白桃を絶句させたのは、クラスメイトの佐藤さとうだ。
 彼女は【選別の泉】に入って冒険者の資格を得たため、髪と瞳が青くなり、超人的な力を手にした。

 しかし、学校ではそれを隠している。
 そのため、髪と瞳の色を自然な状態に見せる【ウルフパック】の技術でカモフラージュしていたわけだが、今日はその必要がない。

「ほんとに青かったんだ」

 ボソッと、白桃が本音をこぼす。
 これまで疑っていたような言い方だ。

「……で、どう?」

「え?」

「どうって聞いてんの! 似合ってるって言ってほしいとかじゃないから!」

「あ、似合ってる……よ」

「ふーん。まあ、楓香ふうかもピンク色の髪とか、可愛いんじゃない」

 顔を赤くしながら、白桃を褒める佐藤。
 その様子を見て、白桃が勝ち誇った笑みを浮かべる。

「もしかして、勝海かつみさんてわたしのこと好きだったりして~?」

「そ、そんなわけないでしょ! あんた馬鹿なの!?」

「でも、わたしたち、友達だよね? そういう意味での好きだったんだけど~?」

「まあ、いいんじゃないの。そういう意味でなら……」

 声が少しずつ小さくなっていく佐藤。
 白桃は明らかにこの状況を楽しんでいた。素直じゃないツンデレの佐藤はからかいがいがある。

「ごめん、待たせた?」

 美少女2人がイチャイチャしているところに、また別の美少女が現れた。

 椎名しいな奈菜ななだ。

 彼女もまた普通の人間ではない。
 【選別の泉】に入って力を手にした超人である。

 彼女は普段から髪を黒に染めて過ごしているので、簡単に髪色を戻したりすることはできない。逆に言えば、他の2人は高度な科学技術のおかげで、自由に髪色と瞳の色を変えられる。

「勝海さんが1時間待ってたとかなんとか」

「え?」

「全然待ってなんかないんだからね!」

 佐藤の一言に、椎名が苦笑いする。
 どうやら相当待っていたようだ。

 一瞬だけ申し訳ない気分になるが、まだ約束の時間の10分前であることを思い出す。椎名が謝る必要はない。

「行きますか」

 そう白桃が言うと、全員が肩を並べて歩き出す。
 その足が向いている先は、清明高校の校舎だ。

 冒険者及び超人の美少女3人は、理事長室へと向かっていた。
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