ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命

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上司としての責務編

第29話 全ての動機がエロというド変態

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 俺は楓香ふうかを信じることにした。

 キングオーガに勇敢に立ち向かい、最後には必ず勝利してくれると。

 11階層のボス部屋からは、キングオーガの雄叫びが聞こえる。
 敵を威嚇する目的の雄叫びは、対峙する冒険者の気力を奪い、恐怖を増大する効果があった。

 ――大丈夫だろうな……。

 これは楓香が自力で乗り越えるべき壁だ。

 できる限り手を出したくはなかった。



 ***



 ダンジョン11階層のボス部屋。
 王座に堂々と腰掛けるキングオーガの前には、あっけなく斬られ倒れた側近たちの姿があった。

 突如として現れた1人の女冒険者。
 白桃しらもも楓香の存在にキングオーガが狂気の笑みをこぼす。

『オマエノコトハ、オボエテイル』

「……」

 その冒険者の容姿には見覚えがあった。

 1年ほど前だっただろうか。
 10階層に漂ういい・・香りに引き寄せられ、そこで遭遇した女冒険者2人のうちの1人。

 1人は殺した。

 もう1人……それが目の前の少女だ。

「わたしを……覚えてる?」

 オーガの王は頷くと、王座から立ち上がった。

 身長は3メートルもある。
 156センチの楓香の約2倍だ。

 威圧感を放ちながら、小さな人間を見下ろす。

『コロサレニキタノカ?』

「……違う。わたしはあなたを……倒しにきた」

 キングオーガは感心した。
 あの時は楓香に逃げられたわけではない。わざと逃がすことで、恐怖心を植え付けたのだ。

 今、ここに立っている彼女からは確かな恐怖が見えるものの、絶対に倒すという強い意志のようなものが伝わってくる。

「わたしは負けない。だって……才斗さいとくんと約束したからっ! この戦いに勝てば、才斗くんとえっちできるんだ!」

 白桃が飛び出した。

 突然の攻撃に、キングオーガでも対応できない。

 斜めにかわすことで精いっぱいで、ズレた攻撃の軌道が王座に当たり、粉々に砕け散った。

 そこから1対1でのバトルが始まる。

 白桃は自分の小ささを利用し、相手よりも速いスピードであらゆる角度から攻撃を繰り出す。

 前回戦った時はスピードが足りていなかった。
 恐怖に囚われ、剣を振ることにも迷いがあった。

 だが、もう違う。
 白桃は自分の弱さを知った。もう1つの人格があることを知った。

 そしてその弱さと別の人格の存在を認め、受け入れることでさらに強くなったのだ。

 見える。

 敵の攻撃が。

 ――もう怖くない!

 見切ってしまえばこちらのもの。
 スピードでキングオーガに勝っている以上、相手の攻撃を食らわなければパワーも体格も関係ない。

 しかし――。

『ワタシヲナメルナ!』

 キングオーガが雄叫びを上げた。

 白桃の身長くらいある大剣を振り回す。そして生まれた波動が、白桃の体にダイレクトに当たっていく。

「――ッ」

 風圧でピンク色の髪が後ろに引っ張られる。

 圧倒的な力の差。
 攻撃が当たらなくても、素振りで生み出す風だけで白桃を吹き飛ばすことができる。

「わたしは……わたしは才斗くんと……えっちするんだぁぁぁあああ!」

 白桃も対抗するように雄叫びを上げた。
 真剣なバトルシーンには適さないセリフである。

 白桃の全身から魔力が放たれ、風を跳ね除ける。桃色の優しい光が彼女を包み、力をさらに増していく。
 そのオーラは剣に集約され、同時に風も吸収されていった。

『バ、バカナ……』

 ――もう1人のわたし、聞いてる? わたしはもっと強くなる。だから……わたしのこれからのダンジョンでの活躍、見てて。

 一気に剣を振り上げる。

 魔力のオーラが剣をまとい、キングオーガの背丈よりも遥かに長い大剣の完成だ。

 ――わたしは過去を乗り越える!

 剣が振り下ろされた。

 容赦なき一撃。

 黒瀬くろせ才斗の手助けなど必要なかった。
 全部白桃が成し遂げたことだ。

 キングオーガが攻撃を回避できずに真っ二つにされる。倒されたモンスターの体は塵となり、またダンジョンへとかえっていく。

 そのうちよみがえるかもしれない。
 しかし、白桃はもう怖くない。

「何度蘇ろうと、わたしが倒すから」

 力強く呟くと、粉々になった王座と塵となったオーガたちに背を向け、ボス部屋を去った。



 ***



「ということで才斗くん、えっちしましょ」

 ダンジョンから出て家に帰った矢先、俺はベッドに押し倒されていた。

 お腹の上に馬乗りになっているのはもちろん淫乱楓香だ。

「キングオーガと戦いながら、ずっと才斗くんとのプレイのこと考えてました」

「もう怖くもなんともないんだな」

「最高のご褒美が待ってるって考えたら、大したことありません。もう我慢できないんです」

 火照った顔ではぁはぁ言いながら、綺麗な顔を近付けてくる。

「えっちを約束するとは言ってない。せめて食事とかにしてくれ」

「だめですぅ。じゃあせめてディープキスしてください」

「断る」

 俺はAランク冒険者のパワーで強引に楓香を持ち上げ、ベッドから追い出した。

「力強いですね、才斗くん。激しめがいいですか?」

 こいつ……。

「俺も約束の期待を裏切るようなことはしたくない。だから……明日冒険者ワールドに行くっていうのはどうだ?」

「冒険者ワールド、ですか」

 冒険者ワールドは東京にある特大テーマパーク。
 一般人向けに作られた施設だが、冒険者自身も楽しむために利用することがある。

「わかりました! それじゃあ週末デートってことですね。条件は1泊2日でダブルベットの部屋にすることですけど……才斗くんならオッケーしてくれますよねっ?」










《休日と大阪出張編 予告》
 ダンジョン攻略に明け暮れる黒瀬くろせにも、休日がある。
 東京の特大テーマパーク、冒険者ワールドを満喫する黒瀬と白桃しらもも。しかし、テーマパークでの休日を過ごしているのは2人だけではなくて……。
 一方、山口は青木あおきに呼び出されて大阪へ。そこで青木から、衝撃の内容を告げられる!

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