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エピローグ「豊穣の地で、君と共に」
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僕が辺境の地の領主になってから、五年という月日が流れた。
かつては荒れ地ばかりだったこの土地は、今や王国でも有数の穀倉地帯として知られている。僕の【万能農具】スキルで改良された作物は、飢饉に苦しむ他の地域を何度も救い、多くの人々から感謝されるようになった。
領主の館の隣には、僕の希望で大きなガラス張りの温室と、小さな研究室が建てられた。僕は領主としての執務の合間に、ここで新しい作物の品種改良に没頭するのが日課になっている。
「ユキナリ、そろそろ休憩にしたらどうだ」
研究室のドアが開き、愛する人が顔を覗かせた。すっかり領主補佐兼騎士団長の風格が身についたレオンだ。五年前よりも少しだけ顔つきが精悍になったけれど、僕に向ける眼差しは、あの頃と何も変わらず、優しさと愛情に満ちている。
「あ、レオン。もうそんな時間か」
「ああ。お前は集中すると時間を忘れるからな」
彼はそう言って僕の隣に来ると、僕が観察していた新しい品種の麦の穂を、興味深そうに覗き込んだ。
「これは、寒さに強い品種にしようと思ってるんだ。北の地方でも、たくさん収穫できるようにね」
「そうか。お前は本当にすごいな」
彼は、心から感心したようにそう言って、僕の頭を優しく撫でた。大人になっても、彼にこうして頭を撫でられるのは、やっぱり少し照れくさい。でも、それ以上に、どうしようもなく嬉しいのだ。
僕たちは連れ立って、夕日に染まる領地を見渡せる丘へと向かった。眼下には、黄金色に輝く広大な麦畑が広がっている。その向こうには、活気に満ちた街の灯りが見えた。五年前には考えられなかった光景だ。
「綺麗だね」
「ああ。すべて、お前が築き上げたものだ」
「違うよ。レオンがいてくれたからだよ。あなたが支えてくれたから、僕はここまでやってこれた」
僕がそう言うと、彼は何も言わずに、僕の手を強く握った。
過労死して、異世界に来て。最初は、ただ静かにのんびり暮らせればそれでいいと思っていた。でも、レオンと出会って、クロと出会って、村の人たちと出会って、僕の世界はどんどん広がっていった。
大変なこともたくさんあったけれど、後悔なんて微塵もない。
「レオン」
「なんだ」
「僕、今、すごく幸せだよ」
前世では、一度も感じることのできなかった、満ち足りた幸福感。それを、この世界で、この人の隣で、僕は見つけることができた。
「俺もだ、ユキナリ」
レオンは僕の肩を抱き寄せると、その唇をそっと重ねてきた。夕日を浴びて、彼の影と僕の影が一つに溶け合う。
穏やかで、甘いキス。
これからも、僕たちの日常はこうして続いていくのだろう。
新しい野菜を作り、美味しい料理を囲み、時には喧嘩もするかもしれない。それでも、最後にはこうして手を取り合って、同じ夕日を眺めるのだ。
辺境の地で手にした万能農具は、不愛想な元騎士団長の胃袋だけじゃなく、僕の人生そのものを、豊かで幸せなものに変えてくれた。
「愛してるよ、レオン」
「ああ、俺もだ。世界で一番、愛している」
黄金色に染まる世界の中、僕たちはもう一度、誓いのキスを交わした。
豊穣の地で、愛する君と共に。僕の物語は、これからもずっと、続いていく。
かつては荒れ地ばかりだったこの土地は、今や王国でも有数の穀倉地帯として知られている。僕の【万能農具】スキルで改良された作物は、飢饉に苦しむ他の地域を何度も救い、多くの人々から感謝されるようになった。
領主の館の隣には、僕の希望で大きなガラス張りの温室と、小さな研究室が建てられた。僕は領主としての執務の合間に、ここで新しい作物の品種改良に没頭するのが日課になっている。
「ユキナリ、そろそろ休憩にしたらどうだ」
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「あ、レオン。もうそんな時間か」
「ああ。お前は集中すると時間を忘れるからな」
彼はそう言って僕の隣に来ると、僕が観察していた新しい品種の麦の穂を、興味深そうに覗き込んだ。
「これは、寒さに強い品種にしようと思ってるんだ。北の地方でも、たくさん収穫できるようにね」
「そうか。お前は本当にすごいな」
彼は、心から感心したようにそう言って、僕の頭を優しく撫でた。大人になっても、彼にこうして頭を撫でられるのは、やっぱり少し照れくさい。でも、それ以上に、どうしようもなく嬉しいのだ。
僕たちは連れ立って、夕日に染まる領地を見渡せる丘へと向かった。眼下には、黄金色に輝く広大な麦畑が広がっている。その向こうには、活気に満ちた街の灯りが見えた。五年前には考えられなかった光景だ。
「綺麗だね」
「ああ。すべて、お前が築き上げたものだ」
「違うよ。レオンがいてくれたからだよ。あなたが支えてくれたから、僕はここまでやってこれた」
僕がそう言うと、彼は何も言わずに、僕の手を強く握った。
過労死して、異世界に来て。最初は、ただ静かにのんびり暮らせればそれでいいと思っていた。でも、レオンと出会って、クロと出会って、村の人たちと出会って、僕の世界はどんどん広がっていった。
大変なこともたくさんあったけれど、後悔なんて微塵もない。
「レオン」
「なんだ」
「僕、今、すごく幸せだよ」
前世では、一度も感じることのできなかった、満ち足りた幸福感。それを、この世界で、この人の隣で、僕は見つけることができた。
「俺もだ、ユキナリ」
レオンは僕の肩を抱き寄せると、その唇をそっと重ねてきた。夕日を浴びて、彼の影と僕の影が一つに溶け合う。
穏やかで、甘いキス。
これからも、僕たちの日常はこうして続いていくのだろう。
新しい野菜を作り、美味しい料理を囲み、時には喧嘩もするかもしれない。それでも、最後にはこうして手を取り合って、同じ夕日を眺めるのだ。
辺境の地で手にした万能農具は、不愛想な元騎士団長の胃袋だけじゃなく、僕の人生そのものを、豊かで幸せなものに変えてくれた。
「愛してるよ、レオン」
「ああ、俺もだ。世界で一番、愛している」
黄金色に染まる世界の中、僕たちはもう一度、誓いのキスを交わした。
豊穣の地で、愛する君と共に。僕の物語は、これからもずっと、続いていく。
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