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休日と大阪出張編
第47話 犠牲になってヒロインを守るというアレ
戦場で行われる告白。
映画ではロマンティックな雰囲気になることもあるが、現実では修羅場だ。
まず、告白の間に放置されていた敵が黙っていない。
「待て待て! そういうのは後にしろ!」
「俺もそう思う」
ジェシカはほんの少し顔を赤くしながら、キモいものを見るような目で真一を見ていた。
俺もボソッと呟いておく。
本心だからな。
「そうやな。まずは仕事してから。あんたを倒してからが始まりや」
何も始まらないと思うが、彼のためを思って何も言わないでおく。
真一は本気だ。
本気だが、正気だとは思えない。
自分を殺した相手を好きになるなんて、彼にしかできないことだろう。そもそも、死んで生き返ることのできる奴が彼しかいないのだから。
「ごめんなさい……私はあなたとは付き合えない。私には大切な弟がいる」
「だから返事は後でお願いしますって!」
振られたのを合図に、真一がジェシカに飛びかかった。
振られた腹いせなのかもしれない。
どんな考えがあるのかはわからないが、とりあえず戦闘再開だ。
俺と姉さんも戦いの波に乗る。
お互いの邪魔をしないよう、リズムを合わせて剣を動かしていく。
この3人での連携は初めてなので、もちろん完璧にはいかない。だが、これまでの訓練の成果が出たというべきか、仲間の動きに合わせて柔軟な戦い方ができていたと思う。
***
ダンジョン18階層全体に響き渡る魔力振動。
その凄まじい揺れが気絶していた白桃を起こした。
「……才斗くん……」
ゆっくりと目を開く。
そこには、青木を加えた3人で敵と戦う冒険者たちの姿が。
闇派閥からの刺客。
白桃は佐藤と別れた後、1人でダンジョン攻略に乗り出していた。
トラウマを乗り越えたことで11階層までは自信を持って攻略することができるようになっていたので、12階層への挑戦を考えてみる。
しかし、そんな時に刺客が現れた。
背の高い女性冒険者。
白人の血も混じっていそうな顔立ち。
その女冒険者は、11階層に現れたかと思うとすぐさま白桃の首をつかみ、縦穴に飛び込んだ。
ダンジョンには縦穴が存在する。
その縦穴の出現はイレギュラーであり、予測ができない。縦穴の規模も運による。
しかし、その女冒険者は意図的に縦穴を出現させ、そのまま11階層と18階層を縦で繋いでしまった。
相当な高さからの着地。
Aランク相当の冒険者でも、衝撃に耐えられずに骨を砕いたり、筋肉を破裂させたりしてしまうかもしれないほどの高低差。
女冒険者は無表情、無傷で着地。
白桃はまだ意識がはっきりしていたため、自分をつかんでいる女冒険者が自分より遥かに格上であると、この時確信した。
女冒険者、ジェシカは、バトルの礼儀を重んじるタイプなのか、単にバトルを楽しみたいのか、白桃に戦闘準備の時間をやると言った。
剣を構え、攻撃を仕掛ける準備だ。
白桃はそれが強者特有の余裕であると判断し、深く警戒することなく、落ち着いて準備し、戦闘に移ったというわけである。
――わたし、また気絶して……。
少し前、ヴァイオレットに襲われた時を思い出す白桃。
そのヴァイオレットがなぜか、今は才斗の味方として戦っている。
青木の死と復活に関しては、そもそも青木の情報を持っていなかったため、組織でも上位のSランク冒険者が加勢に来てくれている、くらいの感覚であり、まったく違和感や驚愕はなかった。
少し離れた位置から、4人の冒険者の壮絶なバトルを眺める。
3人で戦っているのにも関わらず、実力の差はさほどない。
敵の実力はSランクにも匹敵するのではないか。そう白桃が思うほどだった。
青木はさすがSランクというだけの反応速度で、才斗や天音と比較しても抜けている。
――ヴァイオレット……顔に既視感があると思ったら……才斗くんのお姉さんだったなんて……。
少し前に繰り広げられていた会話をふわふわした意識の中で聞いていた白桃。
まさかのヴァイオレットが才斗の姉だったという事実に目を丸くする。
察しがいい白桃は、以前とは雰囲気の違う黒瀬天音の様子を見て、洗脳か何かが解けたのではないか、という考察をした。
正解である。
――そんなことより、わたしも才斗くんの役に立たないと……!
冒険者である以上、戦いを黙って見ていることなどできない。
レベルが違いすぎるため、前線では活躍できないかもしれない。
しかし、遠くからでもいざというチャンスのための構えくらいはできるのではないか。
そう考えた白桃は、なんとか起き上がり、剣を抜いた。
「やっと起きてくれたね」
それは大きな隙だった。
ジェシカにとっては、白桃はいつでも狩れる獲物でしかなかったのだ。
「ヴェルウェザー様には怒られるかもしれないが……気が変わった。殺しても死なない最高のおもちゃを見つけたんだ。黒瀬才斗はともかく、白桃楓香くらい始末しておいてもいいよね」
「――ッ」
瞬き。
その僅か0.1秒の隙。
白桃とジェシカの間合いがゼロになった。
目をつぶる。
もうダメだ。
死んだ。
そう白桃は思った。
――ありがとう、才斗くん。才斗くんに出会えて良かった……天国では才斗くんと妄想でいっぱいエロいことします……。
「……あれ?」
死んでいない。
息をしている。痛みも感じない。
「間に合った……」
白桃の目の前には才斗がいた。
自らが犠牲となって腹を刺され、白桃を守り抜いた、勇敢な冒険者の姿だった。
映画ではロマンティックな雰囲気になることもあるが、現実では修羅場だ。
まず、告白の間に放置されていた敵が黙っていない。
「待て待て! そういうのは後にしろ!」
「俺もそう思う」
ジェシカはほんの少し顔を赤くしながら、キモいものを見るような目で真一を見ていた。
俺もボソッと呟いておく。
本心だからな。
「そうやな。まずは仕事してから。あんたを倒してからが始まりや」
何も始まらないと思うが、彼のためを思って何も言わないでおく。
真一は本気だ。
本気だが、正気だとは思えない。
自分を殺した相手を好きになるなんて、彼にしかできないことだろう。そもそも、死んで生き返ることのできる奴が彼しかいないのだから。
「ごめんなさい……私はあなたとは付き合えない。私には大切な弟がいる」
「だから返事は後でお願いしますって!」
振られたのを合図に、真一がジェシカに飛びかかった。
振られた腹いせなのかもしれない。
どんな考えがあるのかはわからないが、とりあえず戦闘再開だ。
俺と姉さんも戦いの波に乗る。
お互いの邪魔をしないよう、リズムを合わせて剣を動かしていく。
この3人での連携は初めてなので、もちろん完璧にはいかない。だが、これまでの訓練の成果が出たというべきか、仲間の動きに合わせて柔軟な戦い方ができていたと思う。
***
ダンジョン18階層全体に響き渡る魔力振動。
その凄まじい揺れが気絶していた白桃を起こした。
「……才斗くん……」
ゆっくりと目を開く。
そこには、青木を加えた3人で敵と戦う冒険者たちの姿が。
闇派閥からの刺客。
白桃は佐藤と別れた後、1人でダンジョン攻略に乗り出していた。
トラウマを乗り越えたことで11階層までは自信を持って攻略することができるようになっていたので、12階層への挑戦を考えてみる。
しかし、そんな時に刺客が現れた。
背の高い女性冒険者。
白人の血も混じっていそうな顔立ち。
その女冒険者は、11階層に現れたかと思うとすぐさま白桃の首をつかみ、縦穴に飛び込んだ。
ダンジョンには縦穴が存在する。
その縦穴の出現はイレギュラーであり、予測ができない。縦穴の規模も運による。
しかし、その女冒険者は意図的に縦穴を出現させ、そのまま11階層と18階層を縦で繋いでしまった。
相当な高さからの着地。
Aランク相当の冒険者でも、衝撃に耐えられずに骨を砕いたり、筋肉を破裂させたりしてしまうかもしれないほどの高低差。
女冒険者は無表情、無傷で着地。
白桃はまだ意識がはっきりしていたため、自分をつかんでいる女冒険者が自分より遥かに格上であると、この時確信した。
女冒険者、ジェシカは、バトルの礼儀を重んじるタイプなのか、単にバトルを楽しみたいのか、白桃に戦闘準備の時間をやると言った。
剣を構え、攻撃を仕掛ける準備だ。
白桃はそれが強者特有の余裕であると判断し、深く警戒することなく、落ち着いて準備し、戦闘に移ったというわけである。
――わたし、また気絶して……。
少し前、ヴァイオレットに襲われた時を思い出す白桃。
そのヴァイオレットがなぜか、今は才斗の味方として戦っている。
青木の死と復活に関しては、そもそも青木の情報を持っていなかったため、組織でも上位のSランク冒険者が加勢に来てくれている、くらいの感覚であり、まったく違和感や驚愕はなかった。
少し離れた位置から、4人の冒険者の壮絶なバトルを眺める。
3人で戦っているのにも関わらず、実力の差はさほどない。
敵の実力はSランクにも匹敵するのではないか。そう白桃が思うほどだった。
青木はさすがSランクというだけの反応速度で、才斗や天音と比較しても抜けている。
――ヴァイオレット……顔に既視感があると思ったら……才斗くんのお姉さんだったなんて……。
少し前に繰り広げられていた会話をふわふわした意識の中で聞いていた白桃。
まさかのヴァイオレットが才斗の姉だったという事実に目を丸くする。
察しがいい白桃は、以前とは雰囲気の違う黒瀬天音の様子を見て、洗脳か何かが解けたのではないか、という考察をした。
正解である。
――そんなことより、わたしも才斗くんの役に立たないと……!
冒険者である以上、戦いを黙って見ていることなどできない。
レベルが違いすぎるため、前線では活躍できないかもしれない。
しかし、遠くからでもいざというチャンスのための構えくらいはできるのではないか。
そう考えた白桃は、なんとか起き上がり、剣を抜いた。
「やっと起きてくれたね」
それは大きな隙だった。
ジェシカにとっては、白桃はいつでも狩れる獲物でしかなかったのだ。
「ヴェルウェザー様には怒られるかもしれないが……気が変わった。殺しても死なない最高のおもちゃを見つけたんだ。黒瀬才斗はともかく、白桃楓香くらい始末しておいてもいいよね」
「――ッ」
瞬き。
その僅か0.1秒の隙。
白桃とジェシカの間合いがゼロになった。
目をつぶる。
もうダメだ。
死んだ。
そう白桃は思った。
――ありがとう、才斗くん。才斗くんに出会えて良かった……天国では才斗くんと妄想でいっぱいエロいことします……。
「……あれ?」
死んでいない。
息をしている。痛みも感じない。
「間に合った……」
白桃の目の前には才斗がいた。
自らが犠牲となって腹を刺され、白桃を守り抜いた、勇敢な冒険者の姿だった。
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