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特別編2「新しい家族と、変わらない場所」
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数ヶ月後。
「こが屋」の店先には新しいスーパーボールの入った水槽が置かれていた。
夏の強い日差しが水面を反射して、天井に光の模様を描いている。
「パパ!みてみて、大きいのが取れた!」
「すごいな陸。才能があるぞ」
蓮さんが縁側で陸の濡れた手をタオルで拭いている。
陸はもう小学校二年生になり、すっかりお兄ちゃんらしくなってきた。
そして僕の腕の中には先月生まれたばかりの次男、海が眠っている。
蓮さんによく似た黒髪の男の子だ。
今はまだアルファかオメガか分からないけれど、きっとパパのように強くて優しい子になるだろう。
「湊、疲れていないか?海を代わろう」
蓮さんが心配そうに近づいてくる。
相変わらずの過保護ぶりだが、その手はとても温かい。
「大丈夫ですよ。よく寝てますから」
「そうか。……本当に、君に似て可愛い寝顔だ」
蓮さんはそう言うと、僕の額と海の小さなおでこに交互にキスを落とした。
店先にいた小学生たちがまたやってる、社長がデレデレだと口々に冷やかして騒ぐ。
「うるさいぞ、お前たち。……アイスをおごってやるから、あっちで遊んでいろ」
「やったー!社長太っ腹!」
子供たちが歓声を上げて駆け出していく。
その賑やかな音を聞きながら僕は幸せを噛み締めていた。
かつて「出来損ない」だと泣いていた僕はもういない。
ここには愛してくれる夫がいて可愛い子供たちがいて、そして温かいお客様たちがいる。
カラン、コロン。
風鈴が涼やかな音を立てた。
「いらっしゃいませ!」
僕と蓮さんの声が重なる。
十円玉の音と甘いお菓子の匂い。
僕たちの愛しい日常はこれからもこの場所で、ゆっくりと紡がれていく。
「こが屋」の店先には新しいスーパーボールの入った水槽が置かれていた。
夏の強い日差しが水面を反射して、天井に光の模様を描いている。
「パパ!みてみて、大きいのが取れた!」
「すごいな陸。才能があるぞ」
蓮さんが縁側で陸の濡れた手をタオルで拭いている。
陸はもう小学校二年生になり、すっかりお兄ちゃんらしくなってきた。
そして僕の腕の中には先月生まれたばかりの次男、海が眠っている。
蓮さんによく似た黒髪の男の子だ。
今はまだアルファかオメガか分からないけれど、きっとパパのように強くて優しい子になるだろう。
「湊、疲れていないか?海を代わろう」
蓮さんが心配そうに近づいてくる。
相変わらずの過保護ぶりだが、その手はとても温かい。
「大丈夫ですよ。よく寝てますから」
「そうか。……本当に、君に似て可愛い寝顔だ」
蓮さんはそう言うと、僕の額と海の小さなおでこに交互にキスを落とした。
店先にいた小学生たちがまたやってる、社長がデレデレだと口々に冷やかして騒ぐ。
「うるさいぞ、お前たち。……アイスをおごってやるから、あっちで遊んでいろ」
「やったー!社長太っ腹!」
子供たちが歓声を上げて駆け出していく。
その賑やかな音を聞きながら僕は幸せを噛み締めていた。
かつて「出来損ない」だと泣いていた僕はもういない。
ここには愛してくれる夫がいて可愛い子供たちがいて、そして温かいお客様たちがいる。
カラン、コロン。
風鈴が涼やかな音を立てた。
「いらっしゃいませ!」
僕と蓮さんの声が重なる。
十円玉の音と甘いお菓子の匂い。
僕たちの愛しい日常はこれからもこの場所で、ゆっくりと紡がれていく。
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