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番外編「魔竜公は大変ご機嫌斜め」
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平和な日々が戻ってきた。
宰相としての俺の仕事は山積みだが、その隣には当たり前のようにダリウスがいる。
その日、俺は宰相執務室で聖騎士団長のセドリックと、来期の予算について協議をしていた。
「国境警備の強化も必要だが、騎士たちの装備も新調したい。特に対魔法障壁が付与された鎧は急務だ」
「分かっている。だが予算には限りがあるからな。財務省と掛け合ってみよう」
俺とセドリックが真剣な顔で机の上の書類を覗き込んでいると、部屋の隅のソファからじっとりとした視線を感じる。
言うまでもなくダリウスだ。
彼は腕を組み、足を組み、明らかに「面白くない」というオーラを全身から発散させて、俺たちを睨みつけていた。
「……ところで宰相閣下。その……少し、近くないか?」
セドリックが気まずそうに言う。
気づけば俺たちの顔は、書類を一緒に見るためにかなり近い距離にあった。
「ああ、すまない」
俺が慌てて身を引こうとした、その時だった。
ふわりと体が浮き、次の瞬間、俺は硬く、そして温かい何かに座っていた。
見上げるとそこには無表情だが瞳だけが笑っていないダリウスの顔があった。
俺は彼の膝の上にすっぽりと座らされていたのだ。
「なっ……ダリウス! 何をするんだ!」
「こっちの方が効率がいいだろう」
彼は俺の腰をがっちりと抱きしめたまま悪びれもせずに言う。
そして呆然とするセドリックを一瞥すると、こう言った。
「話の続きをしろ、聖騎士。俺の番の時間を無駄にするな」
その言い草にセドリックの額に青筋が浮かぶ。
「貴方という人は……! 宰相閣下、お手を煩わせました。今日のところはこれで失礼する!」
セドリックは逃げるように部屋を出ていった。
一人残された執務室で、俺はダリウスの腕の中で深いため息をついた。
「……君なあ。少しは嫉妬というものを隠したらどうだ?」
「嫉妬? 違う。俺のものの所有権を主張しているだけだ」
彼は俺の首筋に顔を埋め、甘えるようにすり寄ってくる。
その仕草がまるで大型犬のようで、怒る気も失せてしまう。
「仕事の話をしていただけだろう」
「お前が俺以外の男と親しく話すのが気に入らない。俺以外の男に、そのように美しい顔を近づけるのも許さん」
その独占欲はとどまるところを知らないらしい。
俺が文官と仕事の話をしているだけで、彼は相手に聞こえないように「失せろ」と威圧をかける。
俺が騎士に訓練の成果を褒めると、後でその騎士を呼び出し、半殺しの目に遭わさんばかりの模擬戦を申し込む。
宰相執務室の俺の椅子は、いつの間にか彼の膝の上が定位置になってしまっていた。
「本当に君は……」
呆れながらもその重たい愛情が、どうしようもなく嬉しいと思ってしまう俺も、大概、彼に絆されているのだろう。
俺は彼の頭を優しく撫でながら、そっと彼の唇にキスをした。
「君だけのものだよ、俺は」
そう言うと彼は満足そうに目を細め、もっと深いキスを返してきた。
甘くて少しだけ危険な、嫉妬に燃える魔竜公の愛に包まれる日々は、どうやらこれからもずっと続きそうだ。
宰相としての俺の仕事は山積みだが、その隣には当たり前のようにダリウスがいる。
その日、俺は宰相執務室で聖騎士団長のセドリックと、来期の予算について協議をしていた。
「国境警備の強化も必要だが、騎士たちの装備も新調したい。特に対魔法障壁が付与された鎧は急務だ」
「分かっている。だが予算には限りがあるからな。財務省と掛け合ってみよう」
俺とセドリックが真剣な顔で机の上の書類を覗き込んでいると、部屋の隅のソファからじっとりとした視線を感じる。
言うまでもなくダリウスだ。
彼は腕を組み、足を組み、明らかに「面白くない」というオーラを全身から発散させて、俺たちを睨みつけていた。
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気づけば俺たちの顔は、書類を一緒に見るためにかなり近い距離にあった。
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見上げるとそこには無表情だが瞳だけが笑っていないダリウスの顔があった。
俺は彼の膝の上にすっぽりと座らされていたのだ。
「なっ……ダリウス! 何をするんだ!」
「こっちの方が効率がいいだろう」
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そして呆然とするセドリックを一瞥すると、こう言った。
「話の続きをしろ、聖騎士。俺の番の時間を無駄にするな」
その言い草にセドリックの額に青筋が浮かぶ。
「貴方という人は……! 宰相閣下、お手を煩わせました。今日のところはこれで失礼する!」
セドリックは逃げるように部屋を出ていった。
一人残された執務室で、俺はダリウスの腕の中で深いため息をついた。
「……君なあ。少しは嫉妬というものを隠したらどうだ?」
「嫉妬? 違う。俺のものの所有権を主張しているだけだ」
彼は俺の首筋に顔を埋め、甘えるようにすり寄ってくる。
その仕草がまるで大型犬のようで、怒る気も失せてしまう。
「仕事の話をしていただけだろう」
「お前が俺以外の男と親しく話すのが気に入らない。俺以外の男に、そのように美しい顔を近づけるのも許さん」
その独占欲はとどまるところを知らないらしい。
俺が文官と仕事の話をしているだけで、彼は相手に聞こえないように「失せろ」と威圧をかける。
俺が騎士に訓練の成果を褒めると、後でその騎士を呼び出し、半殺しの目に遭わさんばかりの模擬戦を申し込む。
宰相執務室の俺の椅子は、いつの間にか彼の膝の上が定位置になってしまっていた。
「本当に君は……」
呆れながらもその重たい愛情が、どうしようもなく嬉しいと思ってしまう俺も、大概、彼に絆されているのだろう。
俺は彼の頭を優しく撫でながら、そっと彼の唇にキスをした。
「君だけのものだよ、俺は」
そう言うと彼は満足そうに目を細め、もっと深いキスを返してきた。
甘くて少しだけ危険な、嫉妬に燃える魔竜公の愛に包まれる日々は、どうやらこれからもずっと続きそうだ。
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