ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命

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白熱の最強冒険者決定戦編

第76話 白熱のバトルが期待される最強冒険者決定戦

 東京に帰ると、またいつもの日々が戻ってきた。

 闇派閥の幹部勢力を抑え込むことに成功したため、ダンジョン攻略も再開。放課後は訓練所ではなくダンジョン。
 この違いは大きい。

 学校に行くと九州でのことを大輔だいすけ及びしつこいクラスメイトに質問攻めされた。

 冒険者ニュースで知ったらしい。
 詳細については伏せられていたようで、当事者しか知らないような情報を彼らは欲していた。

 無論、クラスメイトを巻き込むわけにはいかない。
 どれだけしつこく聞かれようが、俺も楓香ふうかも口を割らなかった。

「すっかり人気者ですね、わたしたち」

「人気者とは違うだろ」

「そうですか? わたしとしては、才斗さいとくんを見つめる女子の視線がどうも怪しいんですよね」

 昼休みは楓香と昼食を取る。
 屋上は貸し切り。

 景色はそこそこ。

 何かの弾みで落ちたとしても、俺たちが死ぬことはないだろう。
 この程度の高さであれば、自在に体をコントロールして華麗に着地することができそうだ。

「それこそ、佐藤さとうさんとはあの後変なことしてないですよね?」

「何もない。そもそも、特に話すこともなかった」

「それはそれで酷いですよ。佐藤さん、才斗くんのこと好きって言ったんですよ」

「だが断った」

「むー」

 何が不満なのか。
 浮気したわけでもないし、問題ないだろ。女心はまったくわからないな。

「でもまあ、また普通に学校に通えるみたいで良かったですね。佐藤さんはまだ、みんなに冒険者だってことバレてないみたいですし」

「運が良かったな」

 これに関しては運もあるだろう。

 休んでいた数週間は、所謂いわゆる登校拒否という形で処理され、生徒や教員の間でも特に違和感なく受け入れられたはずだ。

 メディアが佐藤を詳しく調べなかったのも幸運だった。
 これに関しては、西園寺さいおんじがかなり警戒して裏で手を回してくれているとかいないとか。

「そういえば、今日の冒険者ニュース見ました?」

「冒険者ニュース?」

 急に話題を変えてくる楓香。

 唐突に冒険者ニュースの話になり、怪訝な顔をする俺。

 冒険者ニュースはかなり頻繁に更新されていて、通知がウザいので非通知にしている。だからか、冒険者でありながらもさほど冒険者ニュースのアプリを見ない。
 そんな俺に、急な時事ネタはなかなかきつい。

「え、見てないんですか!? 結構なビッグニュースですよ!!」

「そんなにか?」

 楓香が目を丸くして驚く。
 いつも大袈裟なところがあるが、それにしても大きなリアクションだ。

「冒戦ですよ、冒戦!」

「最強冒険者決定戦のことか。それがどうした? 今年の10月にあるってことくらいはわかる」

「違うんです! その冒戦で、【ウルフパック】と【バトルホークス】が参加を表明したんです!」

「……は?」



 ***



「今年は参加できるだけの余裕がある。存分に力を発揮してもらいたい」

 俺と楓香は西園寺リバーサイドの最上階に押しかけていた。

 社長から直々に話を聞くためだ。
 そのうち説明されることかもしれないが、今すぐに知りたかった。どうして今年は参加することにしたのか。

「余裕って……闇派閥のことはいいんですか?」

「ヴェルウェザーの正体、動機、目的はある程度把握できた。今も慎重に対応するようにしているが、それは彼にとっても同じことだ」

「ヴェルウェザーも今、慎重になっている、と?」

「そうだ。ここ数週間で多くのエリートを失った……というか、自分で彼らの頭を吹き飛ばして……」

「それは逆に、彼らと同じだけの実力を持った幹部が他にもいるから切り捨てられたということでは――」

「それも考えられなくもない。しかし、天音あまねちゃんや佐藤勝海かつみからの情報もある」

「……」

 どの道、これは社長の意向だ。
 俺たちは別に反対しに来たわけじゃない。

「わかりました」

 軽く頷き、同意する。

「そうか。言うまでもないことだが、君たちにも最強冒険者決定戦に参加してもらうつもりだ」

「「はい」」

 躊躇うことはなかった。
 楓香とほぼ同時に威勢のいい返事をする。

 今回は【バトルホークス】も出場することを考えると、本当の意味での最強冒険者決定戦が行われるということ。

 俺の目的は強くなることだ。

 どんな結果になっても、自分の成長に繋がる貴重な機会になる。利用しない手はない。

「ちなみに――」

 西園寺が椅子から立ち上がる。
 ゆっくりとしたその動作は、あのふにゃふにゃな時とは違う絶対的な強者オーラを放っていた。

「――私も今回の冒戦に出場する。だが我々・・の1番の強敵は、間違いなく神宮司皇命ロード・オブ・ダンジョンになるだろう」
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