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第18話:二人で越える嵐
翌日、海翔がセッティングした緊急記者会見は、テレビの全チャンネルで生中継された。会場には、数えきれないほどの報道陣が詰めかけている。
俺は、マンションのテレビで、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
「湊。大丈夫だ。俺を信じろ」
家を出る前、海翔はそう言って、俺の額に優しいキスをくれた。その温もりが、まだ残っている。
無数のフラッシュを浴びながら、海翔はマイクの前に立った。その姿は、いつも通りクールで、落ち着き払っている。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。一ノ瀬海翔です。昨日、報道された記事について、僕自身の口からご説明させていただきます」
彼の言葉に、会場が静まり返る。
「記事にあった通り、僕が朝比奈湊くんを自宅で保護していたのは事実です」
ざわめきが起こる。だが、海翔はそれを意に介さず、言葉を続けた。
「ですが、記事にあるような、やましい関係では断じてありません。彼は、数ヶ月前、捏造されたスキャンダルによって、理不尽にすべてを奪われた、無実の被害者です」
海翔の声が、力強さを増していく。
「僕は、彼の才能を誰よりも信じています。彼は、類まれなる才能を持つ芸術家です。その才能の火を、このまま消してはならない。そう思い、僕が彼の再起をサポートすることを決意しました」
海翔は、報道陣一人一人の顔を見渡すようにして、はっきりと告げた。
「彼は今、僕が主演する舞台に、作曲家として、そして役者として参加し、復帰に向けて懸命に努力しています。どうか、皆さんには、彼の才能を正当に評価していただきたい。先入観や憶測で、一人の若者の未来をこれ以上踏みにじらないでいただきたい」
そして、彼は一呼吸置くと、こう付け加えた。
「プライベートなことではありますが、僕は、朝比奈湊という人間を、心から深く、愛しています。僕のこの想いが、彼の才能への評価を曇らせることがあってはならない。僕に対する批判は、すべて甘んじて受けます。ですが、彼への不当な攻撃は、僕が全力で彼を守ります」
堂々とした、愛の告白。
俺は、テレビの前で、涙が止まらなかった。
彼は、たった一人で、俺のために世界と戦ってくれている。
この会見は、瞬く間に世論を大きく揺さぶった。
もちろん、二人の関係をスキャンダラスに報じ続けるメディアもあった。だが、海翔の毅然とした態度と、その言葉の裏にある真摯な想いに、心を動かされる人々も少なくなかった。
『一ノ瀬海翔、かっこよすぎる』
『捏造だったのか……朝比奈湊かわいそう』
『才能があるなら、もう一度チャンスをあげてもいいんじゃないか』
SNSには、そんな擁護の声が少しずつ増え始めていた。特に、海翔のファンたちの多くが、彼の覚悟を受け止め、「彼の信じる人を、私たちも信じる」という声明を発表したことは、大きな力になった。
夜、帰宅した海翔は、少し疲れた顔をしていたが、その表情は晴れやかだった。
「……ただいま、湊」
「おかえりなさい……!」
俺は、彼に駆け寄り、その胸に飛び込んだ。
「ありがとう……ありがとう、海翔さん……!」
「バカだな。礼を言うのは俺の方だ。お前が、俺の告白を受け入れてくれたから、俺は強くなれた」
彼は、俺の髪を優しく撫でた。
嵐は、まだ完全には過ぎ去っていない。舞台の初日は、好奇と批判の目に晒されることになるだろう。
でも、もう怖くはなかった。
隣に、海翔がいる。二人でなら、どんな嵐だって越えていける。
俺たちは、しっかりと抱き合ったまま、これから始まる本当の戦いに向けて、静かに心を一つにした。
俺は、マンションのテレビで、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
「湊。大丈夫だ。俺を信じろ」
家を出る前、海翔はそう言って、俺の額に優しいキスをくれた。その温もりが、まだ残っている。
無数のフラッシュを浴びながら、海翔はマイクの前に立った。その姿は、いつも通りクールで、落ち着き払っている。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。一ノ瀬海翔です。昨日、報道された記事について、僕自身の口からご説明させていただきます」
彼の言葉に、会場が静まり返る。
「記事にあった通り、僕が朝比奈湊くんを自宅で保護していたのは事実です」
ざわめきが起こる。だが、海翔はそれを意に介さず、言葉を続けた。
「ですが、記事にあるような、やましい関係では断じてありません。彼は、数ヶ月前、捏造されたスキャンダルによって、理不尽にすべてを奪われた、無実の被害者です」
海翔の声が、力強さを増していく。
「僕は、彼の才能を誰よりも信じています。彼は、類まれなる才能を持つ芸術家です。その才能の火を、このまま消してはならない。そう思い、僕が彼の再起をサポートすることを決意しました」
海翔は、報道陣一人一人の顔を見渡すようにして、はっきりと告げた。
「彼は今、僕が主演する舞台に、作曲家として、そして役者として参加し、復帰に向けて懸命に努力しています。どうか、皆さんには、彼の才能を正当に評価していただきたい。先入観や憶測で、一人の若者の未来をこれ以上踏みにじらないでいただきたい」
そして、彼は一呼吸置くと、こう付け加えた。
「プライベートなことではありますが、僕は、朝比奈湊という人間を、心から深く、愛しています。僕のこの想いが、彼の才能への評価を曇らせることがあってはならない。僕に対する批判は、すべて甘んじて受けます。ですが、彼への不当な攻撃は、僕が全力で彼を守ります」
堂々とした、愛の告白。
俺は、テレビの前で、涙が止まらなかった。
彼は、たった一人で、俺のために世界と戦ってくれている。
この会見は、瞬く間に世論を大きく揺さぶった。
もちろん、二人の関係をスキャンダラスに報じ続けるメディアもあった。だが、海翔の毅然とした態度と、その言葉の裏にある真摯な想いに、心を動かされる人々も少なくなかった。
『一ノ瀬海翔、かっこよすぎる』
『捏造だったのか……朝比奈湊かわいそう』
『才能があるなら、もう一度チャンスをあげてもいいんじゃないか』
SNSには、そんな擁護の声が少しずつ増え始めていた。特に、海翔のファンたちの多くが、彼の覚悟を受け止め、「彼の信じる人を、私たちも信じる」という声明を発表したことは、大きな力になった。
夜、帰宅した海翔は、少し疲れた顔をしていたが、その表情は晴れやかだった。
「……ただいま、湊」
「おかえりなさい……!」
俺は、彼に駆け寄り、その胸に飛び込んだ。
「ありがとう……ありがとう、海翔さん……!」
「バカだな。礼を言うのは俺の方だ。お前が、俺の告白を受け入れてくれたから、俺は強くなれた」
彼は、俺の髪を優しく撫でた。
嵐は、まだ完全には過ぎ去っていない。舞台の初日は、好奇と批判の目に晒されることになるだろう。
でも、もう怖くはなかった。
隣に、海翔がいる。二人でなら、どんな嵐だって越えていける。
俺たちは、しっかりと抱き合ったまま、これから始まる本当の戦いに向けて、静かに心を一つにした。
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