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白熱の最強冒険者決定戦編
第105話 中二病に全力な日本最強のイカれたエルフ
冒頭の3分。
剣騎と神宮司は互角の戦いを繰り広げていた。
というのも、神宮司は魔法を使わず、剣術だけで応戦していたからだ。
剣術だけで考えると、剣騎の実力は神宮司にも劣っていない。少し前に剣術の日本最高である、西園寺の腕前を見たからわかるが、剣騎の剣技は明らかに西園寺の影響を受けている。
使用するフォームはピトー派。
楓香も使っている守備特化型のフォームだ。
腕を後ろに引いて構え、相手の攻撃に丁寧に対応する。
ピトー派の使い手との戦いは長期化しやすい。
攻撃の隙がないので、攻撃が当たらないのだ。だから剣騎と剣を撃ち合う時には必ず持久戦になる。
「わたしの剣術の師匠は山口さんなんです」
「そうじゃないかと思った」
楓香がいきなりカミングアウトする。
剣騎にスカウトされたとも聞いていたので、そこまで驚くべきことじゃない。
だが、剣騎からしてみれば、自分の弟子がこんなクレイジーな下ネタ大好き少女だったなんて知りたくはなかっただろう。
「当たり前ですけど、一度も勝ったことはないですし、追い詰めたこともありません」
「俺もだ」
「才斗くんでも無理なんですか!? 一緒ですね! これもやっぱり運命ってやつですよ!」
「それは多分違うと思う」
楓香は相変わらずだ。
「おかしいなぁ。なんで神宮司皇命は魔法使わへんのやろ?」
楓香のペースに乗せられようとしていると、戦況をじっと観察している真一の呟きが耳に入る。
俺たちの予想では、剣騎には申し訳ないものの勝負はすぐに着くだろうというものだった。
だが、3分間も互角の戦いが繰り広げられている。
準々決勝のように、一発で魔法をぶちかませばいいだけの話ではないのか。
何か魔法を放つのに条件がいるのか。もう1日で発動できる魔法の上限を超えてしまったのか。
力には代償が伴う。
俺の超能であるシャドウライドには発動条件がある。
真一も不死身の能力に条件があるとか言っていたし、どんな超能にも条件や代償があると考えて良さそうだ。
だとすると、その魔法の制限が神宮司攻略の鍵になる……?
神宮司の剣術の型はどの流派のものではない、独特なものだ。
どこかスマートで、どこかかっこいい。
多分、いや、絶対彼は中二病だ。剣を振るうたびにキメ顔をするところからもよくわかる。
3分が経過し、もしかしたら剣騎が勝つかもな、と思った時だった。
剣の撃ち合いを中断し、波動を放って剣騎を強制的に後退させる神宮司。
突然の極端な戦闘中断に、多くの観客と、対戦相手である剣騎が最大級の警戒を向ける。
――何かが……来る!
それは本能的な感知だった。
西園寺が超能を発動した時と同じ緊迫感に、膨大なオーラの波動。ついに、あの魔法を放つ準備が整ったのか。
「……あれ?」
真一の間抜けな声で我に返る。
神宮司はゆっくりと左目の眼帯に手をかけ、外し始めた。
そこには異彩を放つ真っ赤な魔眼が……。
魔眼なんかじゃなく、右目と同じ、エメラルドグリーンに輝く、正常そうな瞳だった。
「もしかして、あの眼帯って……」
楓香の頬を汗が伝う。
「ああ、間違いない。ただのファッションだ」
神宮司の中二病説が確定した瞬間だった。
続いて、手首にしている包帯を外す神宮司。
そこには封印されし古代の呪いが……。
どうやら呪いではなさそうで、ただの肌荒れだった。
「余はロード・オブ・ダンジョン! 諸君、余の力を目に焼き付けるがいい!」
会場全体に聞こえるほどの大音量で、両腕を広げながら叫ぶ神宮司。
ふと思ったんだが、実力者って強さと引き換えに頭の正常さを犠牲にしているんだろうか。西園寺も神宮司も、相当クレイジーだぞ。一ノ瀬は性格の悪い鬼畜人間だ。
堂々と宣言した神宮司は、剣を放り投げ、ブツブツと何かを唱え始めた。
「呪文やな。でも本当に必要かどうかはわからん」
「かっこいいから唱えてるだけかもしれないですね」
本当にそんな気がする。
呪文らしきものを唱え終えた神宮司は、前回見せた炎ではなく、氷のツララを生み出し、30本以上はありそうな鋭いツララを剣騎に向かって一斉に放った。
「いや、剣騎が可哀そうやん、さすがに」
まさにその通り。
さすがにこれは剣騎に同情する。
だが――。
剣騎はツララの1本1本を正確に見定めたかと思うと、自分の剣を細かく動かし、鉄壁の防御を貫いた。
これには会場から拍手が巻き起こる。
「心配はいらなかったらしいな」
「どっちも頭おかしいんじゃないの!」
俺が安心の溜め息をつき、佐藤が一流冒険者同士の戦いに文句を言う。
そうそう、剣騎も頭がおかしい。
やっぱりあの仮説は間違っていなかった。実力者はクレイジーなのだ。
「くっ――なかなかやるではないか、山口殿! しかし、これはまだ序の口だっ!」
神宮司がまた何か叫んでいる。
今度はさすがの剣騎でも回避が厳しそうだ。
巨大な土の塊を地面から生み出して攻撃に変換する魔法。
少なくとも、炎・氷・土の3つの属性の魔法が使えることは発覚した。
先ほどのツララとは比べものにならない規模の攻撃に、剣騎の足元がすくわれる。
体勢を崩した剣騎を待っていたのは、勢いのある神宮司の蹴りだった。
胸にダイレクトに当たった蹴り。
土の壁を何度もぶち破りながら、最終的にはフィールドの壁にめり込む始末。
「もしかして冒頭の3分は……演出だったのか……?」
真相はわからないが、なんだかそんな気がしてきた……。
剣騎と神宮司は互角の戦いを繰り広げていた。
というのも、神宮司は魔法を使わず、剣術だけで応戦していたからだ。
剣術だけで考えると、剣騎の実力は神宮司にも劣っていない。少し前に剣術の日本最高である、西園寺の腕前を見たからわかるが、剣騎の剣技は明らかに西園寺の影響を受けている。
使用するフォームはピトー派。
楓香も使っている守備特化型のフォームだ。
腕を後ろに引いて構え、相手の攻撃に丁寧に対応する。
ピトー派の使い手との戦いは長期化しやすい。
攻撃の隙がないので、攻撃が当たらないのだ。だから剣騎と剣を撃ち合う時には必ず持久戦になる。
「わたしの剣術の師匠は山口さんなんです」
「そうじゃないかと思った」
楓香がいきなりカミングアウトする。
剣騎にスカウトされたとも聞いていたので、そこまで驚くべきことじゃない。
だが、剣騎からしてみれば、自分の弟子がこんなクレイジーな下ネタ大好き少女だったなんて知りたくはなかっただろう。
「当たり前ですけど、一度も勝ったことはないですし、追い詰めたこともありません」
「俺もだ」
「才斗くんでも無理なんですか!? 一緒ですね! これもやっぱり運命ってやつですよ!」
「それは多分違うと思う」
楓香は相変わらずだ。
「おかしいなぁ。なんで神宮司皇命は魔法使わへんのやろ?」
楓香のペースに乗せられようとしていると、戦況をじっと観察している真一の呟きが耳に入る。
俺たちの予想では、剣騎には申し訳ないものの勝負はすぐに着くだろうというものだった。
だが、3分間も互角の戦いが繰り広げられている。
準々決勝のように、一発で魔法をぶちかませばいいだけの話ではないのか。
何か魔法を放つのに条件がいるのか。もう1日で発動できる魔法の上限を超えてしまったのか。
力には代償が伴う。
俺の超能であるシャドウライドには発動条件がある。
真一も不死身の能力に条件があるとか言っていたし、どんな超能にも条件や代償があると考えて良さそうだ。
だとすると、その魔法の制限が神宮司攻略の鍵になる……?
神宮司の剣術の型はどの流派のものではない、独特なものだ。
どこかスマートで、どこかかっこいい。
多分、いや、絶対彼は中二病だ。剣を振るうたびにキメ顔をするところからもよくわかる。
3分が経過し、もしかしたら剣騎が勝つかもな、と思った時だった。
剣の撃ち合いを中断し、波動を放って剣騎を強制的に後退させる神宮司。
突然の極端な戦闘中断に、多くの観客と、対戦相手である剣騎が最大級の警戒を向ける。
――何かが……来る!
それは本能的な感知だった。
西園寺が超能を発動した時と同じ緊迫感に、膨大なオーラの波動。ついに、あの魔法を放つ準備が整ったのか。
「……あれ?」
真一の間抜けな声で我に返る。
神宮司はゆっくりと左目の眼帯に手をかけ、外し始めた。
そこには異彩を放つ真っ赤な魔眼が……。
魔眼なんかじゃなく、右目と同じ、エメラルドグリーンに輝く、正常そうな瞳だった。
「もしかして、あの眼帯って……」
楓香の頬を汗が伝う。
「ああ、間違いない。ただのファッションだ」
神宮司の中二病説が確定した瞬間だった。
続いて、手首にしている包帯を外す神宮司。
そこには封印されし古代の呪いが……。
どうやら呪いではなさそうで、ただの肌荒れだった。
「余はロード・オブ・ダンジョン! 諸君、余の力を目に焼き付けるがいい!」
会場全体に聞こえるほどの大音量で、両腕を広げながら叫ぶ神宮司。
ふと思ったんだが、実力者って強さと引き換えに頭の正常さを犠牲にしているんだろうか。西園寺も神宮司も、相当クレイジーだぞ。一ノ瀬は性格の悪い鬼畜人間だ。
堂々と宣言した神宮司は、剣を放り投げ、ブツブツと何かを唱え始めた。
「呪文やな。でも本当に必要かどうかはわからん」
「かっこいいから唱えてるだけかもしれないですね」
本当にそんな気がする。
呪文らしきものを唱え終えた神宮司は、前回見せた炎ではなく、氷のツララを生み出し、30本以上はありそうな鋭いツララを剣騎に向かって一斉に放った。
「いや、剣騎が可哀そうやん、さすがに」
まさにその通り。
さすがにこれは剣騎に同情する。
だが――。
剣騎はツララの1本1本を正確に見定めたかと思うと、自分の剣を細かく動かし、鉄壁の防御を貫いた。
これには会場から拍手が巻き起こる。
「心配はいらなかったらしいな」
「どっちも頭おかしいんじゃないの!」
俺が安心の溜め息をつき、佐藤が一流冒険者同士の戦いに文句を言う。
そうそう、剣騎も頭がおかしい。
やっぱりあの仮説は間違っていなかった。実力者はクレイジーなのだ。
「くっ――なかなかやるではないか、山口殿! しかし、これはまだ序の口だっ!」
神宮司がまた何か叫んでいる。
今度はさすがの剣騎でも回避が厳しそうだ。
巨大な土の塊を地面から生み出して攻撃に変換する魔法。
少なくとも、炎・氷・土の3つの属性の魔法が使えることは発覚した。
先ほどのツララとは比べものにならない規模の攻撃に、剣騎の足元がすくわれる。
体勢を崩した剣騎を待っていたのは、勢いのある神宮司の蹴りだった。
胸にダイレクトに当たった蹴り。
土の壁を何度もぶち破りながら、最終的にはフィールドの壁にめり込む始末。
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