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番外編3「リオの視点」
僕の名前はリオ。ごく普通のベータでアウレリア魔法学園に通っている。そして僕の一番の親友は、今やこの国で知らぬ者はいないほどの有名人になってしまったユキだ。
ユキがオメガであるという大きな秘密を隠して学園に入学してきた時のことを、僕は今でも鮮明に覚えている。彼はいつも少しだけ周りと壁を作っていたが、その瞳の奥には誰よりも強い意志の光が宿っていた。僕が彼の秘密を知った時も、彼はただ「僕は僕の力で認められたいんだ」と静かに言った。その時から僕は彼の最大の理解者でいようと心に決めたんだ。
だからあの日、ユキが学園一傲慢なアルファであるカイ・フォン・エーレンベルクと「運命の番」になったと聞いた時、僕の心は不安でいっぱいになった。カイはユキが最も嫌うタイプの、力で全てをねじ伏せるような男だったから。
案の定、最初の頃の二人は最悪だった。顔を合わせれば喧嘩ばかり。カイはユキを「俺の所有物だ」なんて言って見下していたし、ユキもそんなカイに激しく反発していた。僕は親友が傷つけられるのを見ているしかできず、本当に歯がゆかった。
でも変化は少しずつ訪れた。「双星杯」で不本意ながらもペアを組むことになってからだ。最初は全く噛み合わなかった二人が、あの苦戦した一回戦をきっかけに互いと向き合うことを決めた。
訓練場で二人が真剣に話し合っている姿を、僕はこっそりと見ていたことがある。カイが初めて自分の弱さをユキに見せた日。ユキが自分の魔法でカイの盾になると誓った日。あの時から二人の間の空気は確実に変わり始めたんだ。
ユキはカイの孤独を理解し、カイはユキの強さと誇りを認めた。反発しあっていた二つの魂がまるでパズルのピースがはまるみたいに、ゆっくりと寄り添っていく。その過程はそばで見ている僕にとっても、なんだか感動的だった。
もちろん、すんなりとはいかなかった。セシル様からの陰湿な嫌がらせや準々決勝でのカイの魔力暴走など、様々な困難があった。特にカイがユキを突き放した時は、僕はカイを殴ってやろうかと本気で思った。ユキのあの絶望した顔は今でも忘れられない。
でもユキは諦めなかった。彼はカイの本当の想いを信じ、自らの手で真実を突き止めた。そしてたった一人でカイの元へ走り、想いをぶつけたんだ。
「君の隣に立って、一緒に戦いたいんだ!」
あの時のユキは、僕が今まで見た中で一番かっこよかった。
決勝戦で二人が初めて合体魔法を放った瞬間、闘技場にいた誰もが息を呑んだ。黄金の光に包まれた二人はまるで一対の神様みたいに神々しくて美しかった。それは二人が数々の困難を乗り越え、互いを唯一無二の存在として認め合った愛の結晶そのものだったんだと思う。
今、二人はこの国を変えるために日々奮闘している。時には意見がぶつかることもあるみたいだけど、その絆が揺らぐことはもうない。ユキが笑うとカイも本当に嬉しそうに、柔らかく笑うんだ。あの傲慢だった男があんな顔をするようになるなんて、誰が想像しただろう。
僕の親友は世界で一番素敵なパートナーを見つけた。彼の幸せを心から願い温かく見守ること。それが僕にできる最大のエールだ。
これからも二人の歩む道が、黄金の光で満ちていますように。
ユキがオメガであるという大きな秘密を隠して学園に入学してきた時のことを、僕は今でも鮮明に覚えている。彼はいつも少しだけ周りと壁を作っていたが、その瞳の奥には誰よりも強い意志の光が宿っていた。僕が彼の秘密を知った時も、彼はただ「僕は僕の力で認められたいんだ」と静かに言った。その時から僕は彼の最大の理解者でいようと心に決めたんだ。
だからあの日、ユキが学園一傲慢なアルファであるカイ・フォン・エーレンベルクと「運命の番」になったと聞いた時、僕の心は不安でいっぱいになった。カイはユキが最も嫌うタイプの、力で全てをねじ伏せるような男だったから。
案の定、最初の頃の二人は最悪だった。顔を合わせれば喧嘩ばかり。カイはユキを「俺の所有物だ」なんて言って見下していたし、ユキもそんなカイに激しく反発していた。僕は親友が傷つけられるのを見ているしかできず、本当に歯がゆかった。
でも変化は少しずつ訪れた。「双星杯」で不本意ながらもペアを組むことになってからだ。最初は全く噛み合わなかった二人が、あの苦戦した一回戦をきっかけに互いと向き合うことを決めた。
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ユキはカイの孤独を理解し、カイはユキの強さと誇りを認めた。反発しあっていた二つの魂がまるでパズルのピースがはまるみたいに、ゆっくりと寄り添っていく。その過程はそばで見ている僕にとっても、なんだか感動的だった。
もちろん、すんなりとはいかなかった。セシル様からの陰湿な嫌がらせや準々決勝でのカイの魔力暴走など、様々な困難があった。特にカイがユキを突き放した時は、僕はカイを殴ってやろうかと本気で思った。ユキのあの絶望した顔は今でも忘れられない。
でもユキは諦めなかった。彼はカイの本当の想いを信じ、自らの手で真実を突き止めた。そしてたった一人でカイの元へ走り、想いをぶつけたんだ。
「君の隣に立って、一緒に戦いたいんだ!」
あの時のユキは、僕が今まで見た中で一番かっこよかった。
決勝戦で二人が初めて合体魔法を放った瞬間、闘技場にいた誰もが息を呑んだ。黄金の光に包まれた二人はまるで一対の神様みたいに神々しくて美しかった。それは二人が数々の困難を乗り越え、互いを唯一無二の存在として認め合った愛の結晶そのものだったんだと思う。
今、二人はこの国を変えるために日々奮闘している。時には意見がぶつかることもあるみたいだけど、その絆が揺らぐことはもうない。ユキが笑うとカイも本当に嬉しそうに、柔らかく笑うんだ。あの傲慢だった男があんな顔をするようになるなんて、誰が想像しただろう。
僕の親友は世界で一番素敵なパートナーを見つけた。彼の幸せを心から願い温かく見守ること。それが僕にできる最大のエールだ。
これからも二人の歩む道が、黄金の光で満ちていますように。
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