転生悪役令息は死亡フラグを回避したいだけなのに、クールな王子に勘違で溺愛されて逃げられません!

水凪しおん

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第17話 未来への誓い

 俺が観念した(と王子が解釈した)あの日から、アレクシオスの溺愛ぶりは、さらに加速した。
 彼は俺が刺客に狙われた一件を父である国王に報告し、隣国へは厳しい態度で臨むことを進言。そして、その流れで、とんでもないことを言い出した。
「父上。レオンハルトとの正式な婚約披露パーティーを、早急に執り行いたいと思います」
「ほう? なぜそう急ぐ」
「彼が、私の唯一無二の伴侶であることを、国内外に改めて示す必要があるのです。彼を狙う不埒な輩が、二度と現れぬように」
 その真剣な眼差しに、国王も頷くしかなかった。

 こうして、俺の意志とはまったく関係のないところで、俺とアレクシオスの婚約披露パーティーが、盛大に開催されることになった。
 招待された貴族たちや、城下に集まった民衆は、この「ロマンスの果ての婚約」を心から祝福していた。
「レオンハルト様、おめでとうございます!」
「王子とレオンハルト様、本当にお似合いですわ!」
「クールなレオンハルト様を、ついに王子が射止められたのね!」
 そんな祝福(という名の勘違い)の言葉を浴びながら、俺はアレクシオスにエスコートされて、壇上へと登った。

 隣に立つアレクシオスは、今まで見た中で一番幸せそうな顔をしていた。
 彼は、愛おしそうに俺を見つめると、マイクを通して、高らかに宣言した。

「本日、ここに集まってくれた皆に感謝する。そして、私の隣に立つ人を紹介しよう。私の、生涯の伴侶となる、レオンハルト・フォン・ベルシュタインだ」

 会場が、わっと沸く。
 アレクシオスは、その喧騒を片手で静かに制すると、再び俺に視線を戻し、続けた。

「彼と出会ってから、私の世界は色鮮やかなものになった。彼の気高さも、不器用さも、そして、内に秘めた優しさも、その全てが私の心を捉えて離さない」

(不器用さって……それ、俺がパニクってるだけなんですが……)
 俺の心のツッコミも虚しく、王子のポエムは続く。

「レオンハルトは、私の唯一無二の光だ。彼の歩む道は、私が生涯をかけて照らし続けよう。彼を傷つけるものは、私がこの身を懸けて排除すると、ここに誓う」

 その言葉は、もはやプロポーズを超えて、絶対的な守護の誓いだった。
 会場は、感動と興奮の渦に包まれる。女性たちはハンカチで目頭を押さえ、男性たちも感嘆の声を上げていた。
 ヒロインのフィンも、客席で友人たちと共に「レオンハルト先輩、おめでとうございます!」と涙ぐんでいるのが見えた。

 俺は、もう笑うしかなかった。
 とんでもない男に捕まってしまった。
 とんでもない勘違いから、とんでもないことになってしまった。
 でも。
 壇上で、俺の手を強く握りしめる彼の手の温かさが、俺に「この選択は間違っていなかった」と告げているような気がした。

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