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美少女転校生と同居編
第10話 冒険者としての強さを見せつけるざまぁ展開
今から3年ほど前の冬。
中学2年生の俺が下校していた時だった。
「ちょっと! 離しなさいよ!」
「こっちゃぁイライラしてんだよ。大人しく言うこと聞けよ」
「ふざけないで! あたしをどうする気?」
「冒険者ってのは意外と稼げねぇんだよ。毎日ダンジョン潜っても、結局女と遊べる金なんか手に入んねぇんだぜ」
「だから何よ! あたし中2なんだけど!」
「もうとっくにいい体してんじゃねぇか」
見たくないものを見てしまった。
貧相な体格の男性冒険者が、同級生の女子生徒を襲おうとしている。
このままダンジョンに向かうつもりで、人気のない通りを歩いていたのが問題だったな。
とはいえ、見てしまったのなら見過ごすことはできない。
あの同級生は学年でもかなり有名で、美人で人気が高い。確か名前は佐藤だったか。
気が強くて負けず嫌いな性格なのもよく聞く話で、定期テストでは毎回学年上位5人には食い込んでいるらしい。
俺と2人との間には10メートルほどの距離があったものの、Bランクの冒険者である俺はほぼ一瞬で移動できる。
「やめた方がいいですよ」
「あ?」
男の手が佐藤の服にかけられたところで、冷静に声をかけた。
「お前、いつからここに――」
「ついさっきです。たまたま通りかかったので」
「おい、俺は冒険者やってんだ。お前みてぇなガキなんて、簡単に殺せるんだぞ」
「だったら試してみては?」
俺と男のやり取りを、佐藤は困惑しながら眺めている。
しばらく無言だったかと思うと、隙ができたことに気付いたのか、一気に男の股間を蹴り上げ、俺の背後に逃げ込んだ。
男は少し痛がる素振りを見せたものの、さすがは冒険者。
女子中学生の蹴りなんて大したことはない。
「俺も忙しいので、できるだけ早くしてもらえれば助かります」
「んだと? 可愛い女の子助けてヒーロー気取りか? 俺がその気になりゃな、お前なんて――ッ」
もう男が俺たちに絡んでくることはないだろう。
目に見えない速さの手刀。
肉を断ち切らないよう、手加減して放った一撃だ。
向かい合ってみれば、だいたい相手の冒険者としての強さがわかる。この男は、せいぜいEランクといったところだろうか。
男は一瞬で意識を刈り取られ、その場に静かに倒れた。
――残念だったな。俺に見つかって。
「ちょっ――あんた、何者なわけ? その制服……同じ学校ってことよね……?」
「俺は何もしてない。いきなりこいつが倒れただけだ」
「いや、でも――」
俺の手刀は見切れなかった。
だから何も言えないわけだ。
ただ、男がいきなり倒れたという原因が俺にあることは確信している様子だ。
「こんな人が少ないところは歩かない方がいい。歩くにしても、友達と一緒に――」
「あたし、友達とかいないし」
「そうか」
それは俺にはどうにもできない。
「もし今日のようなことがまたあったら、大声で叫んで助けを求めるようにしてくれ。『モンスターだ』って叫べば誰かは注意を向けてくれる」
佐藤に背を向け、ダンジョンの方角へ歩き出す。
地面に倒れている男は、1時間くらいはあのままだろう。
同級生の貞操の危機も救ったことだし、たまにはこういう善行も悪くないかもしれないな。
「待ちなさいよっ! あんた、名前は?」
「黒瀬」
「ふぅーん、黒瀬、ね。別に助けられたとか思ってないけど、感謝はしてるから。そのお礼として、あんたと友達になってあげる」
「礼なんていらない。俺は何もしてないからな」
俺は見事にスルーした。
友達がいないのは佐藤の方だ。
人気もあるんだし、友達がいないのは不思議だが、その美貌とか、勝ち気な性格とか、いろいろあるんだろう。
俺が気にすることでもないしな。
「あたしが友達になってあげるって言ってんのよ!」
「友達には困ってない」
そんな上から目線で言ってくるうちは、友達にはなれないだろう。
***
中2のあの事件以来、佐藤はやたらと俺に絡んでくるようになった。
高校も一緒になり、2年生になって同じクラスになったことで、その絡みは前以上に深刻化していたのだが――。
「黒瀬、白桃さんとはどういう関係?」
昼食時に絡んでくるのは初だ。
自分の弁当を俺の机の上にドカッと置いたので、一緒に食べる気らしい。
「どういう関係も何も、久しぶりに再会した幼馴染だ」
「なんか距離近すぎなんだけど。まあ、別にあんたが誰と仲良くしていようとあたしには関係ないんだけどねっ」
「だったらいいじゃないですか~。ね、才斗くん」
「だからそういうのが距離近いって言ってんの!」
これが女同士の争いなのか。
よくわからないが、俺を取り合っている状況であることは間違いない。
大輔はここから逃げたそうにしている。
が、自分で弁当食べようと言った手前、動けない。
その後の昼休みだが、いろいろ頑張って説明した結果、不本意な様子を見せながらも佐藤は納得してくれた。
付け焼き刃の幼馴染設定に。
***
放課後はまたダンジョンに向かう。
楓香との下校。
幼馴染と仲良く一緒に下校してます、という雰囲気を醸し出しながら。
「明らかにつけられてますね」
「そうだな」
やっぱり幼馴染設定には無理があったらしい。
振り返って確認こそしないものの、冒険者である俺たちは気配や微妙な音でわかる。
佐藤が後ろからコソコソと尾行してきていることが。
「ダンジョン・ドームに入ってるところは見られたくないんですよね?」
「一応、正体は隠してるからな」
「それじゃあ、ちょっと走りますか」
《上司としての責務編 予告》
白桃の上司兼バディとなった黒瀬。
どうやら彼女はある深刻な問題を抱えているようで……組織の幹部を務めるほどの冒険者黒瀬は、白桃の抱える問題と向き合うことができるのか!?
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中学2年生の俺が下校していた時だった。
「ちょっと! 離しなさいよ!」
「こっちゃぁイライラしてんだよ。大人しく言うこと聞けよ」
「ふざけないで! あたしをどうする気?」
「冒険者ってのは意外と稼げねぇんだよ。毎日ダンジョン潜っても、結局女と遊べる金なんか手に入んねぇんだぜ」
「だから何よ! あたし中2なんだけど!」
「もうとっくにいい体してんじゃねぇか」
見たくないものを見てしまった。
貧相な体格の男性冒険者が、同級生の女子生徒を襲おうとしている。
このままダンジョンに向かうつもりで、人気のない通りを歩いていたのが問題だったな。
とはいえ、見てしまったのなら見過ごすことはできない。
あの同級生は学年でもかなり有名で、美人で人気が高い。確か名前は佐藤だったか。
気が強くて負けず嫌いな性格なのもよく聞く話で、定期テストでは毎回学年上位5人には食い込んでいるらしい。
俺と2人との間には10メートルほどの距離があったものの、Bランクの冒険者である俺はほぼ一瞬で移動できる。
「やめた方がいいですよ」
「あ?」
男の手が佐藤の服にかけられたところで、冷静に声をかけた。
「お前、いつからここに――」
「ついさっきです。たまたま通りかかったので」
「おい、俺は冒険者やってんだ。お前みてぇなガキなんて、簡単に殺せるんだぞ」
「だったら試してみては?」
俺と男のやり取りを、佐藤は困惑しながら眺めている。
しばらく無言だったかと思うと、隙ができたことに気付いたのか、一気に男の股間を蹴り上げ、俺の背後に逃げ込んだ。
男は少し痛がる素振りを見せたものの、さすがは冒険者。
女子中学生の蹴りなんて大したことはない。
「俺も忙しいので、できるだけ早くしてもらえれば助かります」
「んだと? 可愛い女の子助けてヒーロー気取りか? 俺がその気になりゃな、お前なんて――ッ」
もう男が俺たちに絡んでくることはないだろう。
目に見えない速さの手刀。
肉を断ち切らないよう、手加減して放った一撃だ。
向かい合ってみれば、だいたい相手の冒険者としての強さがわかる。この男は、せいぜいEランクといったところだろうか。
男は一瞬で意識を刈り取られ、その場に静かに倒れた。
――残念だったな。俺に見つかって。
「ちょっ――あんた、何者なわけ? その制服……同じ学校ってことよね……?」
「俺は何もしてない。いきなりこいつが倒れただけだ」
「いや、でも――」
俺の手刀は見切れなかった。
だから何も言えないわけだ。
ただ、男がいきなり倒れたという原因が俺にあることは確信している様子だ。
「こんな人が少ないところは歩かない方がいい。歩くにしても、友達と一緒に――」
「あたし、友達とかいないし」
「そうか」
それは俺にはどうにもできない。
「もし今日のようなことがまたあったら、大声で叫んで助けを求めるようにしてくれ。『モンスターだ』って叫べば誰かは注意を向けてくれる」
佐藤に背を向け、ダンジョンの方角へ歩き出す。
地面に倒れている男は、1時間くらいはあのままだろう。
同級生の貞操の危機も救ったことだし、たまにはこういう善行も悪くないかもしれないな。
「待ちなさいよっ! あんた、名前は?」
「黒瀬」
「ふぅーん、黒瀬、ね。別に助けられたとか思ってないけど、感謝はしてるから。そのお礼として、あんたと友達になってあげる」
「礼なんていらない。俺は何もしてないからな」
俺は見事にスルーした。
友達がいないのは佐藤の方だ。
人気もあるんだし、友達がいないのは不思議だが、その美貌とか、勝ち気な性格とか、いろいろあるんだろう。
俺が気にすることでもないしな。
「あたしが友達になってあげるって言ってんのよ!」
「友達には困ってない」
そんな上から目線で言ってくるうちは、友達にはなれないだろう。
***
中2のあの事件以来、佐藤はやたらと俺に絡んでくるようになった。
高校も一緒になり、2年生になって同じクラスになったことで、その絡みは前以上に深刻化していたのだが――。
「黒瀬、白桃さんとはどういう関係?」
昼食時に絡んでくるのは初だ。
自分の弁当を俺の机の上にドカッと置いたので、一緒に食べる気らしい。
「どういう関係も何も、久しぶりに再会した幼馴染だ」
「なんか距離近すぎなんだけど。まあ、別にあんたが誰と仲良くしていようとあたしには関係ないんだけどねっ」
「だったらいいじゃないですか~。ね、才斗くん」
「だからそういうのが距離近いって言ってんの!」
これが女同士の争いなのか。
よくわからないが、俺を取り合っている状況であることは間違いない。
大輔はここから逃げたそうにしている。
が、自分で弁当食べようと言った手前、動けない。
その後の昼休みだが、いろいろ頑張って説明した結果、不本意な様子を見せながらも佐藤は納得してくれた。
付け焼き刃の幼馴染設定に。
***
放課後はまたダンジョンに向かう。
楓香との下校。
幼馴染と仲良く一緒に下校してます、という雰囲気を醸し出しながら。
「明らかにつけられてますね」
「そうだな」
やっぱり幼馴染設定には無理があったらしい。
振り返って確認こそしないものの、冒険者である俺たちは気配や微妙な音でわかる。
佐藤が後ろからコソコソと尾行してきていることが。
「ダンジョン・ドームに入ってるところは見られたくないんですよね?」
「一応、正体は隠してるからな」
「それじゃあ、ちょっと走りますか」
《上司としての責務編 予告》
白桃の上司兼バディとなった黒瀬。
どうやら彼女はある深刻な問題を抱えているようで……組織の幹部を務めるほどの冒険者黒瀬は、白桃の抱える問題と向き合うことができるのか!?
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