【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん

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第21話「伝説の英雄の嫁入り」

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 全ての戦いが終わり、僕たちの辺境の地に、本当の平和が訪れた。
 僕の創生の力によって聖地へと生まれ変わったこの土地は、いつしか旅人たちの間で『聖者の楽園』と呼ばれるようになった。巡礼に訪れる者も現れたが、アッシュが「フィンの静かな生活を乱すな」と追い払っているので、僕たちの生活は以前と何も変わらなかった。

 ある、よく晴れた日の午後。
 僕が畑の手入れをしていると、アッシュが隣にやってきた。その手には、何かを隠すように持っている。

「フィン」

「なあに、アッシュ?」

 アッシュは少しだけ緊張した面持ちで、僕の前に立った。そして、おもむろに片膝をつく。それは、かつて王国の騎士が行う、最も丁寧な誓いのポーズだった。

「え、アッシュ? どうしたの?」

 僕が戸惑っていると、彼は隠していたものを僕の前に差し出した。
 それは、僕の畑で育てた特別な青い花で編まれた、美しい花の冠。そしてもう一つは、アッシュが森の木を削り、丁寧に磨いて作った、素朴で温かみのある木の指輪だった。

「フィン、俺と結婚してくれ」

 その言葉は、とても静かで、でも世界のどんな言葉よりも真っ直ぐに僕の心に届いた。

「俺が、君の夫になる」

 初めて会った日に彼が言った、「夫もできる」という言葉が、頭の中で蘇る。
 あの時は冗談だと思っていたけれど、彼は最初から本気だったのかもしれない。
 僕の答えなんて、もうとっくに決まっていた。

「……はい」

 僕は満面の笑みで、力強く頷いた。嬉しくて、幸せで、涙がこぼれそうになる。
 アッシュは安堵したように微笑むと、僕の頭にそっと花の冠を乗せ、そして僕の左手の薬指に、木の指輪をはめてくれた。
 指輪は、僕の指にぴったりだった。

 アッシュは立ち上がると、僕を優しく抱きしめ、額にキスを落とした。
 青い空、緑の畑、そして愛する人。
 僕が望んだすべてが、ここにある。
 僕たちは、誰に見られることもなく、僕たちが作り上げたこの楽園の真ん中で、永遠の愛を誓う口づけを交わしたのだった。
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