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九州での抗争編
第61話 秘密の訓練施設にエレベーターで降りるというアレ
【ウルフパック】の冒険者訓練所。
社長である西園寺のビルの地下にある、日本最大級の訓練施設だ。
地下2階。
訓練所のエントランス。
受付には可愛い受付嬢、ではなく、強面の冒険者がいた。西園寺曰く、ここは甘い覚悟で立ち入れる場所ではないと、強面の冒険者で表しているとのこと。
別にそこまでしなくてもいいと思うが、社長の意向なら仕方ない。
強面の男は俺たちスター冒険者の登場に動揺し、何度も頭をペコペコさせていた。それではせっかくの威圧感が台無しだ。
受付を終えると、そのままエレベーターで地下15階まで降りていく。
「地下15階って……ダンジョンに繋がっていそうな深さですよね」
「残念ながら、ここの地下はダンジョンじゃないよ、白桃君。力に飢えた冒険者たちがいるだけさ」
***
叫び声が聞こえる。
痛みに唸り、勝利に雄叫び、苦しみに抗う。
「地下15階は選ばれし冒険者にしか立ち入れない、通称『地獄』とも称される最高の訓練所だ。才斗たちには今日から金曜までの間、ダンジョンを避けてここで訓練してもらうことになった」
「そこまでしてダンジョンと距離を取らせたいか」
「いろいろあるんだよ。西園寺さんから才斗を任せられたんだ。悪いけど従ってくれよ」
「……わかった」
「文句があるなら社長に直接言うように。どうせ記者会見の時に会うだろうからね」
記者会見は今週の水曜にある。
自分がブラックであるということを正式に世間に公表するわけだ。
多くの記者からの無遠慮な質問に耐え、癇癪を起さないようにしなければならない。有名人は大変だ。
「才斗くん、その記者会見で、わたしと正式に付き合ってることを公表してくれませんか?」
「そこまでするのか?」
「だってぇ、これで才斗くんを狙うような女の子が少なくなるわけですよね。その方が才斗くんとしても助かりませんか?」
「確かにそうだが……別に俺を狙うような女子は――」
「椎名さん、いましたよね」
「……」
「あの人、清楚ビッチで有名なんです。高校に入ってから20人以上の人と付き合って、全員1週間以内に捨ててるとか」
「よくそんなことまで知ってるな」
たまに忘れそうになるが、楓香は転校生だ。
まだ会って数週間しかたってない。
それを考えると、俺と楓香が付き合うまでの時間もかなり短いな。周囲の生徒の目にはどう映ってるんだろう。
「少し前に佐藤さんが言ってました。今はまったく会えてないんですけど」
「佐藤か……」
気になることといえば佐藤だ。
闇派閥との関係も示唆されていたが、実際のところどうなのか。
あの少年が佐藤に化けていたのも、彼女が関与していることの理由の1つのようにも思える。
直接本人と接触するのが1番なんだろうが、連絡は取れないし、学校にも姿を見せないし……。
「その佐藤っていう娘は、佐藤勝海で合ってるかい?」
ここで、剣騎が割り込んでくる。
「社長と闇派閥に関して調査する中で、その名前も出てきたんだ。今ちょうど西園寺さんが調べてるから、才斗は気にしなくてもいい」
「いや余計に気になるんだが」
「んー、確かにこんな言い方したらそうなるか」
同情するような顔を見せたが、結局開き直る剣騎。
もうこれ以上佐藤のことを言及することはなさそうだ。
***
剣騎が自分の冒険者カードをスキャンすると、アダマンタイト製の強硬な自動ドアが大きな音を立てながら開いた。
訓練所の最下層。
地下15階に来たのは初めてだ。
ランクが上がってからは訓練所を使うことがほぼなかった。
「先客がいたようだね」
どんな威力の攻撃にも耐えられる部屋の中に、汗をダラダラと流す1人の冒険者がいた。
――あいつか……。
「黒瀬」
「一ノ瀬さん……」
長髪に長身の、Sランク冒険者。
かなりハードなトレーニングをこなしていたのか、目が狂気に満ちている。そして、その狂気の今の矛先は俺だ。
「ちょうどいい。貴様が俺の相手になれ」
社長である西園寺のビルの地下にある、日本最大級の訓練施設だ。
地下2階。
訓練所のエントランス。
受付には可愛い受付嬢、ではなく、強面の冒険者がいた。西園寺曰く、ここは甘い覚悟で立ち入れる場所ではないと、強面の冒険者で表しているとのこと。
別にそこまでしなくてもいいと思うが、社長の意向なら仕方ない。
強面の男は俺たちスター冒険者の登場に動揺し、何度も頭をペコペコさせていた。それではせっかくの威圧感が台無しだ。
受付を終えると、そのままエレベーターで地下15階まで降りていく。
「地下15階って……ダンジョンに繋がっていそうな深さですよね」
「残念ながら、ここの地下はダンジョンじゃないよ、白桃君。力に飢えた冒険者たちがいるだけさ」
***
叫び声が聞こえる。
痛みに唸り、勝利に雄叫び、苦しみに抗う。
「地下15階は選ばれし冒険者にしか立ち入れない、通称『地獄』とも称される最高の訓練所だ。才斗たちには今日から金曜までの間、ダンジョンを避けてここで訓練してもらうことになった」
「そこまでしてダンジョンと距離を取らせたいか」
「いろいろあるんだよ。西園寺さんから才斗を任せられたんだ。悪いけど従ってくれよ」
「……わかった」
「文句があるなら社長に直接言うように。どうせ記者会見の時に会うだろうからね」
記者会見は今週の水曜にある。
自分がブラックであるということを正式に世間に公表するわけだ。
多くの記者からの無遠慮な質問に耐え、癇癪を起さないようにしなければならない。有名人は大変だ。
「才斗くん、その記者会見で、わたしと正式に付き合ってることを公表してくれませんか?」
「そこまでするのか?」
「だってぇ、これで才斗くんを狙うような女の子が少なくなるわけですよね。その方が才斗くんとしても助かりませんか?」
「確かにそうだが……別に俺を狙うような女子は――」
「椎名さん、いましたよね」
「……」
「あの人、清楚ビッチで有名なんです。高校に入ってから20人以上の人と付き合って、全員1週間以内に捨ててるとか」
「よくそんなことまで知ってるな」
たまに忘れそうになるが、楓香は転校生だ。
まだ会って数週間しかたってない。
それを考えると、俺と楓香が付き合うまでの時間もかなり短いな。周囲の生徒の目にはどう映ってるんだろう。
「少し前に佐藤さんが言ってました。今はまったく会えてないんですけど」
「佐藤か……」
気になることといえば佐藤だ。
闇派閥との関係も示唆されていたが、実際のところどうなのか。
あの少年が佐藤に化けていたのも、彼女が関与していることの理由の1つのようにも思える。
直接本人と接触するのが1番なんだろうが、連絡は取れないし、学校にも姿を見せないし……。
「その佐藤っていう娘は、佐藤勝海で合ってるかい?」
ここで、剣騎が割り込んでくる。
「社長と闇派閥に関して調査する中で、その名前も出てきたんだ。今ちょうど西園寺さんが調べてるから、才斗は気にしなくてもいい」
「いや余計に気になるんだが」
「んー、確かにこんな言い方したらそうなるか」
同情するような顔を見せたが、結局開き直る剣騎。
もうこれ以上佐藤のことを言及することはなさそうだ。
***
剣騎が自分の冒険者カードをスキャンすると、アダマンタイト製の強硬な自動ドアが大きな音を立てながら開いた。
訓練所の最下層。
地下15階に来たのは初めてだ。
ランクが上がってからは訓練所を使うことがほぼなかった。
「先客がいたようだね」
どんな威力の攻撃にも耐えられる部屋の中に、汗をダラダラと流す1人の冒険者がいた。
――あいつか……。
「黒瀬」
「一ノ瀬さん……」
長髪に長身の、Sランク冒険者。
かなりハードなトレーニングをこなしていたのか、目が狂気に満ちている。そして、その狂気の今の矛先は俺だ。
「ちょうどいい。貴様が俺の相手になれ」
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