【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん

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第13話「創生の力の覚醒」

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 僕は家の物置から、古い種が入った袋をいくつか取り出してきた。その中に、かつて旅の植物学者からもらった、正体不明の種が一つだけ混じっている。もしかしたら、これがそうかもしれない。そんな淡い期待を胸に、僕はその種を握りしめて畑の中心に立った。

 隣には、アッシュが心配そうに僕を見守ってくれている。
 大丈夫。アッシュがいる。彼を救いたい。その気持ちが、僕に勇気をくれた。

 僕はゆっくりと目を閉じ、意識を集中させる。
 いつもは「土が良くなれ」と願うだけ。でも、今は違う。
 もっと強く、もっと深く、心の底から願う。

 ――アッシュを救いたい。彼の苦しみを、僕が終わらせるんだ。この土地に、聖なる力を。呪いを浄化する、生命の輝きを!

 その強い願いを込めて、スキルを発動させた瞬間。
 僕の体から、金色の柔らかな光が溢れ出した。それは今までとは比べ物にならないほど、強くて、温かい光だった。
 光は僕の足元から波紋のように広がり、畑全体を、そして僕たちの家を、辺境の土地を隅々まで覆い尽くしていく。

 それは、もはや【土壌改良】と呼べるようなスケールの力ではなかった。
 ただ土を良くするだけではない。乾いた空気を潤し、淀んだ水を浄化し、枯れかけた木々に生命力を与える。
 あらゆるものを癒し、育む、万物の始まりの力――『創生の力』。
 僕のスキルが、真の姿を現した瞬間だった。

 金色の光を浴びた畑に、僕は握りしめていた種を蒔いた。
 すると、信じられない光景が目の前で繰り広げられた。
 種を蒔いた場所の土が眩しく輝き、そこから光の芽が瞬く間に伸びていく。それはぐんぐんと天に向かって成長し、やがて白く、神々しい光を放つ花を咲かせた。

 花の周りには光の粒子が舞い、触れるだけで心が洗われるような、清らかな空気が満ちている。
 これが、伝説の『聖なる光草』。

「……すごい……」

 隣にいたアッシュが、呆然と呟いた。
 僕自身も、自分の力が引き起こした奇跡に、ただただ圧倒されていた。
 僕の力は、ハズレスキルなんかじゃなかった。大切な人を守るための、温かい力だったんだ。
 僕は希望に満ちた目で、光り輝くその花をそっと摘み取った。
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