帝王アラタの再転生

たまゆき

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1章

源氏の豪傑

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獅子王レオルは、遺跡の魔物をものともせず、粉砕していく。
大きな1つ目を持つ魔物や、鷲の顔を持つグリフォンのような魔物、巨大なゴーレムすら、
ある時は一刀のもとに斬り捨て、ある時は体当たりや殴打で討伐していった。

「信じられない。さっきの魔物なんて、地上に出て来たら10人がかりじゃないと絶対に倒せないわよ…アラタもデタラメだけど仲間もデタラメね…」

驚く巴にアラタは言う。

「すごいじゃろ?レオルは。まずあの鎧を見てごらん、あの分厚い鉄鎧なんて重さだけで数百キロあるじゃろ。魔力とスキルで基礎能力を常に上げておるレオルにしか装備出来んじゃろな。そんな鎧を着込んだ大型の獣人が暴れ回れば、手が当たるだけですごいダメージじゃよ。さらに生まれながらに体格が恵まれた者が、武技まで収めておる。1対1で勝てるものなんておらんじゃろうなぁ。」

巴に説明するアラタに、前の方で新たに現れた人の顔をもつ四足歩行の獣を斬り伏せながらレオルが口を挟む。

「良くいうぜ、陛下! 1対1でも俺なんて歳取ったヨボヨボの陛下にも勝てなかったのに。全盛期はもっと先だろうけど、若返った陛下には手も足も出ないと思うぜ!」

レオルの反論を聞いた巴がボソッとつぶやく。

「デタラメめ…」

どこでそんな言葉を覚えたのじゃ…と呆れるアラタだったが、  紙と書くものさえあればそういった人種は何処でも活動するのを知っていた。


異世界でアラタが元いた、日本という所で色々な読み物がある と聞かせた時に 
薄い本の話しを冗談交じりに言ったのが間違いだった。
それからというもの、アラタとベルゼやリーズを見ながら何やらボソボソ言っているメイドを見かけたものである。

熱い眼差しを送る対象がだんだんと、わしと弟子で養子のヨセフになり、視線を送る集団の中にベルゼが混ざりだしてからは城内では禁止にしたが、城下町に良くベルゼは繰り出して何やらメイド達としていた。


懐かしい感情と、複雑な感情で昔を思い出していたアラタに、レオルが声をかけた。

「陛下!!階段が見えたぞ、探してるヤツは下に行ったようだな。このまま降りるが充分注意してくれ。」






様々な武器を背中に抱えた男は遺跡の奥に進む。
主人が隠れる事が可能そうな遺跡を見つけ、その中を進むうちに、宝箱から武器を発見したからだ。 
その武器は今まで見た刀と違い、両刃でずっしりとしていた。

主人が先に入っていた場合、物の怪が現れるここに留まっているとは思えないが、もしかしたら最下層に鬼丸髭切を超える武器を見つける事が出来るかも知れない。

さらに主人が後から来た場合、このような物の怪がいる所の露払いを先にしておく必要がある。

どちらにせよ、手ぶらで主人に会うよりは今の状況を変える何かが必要だ。

主人を守る為に大立ち回りをし、身体中に矢を射かけられたはずが、目を覚ますと知らない所にいた。 矢は消えていたが、穴のあいた僧服が現実に起こった事だと物語っている。

さらに、戦いながら不思議な力も得ていた事を確認した。

これで力ある武具を手に入れる事が出来れば、あの憎き頼朝につく兵士も、本当の主人が誰か気付くだろう。

「お待ちください、義経よしつね様。
今、この武蔵坊弁慶むさしぼうべんけいが必ず起死回生の一手になる武具を入手致します。貴方様こそが源氏《げんじ》の頭領です!!」

黙々と魔物を斬り殺し、その忠実なる豪傑は先へ進む。
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