虐げられ追放された悪役令息Ω、実は氷の皇太子αの運命の番で、めちゃくちゃに溺愛されています

水凪しおん

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第三十二話「皇后としての覚悟」

 帝都に戻った僕たちを待っていたのは、戦争を前にした緊張感と、民衆の不安だった。
 ゼノンはすぐさま、皇帝である父(彼はすでにゼノンに全権を委ねていた)と共に、軍議を開き、出征の準備を始めた。
 軍服に身を包んだ彼の姿は、いつにも増して凛々しく、そして覚悟に満ちていた。

 僕は、ただ彼の無事を祈っているだけではいけない。
 彼が安心して戦場に赴けるよう、彼が守ろうとしているこの国を、帝都を、僕が守らなくては。

「エリオット。お前には、俺がいない間の宮廷を任せたい。お前ならできるな?」
「……はい。お任せください」

 僕は、ゼノンの信頼に応えるため、すぐに行動を開始した。
 まだ正式な皇后ではないけれど、僕にはもう、その立場に立つ覚悟ができていた。
 まず、貴族たちを集め、ゼノンの方針を伝え、協力を仰いだ。最初は戸惑っていた貴族たちも、僕の揺るぎない態度と、的確な指示に、次第に信頼を寄せてくれるようになった。
 次に、不安に駆られている民衆を安心させるため、僕は自ら街へ出て、人々に語りかけた。

「皆さん、不安な気持ちは分かります。しかし、どうか皇太子殿下を、そして帝国軍を信じてください。この戦いは、必ず私たちの勝利で終わります。それまで、皆で力を合わせ、この国を支えましょう」

 僕の言葉は、人々の心を打ち、彼らの不安を希望へと変えていった。
 僕が設立した施療院は、戦時下の救護所としての役割を担い、僕のブランドは、利益を全て軍事物資の調達に充てることを発表した。
 僕の聡明さと優しさ、そして国を思う強い気持ちは、多くの貴族や民衆の心を掴み、彼らを一つにまとめていく。
 いつしか、帝国の誰もが、僕を未来の国母、『皇后』として認め、敬愛の念を抱くようになっていた。

 守られるだけの儚い存在だった僕が、今、何万人もの民の心を支えている。
 その事実が、僕にさらなる勇気を与えてくれた。
 ゼノン様。あなたは、あなたの戦いに集中してください。
 あなたの愛するこの国は、僕が必ず守り抜いてみせます。

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