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第16話:暴かれた秘密
その記事は、ある金曜日の夜、突如としてネットニュースのトップに躍り出た。
【衝撃スクープ! 人気俳優・一ノ瀬海翔、スキャンダルで引退した元アイドル・朝比奈湊を自宅マンションで匿い同棲か!】
刺激的な見出しと共に掲載されたのは、俺が海翔の住むタワーマンションに出入りする数枚の写真だった。帽子とマスクで顔は隠れていたが、体格や服装から、俺だと特定するのは容易だった。記事には、俺の捏造スキャンダルの経緯から、引退後の消息が不明だったこと、そして、そんな俺を清廉潔白で知られる一ノ瀬海翔が匿っていることの「異常な関係性」が、面白おかしく書き立てられていた。
「……嘘だろ」
稽古仲間から送られてきたリンクを開いた瞬間、俺は血の気が引くのを感じた。スマホを持つ手が、カタカタと震える。
息が、できない。
世界から、音が消えた。
俺のせいで。俺のせいで、海翔さんのキャリアが……!
頭の中で、最悪のシナリオが駆け巡る。世間の非難、スポンサーの降板、ファンの失望。彼が今まで築き上げてきたもの全てが、俺という存在のせいで、ガラガラと崩れ落ちていく。
その時、ガチャリと玄関のドアが開き、海翔が帰ってきた。彼はリビングで立ち尽くす俺と、俺が手にしているスマホの画面を見て、すべてを察したようだった。
「……湊」
「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」
俺は、その場に崩れ落ちた。
「俺のせいで……俺が、あなたの側にいたから……!」
涙が、後から後から溢れてくる。謝っても、謝りきれない。どうしよう。どうすれば、彼にかけた迷惑を償える?
海翔は、何も言わずに俺のそばに屈み込むと、震える俺の肩を強く抱いた。
「お前のせいじゃない」
「でも……!」
「これは、俺の問題だ」
その時、海翔のスマホがけたたましく鳴り響いた。きっと、事務所からの電話だろう。立て続けに、マンションのインターホンも鳴り始める。おそらく、マスコミが嗅ぎつけてきたのだ。
ネット上は、すでに炎上状態だった。
『やっぱり朝比奈はクズだった』
『一ノ瀬海翔、騙されてるんじゃないの?』
『男に乗り換えたのか、最低だな』
『一ノ瀬も同類か、幻滅した』
誹謗中傷の嵐。その矛先は、俺だけでなく、海翔にまで向けられていた。
「俺、出ていきます! 今すぐ……!」
俺は、海翔の腕の中から逃れようともがいた。ここにいては、ダメだ。一刻も早く、彼の前から消えなければ。
「もう、あなたの何もかもを壊してしまう前に……!」
そうだ、また逃げるんだ。あの時と同じように。俺は、誰かの人生をめちゃくちゃにすることしかできない。
絶望が、再び俺の心を真っ黒に塗りつぶしていく。
だが、海翔は、今度は俺を逃がさなかった。
彼は、俺の身体を、壊れ物を扱うように、けれど逃がさないという強い意志を持って、強く、強く抱きしめた。
「逃げるな、湊」
耳元で、彼の低い声が響く。
「俺は、君を失いたくない」
その声は、震えていた。
「ずっと前から……君が、デビューする前から……」
海翔は、俺の髪に顔を埋めるようにして、絞り出すような声で言った。
「君を、愛してる」
嵐のようなマスコミの喧騒と、鳴り止まない電話の音の中で。
彼の、長年秘められてきた想いが、ついに告げられた。
【衝撃スクープ! 人気俳優・一ノ瀬海翔、スキャンダルで引退した元アイドル・朝比奈湊を自宅マンションで匿い同棲か!】
刺激的な見出しと共に掲載されたのは、俺が海翔の住むタワーマンションに出入りする数枚の写真だった。帽子とマスクで顔は隠れていたが、体格や服装から、俺だと特定するのは容易だった。記事には、俺の捏造スキャンダルの経緯から、引退後の消息が不明だったこと、そして、そんな俺を清廉潔白で知られる一ノ瀬海翔が匿っていることの「異常な関係性」が、面白おかしく書き立てられていた。
「……嘘だろ」
稽古仲間から送られてきたリンクを開いた瞬間、俺は血の気が引くのを感じた。スマホを持つ手が、カタカタと震える。
息が、できない。
世界から、音が消えた。
俺のせいで。俺のせいで、海翔さんのキャリアが……!
頭の中で、最悪のシナリオが駆け巡る。世間の非難、スポンサーの降板、ファンの失望。彼が今まで築き上げてきたもの全てが、俺という存在のせいで、ガラガラと崩れ落ちていく。
その時、ガチャリと玄関のドアが開き、海翔が帰ってきた。彼はリビングで立ち尽くす俺と、俺が手にしているスマホの画面を見て、すべてを察したようだった。
「……湊」
「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」
俺は、その場に崩れ落ちた。
「俺のせいで……俺が、あなたの側にいたから……!」
涙が、後から後から溢れてくる。謝っても、謝りきれない。どうしよう。どうすれば、彼にかけた迷惑を償える?
海翔は、何も言わずに俺のそばに屈み込むと、震える俺の肩を強く抱いた。
「お前のせいじゃない」
「でも……!」
「これは、俺の問題だ」
その時、海翔のスマホがけたたましく鳴り響いた。きっと、事務所からの電話だろう。立て続けに、マンションのインターホンも鳴り始める。おそらく、マスコミが嗅ぎつけてきたのだ。
ネット上は、すでに炎上状態だった。
『やっぱり朝比奈はクズだった』
『一ノ瀬海翔、騙されてるんじゃないの?』
『男に乗り換えたのか、最低だな』
『一ノ瀬も同類か、幻滅した』
誹謗中傷の嵐。その矛先は、俺だけでなく、海翔にまで向けられていた。
「俺、出ていきます! 今すぐ……!」
俺は、海翔の腕の中から逃れようともがいた。ここにいては、ダメだ。一刻も早く、彼の前から消えなければ。
「もう、あなたの何もかもを壊してしまう前に……!」
そうだ、また逃げるんだ。あの時と同じように。俺は、誰かの人生をめちゃくちゃにすることしかできない。
絶望が、再び俺の心を真っ黒に塗りつぶしていく。
だが、海翔は、今度は俺を逃がさなかった。
彼は、俺の身体を、壊れ物を扱うように、けれど逃がさないという強い意志を持って、強く、強く抱きしめた。
「逃げるな、湊」
耳元で、彼の低い声が響く。
「俺は、君を失いたくない」
その声は、震えていた。
「ずっと前から……君が、デビューする前から……」
海翔は、俺の髪に顔を埋めるようにして、絞り出すような声で言った。
「君を、愛してる」
嵐のようなマスコミの喧騒と、鳴り止まない電話の音の中で。
彼の、長年秘められてきた想いが、ついに告げられた。
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