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白熱の最強冒険者決定戦編
第84話 恋人との共通点にドキドキするという青春
楓香はドヤ顔をしながら観客席に上がってきた。
俺の顔を見た瞬間、一気に瞳を輝かせる。
「才斗くん! 勝ちました! これでえっちできますね!」
「……」
剣騎とのシリアスな会話から一変、何も知らない楓香のおかげで雰囲気が一気に明るくなった。
「あの田中さんに勝っちゃうなんて凄すぎませんか!?」
「……そうだな」
「むぅー。もっと喜んでくださいよー」
冷たい反応として受け取られたが、実際は本気で驚いていた。
ランクが自分より高い相手に勝つこと。
冒険者界の常識では、不可能に限りなく近い。
だが、楓香はそれをやってのけた。これではまるで……。
「かつての才斗を見てるみたいだね」
「ああ」
剣騎の漏らした一言に、深く頷く。
「かつての才斗くん……? どういうことですか?」
「白桃君が格上の冒険者を破ったことについてだよ。僕が才斗に本気で期待し始めたのは、当時Cランクだった才斗が、Bランクの冒険者に勝ってからだった……つまり、君は今回、過去の才斗と同じ偉業を成したのさ」
「才斗くんも同じことを……ヤバいです。興奮して濡れてきちゃいました」
そんなこと言うと、剣騎がドン引きするからやめてほしい。
もうそろそろ楓香免疫ができていてもおかしくない頃だが、まだ剣騎は反応に困っている。
そもそも下ネタ系が得意ではなさそうな剣騎のことだ。女子でここまでガツガツ言えるタイプに初めて会ったのかもな。俺もだが。
「でも、CランクがBランク倒しちゃうのって、そんなに凄いことなんですか?」
「……凄いなんてものじゃないよ。君は自分がどれだけの偉業を成したのか気付いてないみたいだ」
剣騎が観客席全体を見回す。
会場は円形になっているので、さっと全体を確認しやすい。
もうすでに次の冒険者が出てきているところだが、まだ観客たちは比較的静かで、困惑している様子。
もしかしたら、先ほどの沈黙は楓香の変態さにドン引きしていただけじゃなかったのかもしれない。
「会場が楓香に注目してるな」
「え、わたしに?」
「少なくとも、今日のニュースのトップには載るんじゃないのか」
楓香はそれだけのことをした。
今になって、はっきりと実感する俺たち。それは楓香本人も同じこと。
「冒険者としても、わたしって注目されちゃうんでしょうか?」
「しばらくは話題になるかもしれない」
「今後は黒瀬才斗の彼女&格上キラーの冒険者として頑張っていかないとですね」
こういう時の楓香の冷静さとユーモアは凄い。
軽々しく言っているが、格上の冒険者を破ることはとんでもなく凄いことなのだ。
剣騎が可能性を見出して楓香を俺の部下に推薦したということもあり、まさかとは思っていたが、ここまで冒険者としてのセンスを持っているとは思わなかった。
――強さへの渇望……。
ふと、その言葉が頭に浮かんできた。
俺がここまで強くなれたのは、単純にセンスだけではなく、誰よりも努力を重ねたからだと思っている。
毎日ダンジョンに潜り続け、モンスターを狩る日々。
そこには復讐心と強さへの欲があった。
ここまで楓香と関わってきて、彼女の中の葛藤であったり、彼女の求める強さのようなものが少しだけだがわかってきた。
それを踏まえた上で、俺と彼女の共通点は強さへの渇望だと思う。
楓香が黒桃という人格を抱えているのと同じように、俺も闇を抱えている。
そして惹かれ合った。
「白桃君、僕が【ウルフパック】を辞めた後は、君に空いた幹部の座を任せたよ」
「……え? 山口さん、【ウルフパック】辞めるんですか!?」
親指を立てながら笑う剣騎。
もう楓香にも打ち明けることにしたらしい。
別に嫉妬してるわけじゃないが、それなら俺にはもっと早い段階で話しておくべきだったと思う。嫉妬じゃないぞ!
***
午前中のスケジュールを終え、昼休憩に入った。
とはいえ、ほとんどはゆったり観戦していたので、貴重な休憩ってほどでもない。
レモンソーダとの戦いは一瞬だったが、2回戦の相手はAランク冒険者だった。
それもあって少しだけ時間をかけたが、難なく勝利し、無事に午後の試合の出場を決める。
勝ち抜き戦なので負ければ終わりだ。
観客席には負けて出場機会を失った冒険者が残っていたりするので、ほんのピリピリとした雰囲気が漂っている。
悔しさに涙を流す者、自分の敗北を認められないプライドの高い者、などなど。
冒険者は多種多様だ。
注目の試合は午後からの剣騎の試合と、楓香の試合。
剣騎はシードなのでこれから初めての冒戦2030となるが、楓香はもう午前中に2回も勝利を収めた。
そう、2回もだ。
2回戦の相手もBランクだった。
Bランクの中ではなりたてという感じで、さほど熟練感はなかったものの、また彼女はランクの壁をぶち破った。
本当に格上キラーなのかもしれない。
ニュースでその異名が付けられるのは間違いなしだな。
「才斗くん、ちゃんと約束は守ってもらいますからね」
「なんのことだ?」
「えっちのことですよ。2回も格上に勝ったんですから、いいですよね?」
「それなら最後の相手にも勝って、この予選をクリアしてみないか?」
「それもそうですけど……えっちは確定ってことでいいですよね? 今夜ですよ、今夜。言い逃れはできませんからね」
「……はぁ。まあいいんじゃないか」
俺はついに、折れてしまった。
俺の顔を見た瞬間、一気に瞳を輝かせる。
「才斗くん! 勝ちました! これでえっちできますね!」
「……」
剣騎とのシリアスな会話から一変、何も知らない楓香のおかげで雰囲気が一気に明るくなった。
「あの田中さんに勝っちゃうなんて凄すぎませんか!?」
「……そうだな」
「むぅー。もっと喜んでくださいよー」
冷たい反応として受け取られたが、実際は本気で驚いていた。
ランクが自分より高い相手に勝つこと。
冒険者界の常識では、不可能に限りなく近い。
だが、楓香はそれをやってのけた。これではまるで……。
「かつての才斗を見てるみたいだね」
「ああ」
剣騎の漏らした一言に、深く頷く。
「かつての才斗くん……? どういうことですか?」
「白桃君が格上の冒険者を破ったことについてだよ。僕が才斗に本気で期待し始めたのは、当時Cランクだった才斗が、Bランクの冒険者に勝ってからだった……つまり、君は今回、過去の才斗と同じ偉業を成したのさ」
「才斗くんも同じことを……ヤバいです。興奮して濡れてきちゃいました」
そんなこと言うと、剣騎がドン引きするからやめてほしい。
もうそろそろ楓香免疫ができていてもおかしくない頃だが、まだ剣騎は反応に困っている。
そもそも下ネタ系が得意ではなさそうな剣騎のことだ。女子でここまでガツガツ言えるタイプに初めて会ったのかもな。俺もだが。
「でも、CランクがBランク倒しちゃうのって、そんなに凄いことなんですか?」
「……凄いなんてものじゃないよ。君は自分がどれだけの偉業を成したのか気付いてないみたいだ」
剣騎が観客席全体を見回す。
会場は円形になっているので、さっと全体を確認しやすい。
もうすでに次の冒険者が出てきているところだが、まだ観客たちは比較的静かで、困惑している様子。
もしかしたら、先ほどの沈黙は楓香の変態さにドン引きしていただけじゃなかったのかもしれない。
「会場が楓香に注目してるな」
「え、わたしに?」
「少なくとも、今日のニュースのトップには載るんじゃないのか」
楓香はそれだけのことをした。
今になって、はっきりと実感する俺たち。それは楓香本人も同じこと。
「冒険者としても、わたしって注目されちゃうんでしょうか?」
「しばらくは話題になるかもしれない」
「今後は黒瀬才斗の彼女&格上キラーの冒険者として頑張っていかないとですね」
こういう時の楓香の冷静さとユーモアは凄い。
軽々しく言っているが、格上の冒険者を破ることはとんでもなく凄いことなのだ。
剣騎が可能性を見出して楓香を俺の部下に推薦したということもあり、まさかとは思っていたが、ここまで冒険者としてのセンスを持っているとは思わなかった。
――強さへの渇望……。
ふと、その言葉が頭に浮かんできた。
俺がここまで強くなれたのは、単純にセンスだけではなく、誰よりも努力を重ねたからだと思っている。
毎日ダンジョンに潜り続け、モンスターを狩る日々。
そこには復讐心と強さへの欲があった。
ここまで楓香と関わってきて、彼女の中の葛藤であったり、彼女の求める強さのようなものが少しだけだがわかってきた。
それを踏まえた上で、俺と彼女の共通点は強さへの渇望だと思う。
楓香が黒桃という人格を抱えているのと同じように、俺も闇を抱えている。
そして惹かれ合った。
「白桃君、僕が【ウルフパック】を辞めた後は、君に空いた幹部の座を任せたよ」
「……え? 山口さん、【ウルフパック】辞めるんですか!?」
親指を立てながら笑う剣騎。
もう楓香にも打ち明けることにしたらしい。
別に嫉妬してるわけじゃないが、それなら俺にはもっと早い段階で話しておくべきだったと思う。嫉妬じゃないぞ!
***
午前中のスケジュールを終え、昼休憩に入った。
とはいえ、ほとんどはゆったり観戦していたので、貴重な休憩ってほどでもない。
レモンソーダとの戦いは一瞬だったが、2回戦の相手はAランク冒険者だった。
それもあって少しだけ時間をかけたが、難なく勝利し、無事に午後の試合の出場を決める。
勝ち抜き戦なので負ければ終わりだ。
観客席には負けて出場機会を失った冒険者が残っていたりするので、ほんのピリピリとした雰囲気が漂っている。
悔しさに涙を流す者、自分の敗北を認められないプライドの高い者、などなど。
冒険者は多種多様だ。
注目の試合は午後からの剣騎の試合と、楓香の試合。
剣騎はシードなのでこれから初めての冒戦2030となるが、楓香はもう午前中に2回も勝利を収めた。
そう、2回もだ。
2回戦の相手もBランクだった。
Bランクの中ではなりたてという感じで、さほど熟練感はなかったものの、また彼女はランクの壁をぶち破った。
本当に格上キラーなのかもしれない。
ニュースでその異名が付けられるのは間違いなしだな。
「才斗くん、ちゃんと約束は守ってもらいますからね」
「なんのことだ?」
「えっちのことですよ。2回も格上に勝ったんですから、いいですよね?」
「それなら最後の相手にも勝って、この予選をクリアしてみないか?」
「それもそうですけど……えっちは確定ってことでいいですよね? 今夜ですよ、今夜。言い逃れはできませんからね」
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