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第4話「尋問と契約」
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目が覚めると、そこは白い部屋だった。
消毒液の匂い。柔らかいベッド。
俺はガバッと起き上がった。
「ここ、どこだ……?」
記憶が蘇る。戦場、暴走するクレイド、そして俺が正体を晒して同調したこと。
血の気が引いた。
やってしまった。完全にバレた。
これで俺の自由な整備士生活は終わりだ。施設送り確定だ。
ガチャリ、とドアが開く音がした。
入ってきたのは、医師でも憲兵でもなく、あの男だった。
クレイド・ヴァン・アークライト。
彼は私服姿で、手には端末を持っていた。
俺を見る目は、以前のような無関心さではなく、獲物を値踏みするような鋭さを帯びている。
「気がついたか」
「……クレイド、様」
「単刀直入に聞く。貴様、なぜ今まで隠していた?」
彼はベッドの脇にある椅子に座り、足を組んだ。
その威圧感に、俺はシーツを握りしめる。
「……自由が、欲しかったからです。オメガだとバレれば、道具として扱われる。それが嫌でした」
「道具、か」
クレイドは鼻を鳴らした。
「確かに軍の上層部はそう考えるだろうな。だが、あの時の共鳴は……異常だった」
彼は身を乗り出し、俺の顔を覗き込む。
距離が近い。アルファの匂いが俺の本能を刺激して、落ち着かない。
「私の銀狼は、これまでどのオメガとも適合しなかった。拒絶反応ですぐに廃人にしてしまうからだ。だが、貴様は違った。私の暴走を止めるどころか、機体の性能を限界以上に引き出した」
「それは、たまたま相性が良かっただけで……」
「たまたまで済む話ではない」
クレイドは低い声で遮った。
「貴様には二つの選択肢がある。一つは、このまま軍法会議にかけられ、経歴詐称の罪で裁かれた後、研究所のモルモットになること」
俺は息を呑んだ。予想通りの最悪な結末だ。
「もう一つは?」
「……私の専属になることだ」
「え?」
予想外の言葉に、俺は目を丸くした。
「表向きは私の専属整備士として扱う。だが、実際には私の精神安定剤(アンカー)としての役割も果たしてもらう。私の傍にいれば、軍の上層部も手出しはできん。その代わり、私の許可なく私の側を離れることは許さん」
それは、実質的な隷属宣言にも聞こえた。
だが、研究所送りになるよりはずっとマシだ。
それに、彼の瞳の奥に、わずかな揺らぎが見えた気がした。
孤独な色が。
「……条件があります」
俺は勇気を振り絞って言った。
「何だ?」
「整備士としての仕事を続けさせてください。ただの電池扱いは御免です。俺は、俺の技術で機体を守りたいんです」
クレイドは少し驚いたように目を見開き、やがて口元をわずかに歪めた。笑ったようにも見えた。
「生意気な口を利く。……いいだろう、認めよう」
彼は立ち上がり、俺の頭に手を置いた。
大きくて、温かい手だった。
「契約成立だ。エリアン。今日から貴様は私のものだ」
その言葉の響きに、俺の心臓が、不覚にも高鳴った。
これは所有宣言だ。
だが、不思議と嫌な気分ではなかった。
消毒液の匂い。柔らかいベッド。
俺はガバッと起き上がった。
「ここ、どこだ……?」
記憶が蘇る。戦場、暴走するクレイド、そして俺が正体を晒して同調したこと。
血の気が引いた。
やってしまった。完全にバレた。
これで俺の自由な整備士生活は終わりだ。施設送り確定だ。
ガチャリ、とドアが開く音がした。
入ってきたのは、医師でも憲兵でもなく、あの男だった。
クレイド・ヴァン・アークライト。
彼は私服姿で、手には端末を持っていた。
俺を見る目は、以前のような無関心さではなく、獲物を値踏みするような鋭さを帯びている。
「気がついたか」
「……クレイド、様」
「単刀直入に聞く。貴様、なぜ今まで隠していた?」
彼はベッドの脇にある椅子に座り、足を組んだ。
その威圧感に、俺はシーツを握りしめる。
「……自由が、欲しかったからです。オメガだとバレれば、道具として扱われる。それが嫌でした」
「道具、か」
クレイドは鼻を鳴らした。
「確かに軍の上層部はそう考えるだろうな。だが、あの時の共鳴は……異常だった」
彼は身を乗り出し、俺の顔を覗き込む。
距離が近い。アルファの匂いが俺の本能を刺激して、落ち着かない。
「私の銀狼は、これまでどのオメガとも適合しなかった。拒絶反応ですぐに廃人にしてしまうからだ。だが、貴様は違った。私の暴走を止めるどころか、機体の性能を限界以上に引き出した」
「それは、たまたま相性が良かっただけで……」
「たまたまで済む話ではない」
クレイドは低い声で遮った。
「貴様には二つの選択肢がある。一つは、このまま軍法会議にかけられ、経歴詐称の罪で裁かれた後、研究所のモルモットになること」
俺は息を呑んだ。予想通りの最悪な結末だ。
「もう一つは?」
「……私の専属になることだ」
「え?」
予想外の言葉に、俺は目を丸くした。
「表向きは私の専属整備士として扱う。だが、実際には私の精神安定剤(アンカー)としての役割も果たしてもらう。私の傍にいれば、軍の上層部も手出しはできん。その代わり、私の許可なく私の側を離れることは許さん」
それは、実質的な隷属宣言にも聞こえた。
だが、研究所送りになるよりはずっとマシだ。
それに、彼の瞳の奥に、わずかな揺らぎが見えた気がした。
孤独な色が。
「……条件があります」
俺は勇気を振り絞って言った。
「何だ?」
「整備士としての仕事を続けさせてください。ただの電池扱いは御免です。俺は、俺の技術で機体を守りたいんです」
クレイドは少し驚いたように目を見開き、やがて口元をわずかに歪めた。笑ったようにも見えた。
「生意気な口を利く。……いいだろう、認めよう」
彼は立ち上がり、俺の頭に手を置いた。
大きくて、温かい手だった。
「契約成立だ。エリアン。今日から貴様は私のものだ」
その言葉の響きに、俺の心臓が、不覚にも高鳴った。
これは所有宣言だ。
だが、不思議と嫌な気分ではなかった。
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