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休日と大阪出張編
第39話 かませ犬にはとりあえず黙ってもらおうというアレ
仲間の死。
もし真一の亡骸が見つかって入れば、今頃葬式をしていただろう。
真一を殺した敵は何者なのか。
俺を襲った闇派閥——赤髪の女冒険者ヴァイオレットが所属している組織の者なのか、はたまたまったく別の勢力なのか。
俺と剣騎は同じ闇派閥が今回の敵であると考えて調査を行っている。
それは【ウルフパック】の社長である西園寺も同じらしい。
俺はなるべく違和感がないよう、大阪の街に溶け込んでいた。
敵からすれば、罠であることなんて百も承知だろう。
だが、剣騎はそこに食い付いてくると確信している様子だった。
「狭いな」
たった1人で、薄暗い通りを歩く。
まだ午後3時くらいなのだが、日当たりが悪いので路地が暗くなってしまう。軽犯罪とかも普通に起きていそうな通りだ。
「おい」
「ん?」
「ここは俺たちのテリトリーなんだけどよぉ、おめぇ何勝手に入ってきてんだよ」
見るからに低級の冒険者がオラついてきた。
世間に素顔を公開していない冒険者で面倒なのはこういうところだ。
Dランクくらいのイキった冒険者が、立場を勘違いして横柄な態度を取ってくる。
弱肉強食の世界。
もし俺が冒険者ではなく、戦闘能力のない一般人だったのなら即退場だった。理不尽だとか、そんなことは関係ない。
強さが全て。
その価値観が今の世の中にあるからこそ、冒険者が調子に乗ることができる。
「忙しいから黙っててくれ」
「――ッ!」
終了。
ポケットに手を突っ込んで睨んできた冒険者の中のゴミは、俺のデコピンによって地面にめり込まされ、これ以上発言できなくなってしまった。
「ここで優越感に浸るのは低レベルだな……」
多少のストレスは解消されるものの、こんなことに快楽を見出していては低俗だ。
散歩の途中でとまってきたハエを叩いたくらいの気持ちでいよう。
「おっ――おめぇ……俺たちがここで終わると思うなよ……!」
もうしゃべりかけられることはないと思っていたのに、しぶとい奴だ。
少し感心した。
俺のデコピンに耐えた上で声が出せるということは、こいつのランクはCくらいだろうか。
「俺を狙ってきたのか? 俺の実力を知っていながら?」
「あの方から言われてんだよ! おめぇを倒せば一気に出世できるって」
「あの方がどれだけの実力者なのかは知らないが、俺の実力を知っている上で、お前みたいな雑魚を送ってくるものなのか?」
だとしたら、相当な無能だと思うんだが。
オブラートに包まず直接的に言ったので、オラオラ男もかなりイラついたようだ。
「俺は組織の中でも下っ端だけどよぉ、上の連中なんておめぇなんか一撃だってんだ!」
「ならどうして攻めてこない?」
「それは……あの方には計画があるんだよ!」
「どんな計画だ?」
「ここで言えるわけねぇだろ! だいたい俺は――」
ブチッ。
何かが切れる音がした。
その瞬間、男の頭から血が噴き出す。
結末は言うまでもない。オラオラ男は死んだ。
「……」
多分だが、あの方とやらが男の脳内に仕込んでいた装置が破裂したんだろう。それで血管が破れ、皮膚が破れ、大量出血を起こした。
何か重要なことを話してしまいそうなタイミング。
ピンポイントにそこで男が死んだということは、この会話がどこかで聞かれている、ということを示している。
もしくは、見られている……?
『黒瀬才斗、キミには戦ってほしい人がいるんだ』
どこからか声が聞こえた。
今にも死にそうな、吐息まじりのハスキーな声。背筋がゾワッとしてしまうような、不気味さを本能的に感じ取る。
声だけで性別を断定するのは難しいが、俺が聞いた限り男である可能性が高そうだ。
「どこだ?」
『ネタ晴らしは早いように感じるが、まあいい。先ほどキミが倒した下村君の体内に、音声スピーカーを搭載してみた。なかなかに音質がいいだろう?』
「……」
『こうして会話するのは初めてということで、キミに質問する時間を与えよう。好きな質問を3つまで投げかけてくるといい』
敵は悠長だ。
おそらく、オラオラ男が話していた『あの方』であると直感する。
だとすると、下村と呼ばれたオラオラ男は、俺とあの方が会話をするために派遣された捨て駒だったんだろうか。
「お前の体は今、どこにある? 大阪か?」
『大阪にいたのなら直接出向いていたかもしれない。簡潔に言おう。ボクは今、東京にいる』
こうして1つ目の質問コーナーが終わる。
とりあえずラスボスは今近くにいないことだけがわかった。
「そもそも、お前が闇組織のトップと考えていいのか?」
『そう考えてもらって結構。ついでに答えてあげよう。先日、ヴァイオレットをキミのところに差し向けたのもボクだ』
敵の言葉は疑うのが普通だ。
だが、この質問への解答に関しては、真実であると信じれるような気がした。
それが敵の掌の上で転がされている証拠だとしたらなんとも言えないが、自分からわざわざ質問を振っておいて、偽りの答えを言う意図がわからない。
――俺を混乱させたいのか?
悪いが、俺はその程度で動揺する冒険者じゃない。
「最後の質問だ。【ウルフパック】のSランク冒険者、青木真一を殺したのは誰だ?」
『その質問を待っていたんだ、ボクは』
不気味な声の主がどこかで笑う。
声のトーンから、その笑いが偽りのないものであるとわかる。
『青木真一を殺したのは、キミも交戦経験のあるヴァイオレット、またの名を、黒瀬天音だ』
もし真一の亡骸が見つかって入れば、今頃葬式をしていただろう。
真一を殺した敵は何者なのか。
俺を襲った闇派閥——赤髪の女冒険者ヴァイオレットが所属している組織の者なのか、はたまたまったく別の勢力なのか。
俺と剣騎は同じ闇派閥が今回の敵であると考えて調査を行っている。
それは【ウルフパック】の社長である西園寺も同じらしい。
俺はなるべく違和感がないよう、大阪の街に溶け込んでいた。
敵からすれば、罠であることなんて百も承知だろう。
だが、剣騎はそこに食い付いてくると確信している様子だった。
「狭いな」
たった1人で、薄暗い通りを歩く。
まだ午後3時くらいなのだが、日当たりが悪いので路地が暗くなってしまう。軽犯罪とかも普通に起きていそうな通りだ。
「おい」
「ん?」
「ここは俺たちのテリトリーなんだけどよぉ、おめぇ何勝手に入ってきてんだよ」
見るからに低級の冒険者がオラついてきた。
世間に素顔を公開していない冒険者で面倒なのはこういうところだ。
Dランクくらいのイキった冒険者が、立場を勘違いして横柄な態度を取ってくる。
弱肉強食の世界。
もし俺が冒険者ではなく、戦闘能力のない一般人だったのなら即退場だった。理不尽だとか、そんなことは関係ない。
強さが全て。
その価値観が今の世の中にあるからこそ、冒険者が調子に乗ることができる。
「忙しいから黙っててくれ」
「――ッ!」
終了。
ポケットに手を突っ込んで睨んできた冒険者の中のゴミは、俺のデコピンによって地面にめり込まされ、これ以上発言できなくなってしまった。
「ここで優越感に浸るのは低レベルだな……」
多少のストレスは解消されるものの、こんなことに快楽を見出していては低俗だ。
散歩の途中でとまってきたハエを叩いたくらいの気持ちでいよう。
「おっ――おめぇ……俺たちがここで終わると思うなよ……!」
もうしゃべりかけられることはないと思っていたのに、しぶとい奴だ。
少し感心した。
俺のデコピンに耐えた上で声が出せるということは、こいつのランクはCくらいだろうか。
「俺を狙ってきたのか? 俺の実力を知っていながら?」
「あの方から言われてんだよ! おめぇを倒せば一気に出世できるって」
「あの方がどれだけの実力者なのかは知らないが、俺の実力を知っている上で、お前みたいな雑魚を送ってくるものなのか?」
だとしたら、相当な無能だと思うんだが。
オブラートに包まず直接的に言ったので、オラオラ男もかなりイラついたようだ。
「俺は組織の中でも下っ端だけどよぉ、上の連中なんておめぇなんか一撃だってんだ!」
「ならどうして攻めてこない?」
「それは……あの方には計画があるんだよ!」
「どんな計画だ?」
「ここで言えるわけねぇだろ! だいたい俺は――」
ブチッ。
何かが切れる音がした。
その瞬間、男の頭から血が噴き出す。
結末は言うまでもない。オラオラ男は死んだ。
「……」
多分だが、あの方とやらが男の脳内に仕込んでいた装置が破裂したんだろう。それで血管が破れ、皮膚が破れ、大量出血を起こした。
何か重要なことを話してしまいそうなタイミング。
ピンポイントにそこで男が死んだということは、この会話がどこかで聞かれている、ということを示している。
もしくは、見られている……?
『黒瀬才斗、キミには戦ってほしい人がいるんだ』
どこからか声が聞こえた。
今にも死にそうな、吐息まじりのハスキーな声。背筋がゾワッとしてしまうような、不気味さを本能的に感じ取る。
声だけで性別を断定するのは難しいが、俺が聞いた限り男である可能性が高そうだ。
「どこだ?」
『ネタ晴らしは早いように感じるが、まあいい。先ほどキミが倒した下村君の体内に、音声スピーカーを搭載してみた。なかなかに音質がいいだろう?』
「……」
『こうして会話するのは初めてということで、キミに質問する時間を与えよう。好きな質問を3つまで投げかけてくるといい』
敵は悠長だ。
おそらく、オラオラ男が話していた『あの方』であると直感する。
だとすると、下村と呼ばれたオラオラ男は、俺とあの方が会話をするために派遣された捨て駒だったんだろうか。
「お前の体は今、どこにある? 大阪か?」
『大阪にいたのなら直接出向いていたかもしれない。簡潔に言おう。ボクは今、東京にいる』
こうして1つ目の質問コーナーが終わる。
とりあえずラスボスは今近くにいないことだけがわかった。
「そもそも、お前が闇組織のトップと考えていいのか?」
『そう考えてもらって結構。ついでに答えてあげよう。先日、ヴァイオレットをキミのところに差し向けたのもボクだ』
敵の言葉は疑うのが普通だ。
だが、この質問への解答に関しては、真実であると信じれるような気がした。
それが敵の掌の上で転がされている証拠だとしたらなんとも言えないが、自分からわざわざ質問を振っておいて、偽りの答えを言う意図がわからない。
――俺を混乱させたいのか?
悪いが、俺はその程度で動揺する冒険者じゃない。
「最後の質問だ。【ウルフパック】のSランク冒険者、青木真一を殺したのは誰だ?」
『その質問を待っていたんだ、ボクは』
不気味な声の主がどこかで笑う。
声のトーンから、その笑いが偽りのないものであるとわかる。
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