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エピローグ「永遠の春が咲く場所」
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あれから、五年という歳月が流れた。
かつて北の辺境と呼ばれた不毛の地は、今ではグリューネヴァルトという豊かな小国として、大陸中にその名を知られている。僕の【緑の手】と、カイの優れた統治能力、そして何より、勤勉で心優しい国民たちのおかげで、この国は常に笑顔と活気に満ちていた。
レオンハルト王国とは、今も友好な関係を保っている。僕たちが定期的に送る食料のおかげで、彼の国もまた、かつての豊かさを取り戻しつつあると聞く。もう、僕たちが争う必要はない。
「母様!見てください!」
春の柔らかな日差しが降り注ぐ王宮の庭園で、僕によく似た銀の髪と、カイ譲りの金色の瞳を持つ小さな男の子が、僕に向かって駆け寄ってきた。僕たちの息子、アルクだ。
その小さな手には、摘んだばかりのタンポポが、大事そうに握られている。
「アルク、走ると転びますよ」
「大丈夫です!父様みたいに、強いですから!」
そう言って、胸を張る息子の姿に、思わず笑みがこぼれる。アルクは、カイと同じ、たくましいアルファとして生まれてきた。やんちゃで、元気いっぱいで、そして、とても優しい子だ。
「母様に、プレゼントです」
アルクは、僕にタンポポの花を差し出した。
「まあ、ありがとう。とても嬉しいです」
僕が花を受け取ると、アルクは満足そうに笑った。その笑顔は、本当にカイによく似ている。
「エリアス、アルク。ここにいたのか」
低い、優しい声がして振り返ると、そこには、書類仕事の合間に抜け出してきたらしいカイが、穏やかな顔で立っていた。王としての貫禄は増したが、僕に向ける眼差しは、出会った頃から少しも変わらない。
「父様!」
アルクが、カイの足に飛びつく。カイは、ひょいと息子を軽々と抱き上げると、その頬に自分の頬をすり寄せた。アルクが、きゃっきゃと嬉しそうに笑う声が、庭園に響き渡る。
僕の、かけがえのない宝物たち。
カイは、アルクを抱いたまま、僕の隣に腰を下ろした。そして、空いている方の手で、僕の手をそっと握る。
「疲れてないか?」
「ええ、大丈夫です。ここの空気は、私を元気にしてくれますから」
僕は、色とりどりの花が咲き誇る庭園を見渡した。この庭は、僕が一番気に入っている場所だ。どんな季節でも、ここでは常に何かしらの花が咲いている。まるで、永遠の春がここにあるかのようだ。
「ねぇ、カイ」
「ん?」
「私、幸せです」
唐突な僕の言葉に、カイは少しだけ驚いたように目を見開いたが、すぐに、たまらなく愛おしそうな顔で微笑んだ。
「俺もだ、エリアス。お前たちがいてくれる。これ以上の幸せはない」
彼は、僕の額に、優しく口づけを落とした。
「愛してる」
「私も、愛しています」
僕とカイの腕の中では、アルクが遊び疲れたのか、すうすうと可愛らしい寝息を立て始めている。
かつて、僕は偽りの罪で全てを失い、凍てつくような絶望の中にいた。
けれど、今、僕の周りには、こんなにも温かい愛と、優しい光が満ち溢れている。
この場所こそが、僕が長い旅の果てに見つけた、本当の楽園。
偽りの聖オメガでも、国の英雄でもない。僕はただ、愛する人の番として、一人の子の母として、この豊かな大地と共に、穏やかな時を重ねていく。
僕の人生に、もう迷いはない。
吹き抜けていく風が、僕と、僕の愛する家族の髪を、優しく揺らしていった。
ここには、永遠の春が咲いている。僕の心の中にも、そして、僕たちの未来にも。
かつて北の辺境と呼ばれた不毛の地は、今ではグリューネヴァルトという豊かな小国として、大陸中にその名を知られている。僕の【緑の手】と、カイの優れた統治能力、そして何より、勤勉で心優しい国民たちのおかげで、この国は常に笑顔と活気に満ちていた。
レオンハルト王国とは、今も友好な関係を保っている。僕たちが定期的に送る食料のおかげで、彼の国もまた、かつての豊かさを取り戻しつつあると聞く。もう、僕たちが争う必要はない。
「母様!見てください!」
春の柔らかな日差しが降り注ぐ王宮の庭園で、僕によく似た銀の髪と、カイ譲りの金色の瞳を持つ小さな男の子が、僕に向かって駆け寄ってきた。僕たちの息子、アルクだ。
その小さな手には、摘んだばかりのタンポポが、大事そうに握られている。
「アルク、走ると転びますよ」
「大丈夫です!父様みたいに、強いですから!」
そう言って、胸を張る息子の姿に、思わず笑みがこぼれる。アルクは、カイと同じ、たくましいアルファとして生まれてきた。やんちゃで、元気いっぱいで、そして、とても優しい子だ。
「母様に、プレゼントです」
アルクは、僕にタンポポの花を差し出した。
「まあ、ありがとう。とても嬉しいです」
僕が花を受け取ると、アルクは満足そうに笑った。その笑顔は、本当にカイによく似ている。
「エリアス、アルク。ここにいたのか」
低い、優しい声がして振り返ると、そこには、書類仕事の合間に抜け出してきたらしいカイが、穏やかな顔で立っていた。王としての貫禄は増したが、僕に向ける眼差しは、出会った頃から少しも変わらない。
「父様!」
アルクが、カイの足に飛びつく。カイは、ひょいと息子を軽々と抱き上げると、その頬に自分の頬をすり寄せた。アルクが、きゃっきゃと嬉しそうに笑う声が、庭園に響き渡る。
僕の、かけがえのない宝物たち。
カイは、アルクを抱いたまま、僕の隣に腰を下ろした。そして、空いている方の手で、僕の手をそっと握る。
「疲れてないか?」
「ええ、大丈夫です。ここの空気は、私を元気にしてくれますから」
僕は、色とりどりの花が咲き誇る庭園を見渡した。この庭は、僕が一番気に入っている場所だ。どんな季節でも、ここでは常に何かしらの花が咲いている。まるで、永遠の春がここにあるかのようだ。
「ねぇ、カイ」
「ん?」
「私、幸せです」
唐突な僕の言葉に、カイは少しだけ驚いたように目を見開いたが、すぐに、たまらなく愛おしそうな顔で微笑んだ。
「俺もだ、エリアス。お前たちがいてくれる。これ以上の幸せはない」
彼は、僕の額に、優しく口づけを落とした。
「愛してる」
「私も、愛しています」
僕とカイの腕の中では、アルクが遊び疲れたのか、すうすうと可愛らしい寝息を立て始めている。
かつて、僕は偽りの罪で全てを失い、凍てつくような絶望の中にいた。
けれど、今、僕の周りには、こんなにも温かい愛と、優しい光が満ち溢れている。
この場所こそが、僕が長い旅の果てに見つけた、本当の楽園。
偽りの聖オメガでも、国の英雄でもない。僕はただ、愛する人の番として、一人の子の母として、この豊かな大地と共に、穏やかな時を重ねていく。
僕の人生に、もう迷いはない。
吹き抜けていく風が、僕と、僕の愛する家族の髪を、優しく揺らしていった。
ここには、永遠の春が咲いている。僕の心の中にも、そして、僕たちの未来にも。
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