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白熱の最強冒険者決定戦編
第87話 少年の成長にショックを受ける自称姉さんと自称大企業の社長
今日からは地方での予選を勝ち抜いた冒険者たちとも戦うことになる。
大阪で活動している真一なんかは、大阪で予選を軽々突破して東京にやってきたそうだ。
「剣騎と才斗やないか。久しぶりってほどでもないなぁ。今日は仲間だからって手加減せんで」
「それは僕も同じだよ」
控え室で顔を合わせたのは、機嫌がとにかくいい真一だ。
二次予選に出場する冒険者のほとんどが、すでに控え室に入っている。
俺にとっては交流のない【バトルホークス】のSランク冒険者もしっかり揃っていた。
そして――。
「才斗ちゃんは可愛いでちゅね~」
俺は気が付けば真悠姉さんにホールドされていた。
息ができないし、普通に力が強い。
Sランクのホールドは痛いのだ。
「真悠姉さん……離して……」
「もう才斗ちゃんったら、ツンデレ」
こうして溺愛してくれる真悠姉さんだが、今回の最強冒険者決定戦においては敵同士。
だからといってギスギスすることはないものの、本番になったら倒すことを考えなくてはならない。
とはいえ、できれば真悠姉さんと戦いたくはなかった。
「そういえば才斗、昨日はどうだったんだい?」
ここで、剣騎が意地悪な聞き方をしてくる。
「昨日?」
真悠姉さんが首を傾げる。
「白桃君とのことさ。ダンジョンのことしか考えてなかった才斗も、ついに――」
「待って」
「マユユ、もう才斗は子供じゃないってことだよ」
全てを悟ったかのように、穏やかな表情で頷く剣騎。
確かに俺と楓香は昨日、カップルとしてまた1つ成長した。
お互いのことをさらによく知ることができた、と言うべきかもしれない。
「才斗ちゃん? 嘘……だよね?」
「……」
沈黙は残酷だ。
否定することはできない。
俺は確かに、真悠姉さんが想像しているようなことをしたのだから。
「そんな……」
「まあ、ショックを受けることでもない。僕はむしろ嬉しく思って――」
真悠姉さんの拳が剣騎の腹に炸裂する。
鍛え上げられた腹筋でガードしたようだが、それなりに痛そうだ。この話題をここで出したのは剣騎だし、自業自得というヤツだろう。
「真一君に言っても面白そうだね」
真悠姉さんから殺意のこもった目で見られても、剣騎はいつも通り今を楽しんでいた。
***
二次予選の内容は至ってシンプルだ。
一次予選で勝ち上がってきた冒険者を、16人になるまで落としていくサバイバル。
冒険者はランクが絶対ということで、今回の二次予選最低ランクであるBランクがまずフィールドに入り、戦い始める。
5分すると、Aランクが入場。
また5分するとSランクが入場。
低いレベルは自然と淘汰されていく流れだ。
Sランクが入って10分すると、ついにSSランク冒険者の神宮司がフィールドに降臨する。
もしそれまでに残っている人数が15人に削られれば、神宮司は戦うことなく、決勝トーナメントへの出場権を獲得できるという仕組み。
ランクが高い方が当然有利なルールだ。
「それでは、Bランクの方々は入場してください」
スタッフの指示が出される。
5名の冒険者が、大歓声に包まれるフィールドに足を踏み入れた。
この瞬間から、冒険者同士による、決勝トーナメントを懸けた生き残り戦のスタート。
控え室にいる俺たちの間にも、緊張が走る。
ちなみに、脱落認定されるのは戦闘不能状態に陥った場合のみ。
相手を残酷に傷付けすぎたり、相手の命を奪ったりすることは許されず、参加者の殺意が見えたらすぐに退場を言い渡すルールなので、無遠慮すぎる攻撃は逆効果である。
***
5分がたった。
ここからフィールドの様子を確認することはできない。フィールドへの門は閉められているので、視覚及び聴覚による情報も一切入ってこない。
「さあ、どれだけの冒険者が生き残ってるかな」
「2人くらいだと思うが」
「どうだろうね。僕は5人全員が残っている方にするよ」
「残っている方にする? くだらない賭けはしたくないんだが」
剣騎はどんなことでも娯楽にしがちだ。
「まだ様子見みたいな段階だからね。Aランクが入って、まずBランクは全員淘汰される。白桃君のような格上キラーがいればわからないけど」
「楓香は特別だ」
「お、いいね。恋人は特別だからね」
「そういう意味で言ったわけじゃない」
特に意識して言ったセリフではなかった。
俺が楓香を恋人として特別視しているから、冒険者としても特別視している?
多分、それは関係ない。
そもそも楓香には冒険者の才能があった。そこは俺と同じだ。
「才君、おはよう」
ここで、少し離れたところにいる神宮司と、さっきまでいい雰囲気で話していた西園寺が近付いてきた。
周囲の冒険者に対してはゾワゾワするようなオーラを放っておきながらも、俺に対しては甘くて優しい。
そのギャップに周囲の高ランク冒険者たちが衝撃を受けていた。
「西園寺さん、実は昨日、才斗が――」
ここで剣騎が余計なことを報告し始める。
俺と楓香の昨夜についてだ。
真悠姉さんはまだ剣騎を睨んでいる。その殺意を持ったままフィールドに入らないといいが。
「才君……うわぁぁぁあああ! オレの可愛い可愛い才くんが……卒業しちゃうなんてぇぇぇえええ!」
大企業の社長、西園寺の悲痛の叫びが、控え室に響き渡った。
大阪で活動している真一なんかは、大阪で予選を軽々突破して東京にやってきたそうだ。
「剣騎と才斗やないか。久しぶりってほどでもないなぁ。今日は仲間だからって手加減せんで」
「それは僕も同じだよ」
控え室で顔を合わせたのは、機嫌がとにかくいい真一だ。
二次予選に出場する冒険者のほとんどが、すでに控え室に入っている。
俺にとっては交流のない【バトルホークス】のSランク冒険者もしっかり揃っていた。
そして――。
「才斗ちゃんは可愛いでちゅね~」
俺は気が付けば真悠姉さんにホールドされていた。
息ができないし、普通に力が強い。
Sランクのホールドは痛いのだ。
「真悠姉さん……離して……」
「もう才斗ちゃんったら、ツンデレ」
こうして溺愛してくれる真悠姉さんだが、今回の最強冒険者決定戦においては敵同士。
だからといってギスギスすることはないものの、本番になったら倒すことを考えなくてはならない。
とはいえ、できれば真悠姉さんと戦いたくはなかった。
「そういえば才斗、昨日はどうだったんだい?」
ここで、剣騎が意地悪な聞き方をしてくる。
「昨日?」
真悠姉さんが首を傾げる。
「白桃君とのことさ。ダンジョンのことしか考えてなかった才斗も、ついに――」
「待って」
「マユユ、もう才斗は子供じゃないってことだよ」
全てを悟ったかのように、穏やかな表情で頷く剣騎。
確かに俺と楓香は昨日、カップルとしてまた1つ成長した。
お互いのことをさらによく知ることができた、と言うべきかもしれない。
「才斗ちゃん? 嘘……だよね?」
「……」
沈黙は残酷だ。
否定することはできない。
俺は確かに、真悠姉さんが想像しているようなことをしたのだから。
「そんな……」
「まあ、ショックを受けることでもない。僕はむしろ嬉しく思って――」
真悠姉さんの拳が剣騎の腹に炸裂する。
鍛え上げられた腹筋でガードしたようだが、それなりに痛そうだ。この話題をここで出したのは剣騎だし、自業自得というヤツだろう。
「真一君に言っても面白そうだね」
真悠姉さんから殺意のこもった目で見られても、剣騎はいつも通り今を楽しんでいた。
***
二次予選の内容は至ってシンプルだ。
一次予選で勝ち上がってきた冒険者を、16人になるまで落としていくサバイバル。
冒険者はランクが絶対ということで、今回の二次予選最低ランクであるBランクがまずフィールドに入り、戦い始める。
5分すると、Aランクが入場。
また5分するとSランクが入場。
低いレベルは自然と淘汰されていく流れだ。
Sランクが入って10分すると、ついにSSランク冒険者の神宮司がフィールドに降臨する。
もしそれまでに残っている人数が15人に削られれば、神宮司は戦うことなく、決勝トーナメントへの出場権を獲得できるという仕組み。
ランクが高い方が当然有利なルールだ。
「それでは、Bランクの方々は入場してください」
スタッフの指示が出される。
5名の冒険者が、大歓声に包まれるフィールドに足を踏み入れた。
この瞬間から、冒険者同士による、決勝トーナメントを懸けた生き残り戦のスタート。
控え室にいる俺たちの間にも、緊張が走る。
ちなみに、脱落認定されるのは戦闘不能状態に陥った場合のみ。
相手を残酷に傷付けすぎたり、相手の命を奪ったりすることは許されず、参加者の殺意が見えたらすぐに退場を言い渡すルールなので、無遠慮すぎる攻撃は逆効果である。
***
5分がたった。
ここからフィールドの様子を確認することはできない。フィールドへの門は閉められているので、視覚及び聴覚による情報も一切入ってこない。
「さあ、どれだけの冒険者が生き残ってるかな」
「2人くらいだと思うが」
「どうだろうね。僕は5人全員が残っている方にするよ」
「残っている方にする? くだらない賭けはしたくないんだが」
剣騎はどんなことでも娯楽にしがちだ。
「まだ様子見みたいな段階だからね。Aランクが入って、まずBランクは全員淘汰される。白桃君のような格上キラーがいればわからないけど」
「楓香は特別だ」
「お、いいね。恋人は特別だからね」
「そういう意味で言ったわけじゃない」
特に意識して言ったセリフではなかった。
俺が楓香を恋人として特別視しているから、冒険者としても特別視している?
多分、それは関係ない。
そもそも楓香には冒険者の才能があった。そこは俺と同じだ。
「才君、おはよう」
ここで、少し離れたところにいる神宮司と、さっきまでいい雰囲気で話していた西園寺が近付いてきた。
周囲の冒険者に対してはゾワゾワするようなオーラを放っておきながらも、俺に対しては甘くて優しい。
そのギャップに周囲の高ランク冒険者たちが衝撃を受けていた。
「西園寺さん、実は昨日、才斗が――」
ここで剣騎が余計なことを報告し始める。
俺と楓香の昨夜についてだ。
真悠姉さんはまだ剣騎を睨んでいる。その殺意を持ったままフィールドに入らないといいが。
「才君……うわぁぁぁあああ! オレの可愛い可愛い才くんが……卒業しちゃうなんてぇぇぇえええ!」
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