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番外編「甘い檻と朝のコーヒー」
マーキングを済ませてから数ヶ月。
俺、浅木ミナトは、首相公邸での生活にもようやく慣れ始めていた。
慣れたといっても、それは公務や生活リズムの話であって、コウガの過保護ぶりには一向に慣れる気配がないのだが。
「……コウガ、離れてください。コーヒーが淹れられません」
朝のキッチン。
エプロン姿の俺の背後から、巨大な熊のようにコウガが抱き着いている。
彼の腕は俺の腰にがっちりと回され、顎が俺の肩に乗せられている。重い。そして熱い。
「あと五分。いや、十分」
「首相閣下、そろそろ支度をしないと閣議に遅れますよ」
「知るか。俺はエネルギーチャージ中だ。ミナト成分が足りないと、国会で野党議員に噛み付きそうになる」
「それはあなたの自制心の問題です」
呆れながらも、俺は彼の腕を解くことはしなかった。
首筋にある噛み跡――つがいの証に、彼が鼻先を擦り付けてくる。そのくすぐったさと、彼から漂う安心する匂いに、俺自身も癒やされているのを否定できなかったからだ。
つがいになってから、コウガの独占欲は留まるところを知らない。
SPは全員ベータか既婚のアルファに限定され、俺が外出する際は必ず彼との通話が繋がった状態にさせられる。
最初は窮屈に感じたが、それが彼の愛の深さだと知ってからは、この「甘い檻」も悪くないと思えるようになっていた。
「今日のネクタイは、赤にしましょうか。情熱とリーダーシップの色です」
「お前が選ぶなら、ピンクでも水玉でも構わん」
「さすがにそれは止めます」
コーヒーの香ばしい匂いが漂う中、俺たちは穏やかな朝の時間を共有する。
かつて孤独だった選挙参謀と、居場所のなかった野良犬の王子。
二人は今、誰よりも幸せな家族として、ここで笑い合っている。
コーヒーカップから立ち上る湯気の向こうに、コウガの優しい笑顔があった。
俺、浅木ミナトは、首相公邸での生活にもようやく慣れ始めていた。
慣れたといっても、それは公務や生活リズムの話であって、コウガの過保護ぶりには一向に慣れる気配がないのだが。
「……コウガ、離れてください。コーヒーが淹れられません」
朝のキッチン。
エプロン姿の俺の背後から、巨大な熊のようにコウガが抱き着いている。
彼の腕は俺の腰にがっちりと回され、顎が俺の肩に乗せられている。重い。そして熱い。
「あと五分。いや、十分」
「首相閣下、そろそろ支度をしないと閣議に遅れますよ」
「知るか。俺はエネルギーチャージ中だ。ミナト成分が足りないと、国会で野党議員に噛み付きそうになる」
「それはあなたの自制心の問題です」
呆れながらも、俺は彼の腕を解くことはしなかった。
首筋にある噛み跡――つがいの証に、彼が鼻先を擦り付けてくる。そのくすぐったさと、彼から漂う安心する匂いに、俺自身も癒やされているのを否定できなかったからだ。
つがいになってから、コウガの独占欲は留まるところを知らない。
SPは全員ベータか既婚のアルファに限定され、俺が外出する際は必ず彼との通話が繋がった状態にさせられる。
最初は窮屈に感じたが、それが彼の愛の深さだと知ってからは、この「甘い檻」も悪くないと思えるようになっていた。
「今日のネクタイは、赤にしましょうか。情熱とリーダーシップの色です」
「お前が選ぶなら、ピンクでも水玉でも構わん」
「さすがにそれは止めます」
コーヒーの香ばしい匂いが漂う中、俺たちは穏やかな朝の時間を共有する。
かつて孤独だった選挙参謀と、居場所のなかった野良犬の王子。
二人は今、誰よりも幸せな家族として、ここで笑い合っている。
コーヒーカップから立ち上る湯気の向こうに、コウガの優しい笑顔があった。
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