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宮野宅 Day 2
第35話 俺と慧、そして尻尾
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…我が家に帰ってきた…
どうも、宮野奏太でございます。
やっぱり、家が一番ですな。
よく女子の買い物は長いといいますが、確かに…長いのぅ。
脚腰が痛くなってしまいましたわ。
買い物中の女子の体力ハンパねぇって思ってる男子 多いんじゃなかろうか。
なんだか、しゃべり方が翁みたいになってますな。
ちゃんと、理由があるんですぞ。
先ほど、姉ちゃんがスーパーに車を停めて仮眠してた時じゃ。
もちろん、ワシも眠かったから寝ようと思ってたんじゃが…
ふと、後部座席を見たら、天使が二人いらっしゃったんじゃ。
二人は寄り添って、頭がひっついておった。
その寝顔が可愛いのなんの。
この世のものとは思えん仕上がりじゃった。
即座にスマホに手が伸びたのぉ。
そこからは、容量がなくなるくらい盗撮したもんじゃ。
アルバムを見られたら、もうお終いじゃ。
誰にもバレんようにと、慎重に盗撮を続けておると、角度の調節をした時に姉上に当たっちまった。
即座にスマホを奪われ、アルバムを全部見られたわい。
いくらスクロールしても終わらない寝顔。
あの時は、死んだと思ったわ。
しかし、姉上は手早くベストショットを選定し、自身のスマホに送った。
その後はグッジョブのジェスチャーをして、もう一度眠りについた。
どうやら、見逃して…というか、共犯じゃな。
それからは、幸せな時間じゃったよ。
思う存分、天使たちを目に焼き付けた。
天使たちの写真もゲット。
一生モノのお宝を手に入れて、ワシはもう満足してしまった。
孫を愛でるお爺ちゃんの気分じゃ。
それが、今のしゃべり方に影響しておるんじゃ。
・・・あぁ、ワシしあわせ。
「カナター ばんごはん どうするのー?」
無邪気な孫が話しかけてきてくれたわ。
あ、しゃべり方戻そうか?
うざい? 戻すわ。
「なんかリクエストとかある?」
「んー。 ノア、ハンバーグがいい!」
「ハンバーグなら材料あるから作れるぞ」
「ホント! やったぁ」
昨日の学校帰りの買い出しで乃愛が好きそうなものは一通り揃えておいたんだ。
「じゃあ、いつもの和風にする?」
「するー!」
中村さんがいなくなって乃愛が元気になってる。
おとなしいのも良いけど、やっぱり元気な方が良いな。
「いつもの?」 と彩葉ちゃん。
そうか、知らないのか。
「俺、よく慧の家に飯作りに行ってたからさ」
ーーー
慧は一応自炊するんだけど、すげー簡素なんだ。
こっちが心配になるくらいに。
俺が食うもの指定してたもん。
今朝は納豆食べなさいとかさ。
今日知ったことだけど、とても金持ちの息子とは思えない。
贅沢欲がマジで薄いんだよ。
だから、時々…2日に1回くらい俺が晩飯を作りにいってたんだ。
まぁ、俺が飯を作りに家に通う→慧が俺に懐く を繰り返した結果
見事に腐女子が湧いたんだけどな。
この件に関して、ちょっと話していい?
まず、何回も言うけど、慧ってスゲー人見知りなんだよ。
俺らは中高一貫だから、今のメンツとは5年一緒にいるわけよ。
でも、慧は男子の半分くらいと女子全員にまだ、人見知りしてるんだ。
だから、彩葉ちゃんとこうして仲良くしてるのが俺的には衝撃なわけよ。
俺は、入学した時に慧に初めに話しかけた人で、それからは慧が頼ってくれてる。
1年の時は慧は小柄で、明らかに怯えてたから、助けてあげようかなって思ったんだ。
そこからだよ。
俺が慧の沼にハマったのは。
懐いてくれた慧ってな、めっちゃ可愛いんだよ。
あ、ホモじゃなくてな。
忘れてるかもしれないけど、俺が好きなのは彩葉ちゃんだからな。
他のクラスメートには警戒心バリバリなのに、俺にだけ心を開いてくれてる優越感みたいなのを感じた。
なんだろう、他人にはツンで、俺にはデレみたいな。
で、二人きりになったら、めっちゃ楽しそうにしゃべるんだよ。
普段ほとんど誰とも話さないのに。
慧は自分のコトをコミュ障だって思ってたけど、たぶん極度の人見知りなだけだ。
実際、心を開いた相手とは活発にコミュニケーションをとる。
まぁ、相手はほとんど俺なんだけども。
そんで、俺を見つけたらぴょこぴょこ寄ってきて、嬉しそうにする。
だから、彩葉ちゃん達は知らないだろうけど、
実は乃愛の行動って、デレモードの慧とほとんど何も変わってないんだ。
俺に対しては、ずっと乃愛みたいな可愛さがあったわけよ。
慧ってな 見てるとスゲー庇護欲がわいてくるんだよ。
簡単に言うと、ドジっ子なんだ。
普段の学校とかでは、全くそんな感じはしない。
むしろ、何もかも完璧にこなす優等生感が激しい。
それが俺と二人きりだと まーフワフワしてるんですわ。
よく一人暮らしの許可でたなってくらい。
たぶん、ご両親よりも俺の方が慧に好かれてる自信ある。
あのフワフワした天然なのが慧の素だ。
しかも、その天然も頭悪い系のじゃなくて、ピュアすぎるゆえに発生するやつだ。
あぁ・・・ かわいい。
まじで同棲したかった。
で、ここがポイントなんだけど、
慧は普通にイケメンなんだ。
男の俺から見ても超イケメン。
中性的な感じもして、たまにドキッとすることもあった。
女装させたら似合うだろうなーって、いつも思ってた。
男のうちに女装させる作戦は途絶えたけども。
正直、嫉妬したもん。
世の中は結局 顔なんだと思った。
もし、慧が髭面の老け顔だったら、ぴょこぴょこ寄ってきたら嫌だもん。
まぁ、俺は普通の男子高校生だったよ。
髭も生えるし、汗臭いし。The 男 って感じ。
その点、慧は、髭もムダ毛もほぼ生えてないし、汗かいてるとこ見たことないし、良い匂いするし。
清潔感の塊みたいな感じだった。
慧は知らないだろうけど、学年で一番女子ウケ良いのお前だったよ。
男子の半分くらいが慧に冷たい原因は、9割くらい嫉妬だ。
慧から漂う、話しかけて欲しくないオーラを解く方法はないかと、何人もの女子に聞かれたさ。
なかったけどな。
女子たちも色々と努力してたんだよ。
慧が読んでる謎の小説を買ってみたり(謎すぎて理解できなかったそうだ)
俺からサボテン好きっていうのを聞き出して調べたり(よく分からなかったそうだ)
結果的には、慧のミステリアス属性が上昇しただけだったけど。
その時、俺、言っちゃったんだよね。
「慧は女子が苦手」的なニュアンスのことを。
それで、元から流れてた俺とのホモ説が立証されちゃったんだ。
その後の女子たちのショックの受け方はスゴかった。
「ただの噂だって信じてたのに。本人が認めちゃった」って。
もう、前言撤回は不可能だったね。
一瞬でホモ説からホモカップルになった。
慧カップルを暖かく見守る会が創設されて、多くの女子が腐女子になったんだ。
要するに、俺の発言が悪い。
このことは知らないだろうけど… すまん、慧。
で、その慧が女の子になったわけだから、腐女子たちはパニックですわな。
昨日の段階で見守る会:B組総本部は解散された。
慧が男じゃなくなって、もう追いかける必要ないから解散したんだと思ったよ、俺は。
でも、昨日ラインがいっぱい来てた。
「今日からレズになります」って。
…なんで?
ていうか俺に宣言する必要なくない?
俺から乃愛を奪うよってこと?
いや、別に乃愛は俺のものではないけど。
たぶん、コロコロ恋愛対象が変わりすぎて、性におおらかになったんだろうな。
で、気づいたんだけど、乃愛…クラスの男子にも女子にも、ほぼ全員に狙われてる。
明日、学校行ったらどうなるかな。
ちょっと楽しみでもある。
ていうか、こんなに乃愛に好かれてる俺、危なくね?
嫉妬に狂ったヤツに殺されないかな。
学校では、乃愛にちょっと控え目にお願いしたほうがいいかも。
ーーー
「そうなんだ。 何か手伝うよ」
「ノアも手伝うー!」
かわいい娘たちが手伝ってくれるみたいだ。
幸せだ。
彩葉ちゃんにはポトフをお願いした。
ハンバーグは野菜不足になりがちだから、ちょうどいい。
乃愛には、材料を出してレシピを伝えながら、肉だねを混ぜてもらう。
もちろん、ゴム手袋を着用させた。
そして俺は、ゆっくりと大根をおろしながら、その光景を眺める。
…こんな娘たちがほしいな。
姉ちゃんも同感といった感じで眺めている。
ーーー
眺めていると、いつの間にか料理が出来上がっていた。
彩葉ちゃんが進めてくれていたみたいだ。
俺は大根を1本丸ごとおろしていた。
乃愛は辛いのが苦手なので、生の大根おろしは不要。
作りすぎた。
ちなみに、乃愛は、辛い・苦い・痛い・怖い がとても苦手だ。
大好きって人はあんまりいないと思うけどな。
ハンバーグは俺のミスにより、みぞれ煮込みハンバーグとなった。
煮込んで、辛みを抜けば乃愛も食べられる。
ーーー
さて、このハンバーグには俺の手がほぼ加わっていない。
つまり、昨日のカレーもそうだが、女の子の手作りだ。
8倍増しで旨く感じる。
乃愛も美味しそうだ。
(なんか乃愛を食べるみたいな文章になったな)
すぐに食べ終わってしまう。
量は十分だったけど、なにかもっと食べたい。
みんな同じだったようで、女性陣がクッキーを作ってくれるそうだ。
あぁ、俺しあわせ。
女の子のお菓子作りに男は不要なので、部屋にもどってみた。
うぷ主の意向で、俺は2話連続で語り手になれない。
長くなるが、部屋でのことをしゃべってもいいかい?
おぉ、そうか。 ありがとう。
ーーー
みんなは覚えているかい?
尻尾のことを。
俺はずっと気になってたんだ。
カバンは帰った時にサッと部屋に置いた。
ずっと置いておくには、隠し場所が必要だ。
なぜならエログッズだから。
姉ちゃんが俺の部屋に入ることは・・・たまにある。
ノックしてくれるけどな。
その辺に放置していたら、何かの拍子に発見されてしまうかもしれない。
もし、乃愛に見つかって「これどうやって付けるの?」とか聞かれたら終わりだ。
だが、みんな。
自分の部屋を見渡してほしい。
確実に見つからない隠し場所ってあるか?
俺はない。
候補地としては、
ベットの下・カバン・引き出し・家具の裏…
な、全部危ういだろ。
どうしたものか。
しかもこの尻尾は50㎝くらいあった気がする。
まぁ、丁寧に梱包してくれてるから、このままにしておけば何かは分からないはずだ。
けど、開けたい。
店員さんが入れてくれたオマケとやらが かなり気になる。
最終的な作戦はこうだ。
梱包を丁寧にはがし、オマケを確認後、梱包しなおして、段ボールに詰め、ガムテープでガチガチに固定。
それをクローゼット奥底に安置。
さらに上に不要な教科書を大量に積み重ねる。
おそらく、これが俺ができる最善の隠蔽方法だ。
作戦決行だ。
オマケを確認する。
「・・・」
まぁ、なんということでしょう♪
ど派手な黄色い包装紙をめくった先には、それはそれは上質な猫の尻尾。
そして、誰もが知っている、赤と白の縞々のブツが入っているではありませんか♪
おっと、頭の中に勝手に聞き覚えのあるBGMとナレーションが流れた。
え、オマケってTEMGAのことですか、店員さん。
確かに、俺めっちゃ見てたと思うけどさ。
ボク、今、興味と困惑で胸がいっぱい。
作戦中断。
これを何事もなかったかのように、段ボールに納めるなんて無理。
男としての興味が勝りますわ。 さすがに。
はじめて手に取った。
どうやって使うんだこれ。
このミシン目のところを剥がすのか?
バキューム…?
いや、今使うわけじゃないけどさ。
この尻尾もよく見たら、すっごい上質じゃん。
黒いヤツ買ったんだけどさ、この毛は何でできてるんだ。
フサフサで超触り心地いい。
取り付け部分…まぁ、包み隠さず言うと、アナルプラグもピカピカの金属でできていて高級感がある。
使うことはないけど、一応、最も小さいプラグのものにした。
で、今気づいたけど、使いきりのローションまで入ってる。
ガチャ!!
「カナター! クッキーにチョコチップ入れていい?」
最悪のタイミングで乃愛登場!
左手が迅速に尻尾をベッド脇に投げ飛ばしたため、こちらはセーフ。
良い子だ、左手。
問題は右手。 君だよ。
がっちりとブツを掴んだままじゃないか。
そーと、右手を下におろしながら…
「あぁ、いいよ。入れて入れて…」
「それなぁに?」
やっぱり気になるよね。
俺の頭が2日分くらいのカロリーを使って言い訳を考えている。
今の乃愛なら、頑張れば、ごまかせる。
「これ、… 前、高橋にもらったプロテイン。変なパッケージやけどな」
「ちょっと、筋トレしようと思ってさ」
こんなプロテインあるわけないけど、乃愛は筋肉好きなだけで、プロテインには詳しくないから・・・
「へぇ、そうなんだ。 じゃあ 筋トレがんばってね!」
といって、パタパタと足音が小さくなっていく。
おそらく言い訳成功。
危なかった。
乃愛以外なら、確実に修羅場。
冷や汗がドッと噴き出す。
これは…当初の作戦通り、封印しよう。
心臓がもたない。
乃愛に言っちゃったし、筋トレでもしようか。
どうも、宮野奏太でございます。
やっぱり、家が一番ですな。
よく女子の買い物は長いといいますが、確かに…長いのぅ。
脚腰が痛くなってしまいましたわ。
買い物中の女子の体力ハンパねぇって思ってる男子 多いんじゃなかろうか。
なんだか、しゃべり方が翁みたいになってますな。
ちゃんと、理由があるんですぞ。
先ほど、姉ちゃんがスーパーに車を停めて仮眠してた時じゃ。
もちろん、ワシも眠かったから寝ようと思ってたんじゃが…
ふと、後部座席を見たら、天使が二人いらっしゃったんじゃ。
二人は寄り添って、頭がひっついておった。
その寝顔が可愛いのなんの。
この世のものとは思えん仕上がりじゃった。
即座にスマホに手が伸びたのぉ。
そこからは、容量がなくなるくらい盗撮したもんじゃ。
アルバムを見られたら、もうお終いじゃ。
誰にもバレんようにと、慎重に盗撮を続けておると、角度の調節をした時に姉上に当たっちまった。
即座にスマホを奪われ、アルバムを全部見られたわい。
いくらスクロールしても終わらない寝顔。
あの時は、死んだと思ったわ。
しかし、姉上は手早くベストショットを選定し、自身のスマホに送った。
その後はグッジョブのジェスチャーをして、もう一度眠りについた。
どうやら、見逃して…というか、共犯じゃな。
それからは、幸せな時間じゃったよ。
思う存分、天使たちを目に焼き付けた。
天使たちの写真もゲット。
一生モノのお宝を手に入れて、ワシはもう満足してしまった。
孫を愛でるお爺ちゃんの気分じゃ。
それが、今のしゃべり方に影響しておるんじゃ。
・・・あぁ、ワシしあわせ。
「カナター ばんごはん どうするのー?」
無邪気な孫が話しかけてきてくれたわ。
あ、しゃべり方戻そうか?
うざい? 戻すわ。
「なんかリクエストとかある?」
「んー。 ノア、ハンバーグがいい!」
「ハンバーグなら材料あるから作れるぞ」
「ホント! やったぁ」
昨日の学校帰りの買い出しで乃愛が好きそうなものは一通り揃えておいたんだ。
「じゃあ、いつもの和風にする?」
「するー!」
中村さんがいなくなって乃愛が元気になってる。
おとなしいのも良いけど、やっぱり元気な方が良いな。
「いつもの?」 と彩葉ちゃん。
そうか、知らないのか。
「俺、よく慧の家に飯作りに行ってたからさ」
ーーー
慧は一応自炊するんだけど、すげー簡素なんだ。
こっちが心配になるくらいに。
俺が食うもの指定してたもん。
今朝は納豆食べなさいとかさ。
今日知ったことだけど、とても金持ちの息子とは思えない。
贅沢欲がマジで薄いんだよ。
だから、時々…2日に1回くらい俺が晩飯を作りにいってたんだ。
まぁ、俺が飯を作りに家に通う→慧が俺に懐く を繰り返した結果
見事に腐女子が湧いたんだけどな。
この件に関して、ちょっと話していい?
まず、何回も言うけど、慧ってスゲー人見知りなんだよ。
俺らは中高一貫だから、今のメンツとは5年一緒にいるわけよ。
でも、慧は男子の半分くらいと女子全員にまだ、人見知りしてるんだ。
だから、彩葉ちゃんとこうして仲良くしてるのが俺的には衝撃なわけよ。
俺は、入学した時に慧に初めに話しかけた人で、それからは慧が頼ってくれてる。
1年の時は慧は小柄で、明らかに怯えてたから、助けてあげようかなって思ったんだ。
そこからだよ。
俺が慧の沼にハマったのは。
懐いてくれた慧ってな、めっちゃ可愛いんだよ。
あ、ホモじゃなくてな。
忘れてるかもしれないけど、俺が好きなのは彩葉ちゃんだからな。
他のクラスメートには警戒心バリバリなのに、俺にだけ心を開いてくれてる優越感みたいなのを感じた。
なんだろう、他人にはツンで、俺にはデレみたいな。
で、二人きりになったら、めっちゃ楽しそうにしゃべるんだよ。
普段ほとんど誰とも話さないのに。
慧は自分のコトをコミュ障だって思ってたけど、たぶん極度の人見知りなだけだ。
実際、心を開いた相手とは活発にコミュニケーションをとる。
まぁ、相手はほとんど俺なんだけども。
そんで、俺を見つけたらぴょこぴょこ寄ってきて、嬉しそうにする。
だから、彩葉ちゃん達は知らないだろうけど、
実は乃愛の行動って、デレモードの慧とほとんど何も変わってないんだ。
俺に対しては、ずっと乃愛みたいな可愛さがあったわけよ。
慧ってな 見てるとスゲー庇護欲がわいてくるんだよ。
簡単に言うと、ドジっ子なんだ。
普段の学校とかでは、全くそんな感じはしない。
むしろ、何もかも完璧にこなす優等生感が激しい。
それが俺と二人きりだと まーフワフワしてるんですわ。
よく一人暮らしの許可でたなってくらい。
たぶん、ご両親よりも俺の方が慧に好かれてる自信ある。
あのフワフワした天然なのが慧の素だ。
しかも、その天然も頭悪い系のじゃなくて、ピュアすぎるゆえに発生するやつだ。
あぁ・・・ かわいい。
まじで同棲したかった。
で、ここがポイントなんだけど、
慧は普通にイケメンなんだ。
男の俺から見ても超イケメン。
中性的な感じもして、たまにドキッとすることもあった。
女装させたら似合うだろうなーって、いつも思ってた。
男のうちに女装させる作戦は途絶えたけども。
正直、嫉妬したもん。
世の中は結局 顔なんだと思った。
もし、慧が髭面の老け顔だったら、ぴょこぴょこ寄ってきたら嫌だもん。
まぁ、俺は普通の男子高校生だったよ。
髭も生えるし、汗臭いし。The 男 って感じ。
その点、慧は、髭もムダ毛もほぼ生えてないし、汗かいてるとこ見たことないし、良い匂いするし。
清潔感の塊みたいな感じだった。
慧は知らないだろうけど、学年で一番女子ウケ良いのお前だったよ。
男子の半分くらいが慧に冷たい原因は、9割くらい嫉妬だ。
慧から漂う、話しかけて欲しくないオーラを解く方法はないかと、何人もの女子に聞かれたさ。
なかったけどな。
女子たちも色々と努力してたんだよ。
慧が読んでる謎の小説を買ってみたり(謎すぎて理解できなかったそうだ)
俺からサボテン好きっていうのを聞き出して調べたり(よく分からなかったそうだ)
結果的には、慧のミステリアス属性が上昇しただけだったけど。
その時、俺、言っちゃったんだよね。
「慧は女子が苦手」的なニュアンスのことを。
それで、元から流れてた俺とのホモ説が立証されちゃったんだ。
その後の女子たちのショックの受け方はスゴかった。
「ただの噂だって信じてたのに。本人が認めちゃった」って。
もう、前言撤回は不可能だったね。
一瞬でホモ説からホモカップルになった。
慧カップルを暖かく見守る会が創設されて、多くの女子が腐女子になったんだ。
要するに、俺の発言が悪い。
このことは知らないだろうけど… すまん、慧。
で、その慧が女の子になったわけだから、腐女子たちはパニックですわな。
昨日の段階で見守る会:B組総本部は解散された。
慧が男じゃなくなって、もう追いかける必要ないから解散したんだと思ったよ、俺は。
でも、昨日ラインがいっぱい来てた。
「今日からレズになります」って。
…なんで?
ていうか俺に宣言する必要なくない?
俺から乃愛を奪うよってこと?
いや、別に乃愛は俺のものではないけど。
たぶん、コロコロ恋愛対象が変わりすぎて、性におおらかになったんだろうな。
で、気づいたんだけど、乃愛…クラスの男子にも女子にも、ほぼ全員に狙われてる。
明日、学校行ったらどうなるかな。
ちょっと楽しみでもある。
ていうか、こんなに乃愛に好かれてる俺、危なくね?
嫉妬に狂ったヤツに殺されないかな。
学校では、乃愛にちょっと控え目にお願いしたほうがいいかも。
ーーー
「そうなんだ。 何か手伝うよ」
「ノアも手伝うー!」
かわいい娘たちが手伝ってくれるみたいだ。
幸せだ。
彩葉ちゃんにはポトフをお願いした。
ハンバーグは野菜不足になりがちだから、ちょうどいい。
乃愛には、材料を出してレシピを伝えながら、肉だねを混ぜてもらう。
もちろん、ゴム手袋を着用させた。
そして俺は、ゆっくりと大根をおろしながら、その光景を眺める。
…こんな娘たちがほしいな。
姉ちゃんも同感といった感じで眺めている。
ーーー
眺めていると、いつの間にか料理が出来上がっていた。
彩葉ちゃんが進めてくれていたみたいだ。
俺は大根を1本丸ごとおろしていた。
乃愛は辛いのが苦手なので、生の大根おろしは不要。
作りすぎた。
ちなみに、乃愛は、辛い・苦い・痛い・怖い がとても苦手だ。
大好きって人はあんまりいないと思うけどな。
ハンバーグは俺のミスにより、みぞれ煮込みハンバーグとなった。
煮込んで、辛みを抜けば乃愛も食べられる。
ーーー
さて、このハンバーグには俺の手がほぼ加わっていない。
つまり、昨日のカレーもそうだが、女の子の手作りだ。
8倍増しで旨く感じる。
乃愛も美味しそうだ。
(なんか乃愛を食べるみたいな文章になったな)
すぐに食べ終わってしまう。
量は十分だったけど、なにかもっと食べたい。
みんな同じだったようで、女性陣がクッキーを作ってくれるそうだ。
あぁ、俺しあわせ。
女の子のお菓子作りに男は不要なので、部屋にもどってみた。
うぷ主の意向で、俺は2話連続で語り手になれない。
長くなるが、部屋でのことをしゃべってもいいかい?
おぉ、そうか。 ありがとう。
ーーー
みんなは覚えているかい?
尻尾のことを。
俺はずっと気になってたんだ。
カバンは帰った時にサッと部屋に置いた。
ずっと置いておくには、隠し場所が必要だ。
なぜならエログッズだから。
姉ちゃんが俺の部屋に入ることは・・・たまにある。
ノックしてくれるけどな。
その辺に放置していたら、何かの拍子に発見されてしまうかもしれない。
もし、乃愛に見つかって「これどうやって付けるの?」とか聞かれたら終わりだ。
だが、みんな。
自分の部屋を見渡してほしい。
確実に見つからない隠し場所ってあるか?
俺はない。
候補地としては、
ベットの下・カバン・引き出し・家具の裏…
な、全部危ういだろ。
どうしたものか。
しかもこの尻尾は50㎝くらいあった気がする。
まぁ、丁寧に梱包してくれてるから、このままにしておけば何かは分からないはずだ。
けど、開けたい。
店員さんが入れてくれたオマケとやらが かなり気になる。
最終的な作戦はこうだ。
梱包を丁寧にはがし、オマケを確認後、梱包しなおして、段ボールに詰め、ガムテープでガチガチに固定。
それをクローゼット奥底に安置。
さらに上に不要な教科書を大量に積み重ねる。
おそらく、これが俺ができる最善の隠蔽方法だ。
作戦決行だ。
オマケを確認する。
「・・・」
まぁ、なんということでしょう♪
ど派手な黄色い包装紙をめくった先には、それはそれは上質な猫の尻尾。
そして、誰もが知っている、赤と白の縞々のブツが入っているではありませんか♪
おっと、頭の中に勝手に聞き覚えのあるBGMとナレーションが流れた。
え、オマケってTEMGAのことですか、店員さん。
確かに、俺めっちゃ見てたと思うけどさ。
ボク、今、興味と困惑で胸がいっぱい。
作戦中断。
これを何事もなかったかのように、段ボールに納めるなんて無理。
男としての興味が勝りますわ。 さすがに。
はじめて手に取った。
どうやって使うんだこれ。
このミシン目のところを剥がすのか?
バキューム…?
いや、今使うわけじゃないけどさ。
この尻尾もよく見たら、すっごい上質じゃん。
黒いヤツ買ったんだけどさ、この毛は何でできてるんだ。
フサフサで超触り心地いい。
取り付け部分…まぁ、包み隠さず言うと、アナルプラグもピカピカの金属でできていて高級感がある。
使うことはないけど、一応、最も小さいプラグのものにした。
で、今気づいたけど、使いきりのローションまで入ってる。
ガチャ!!
「カナター! クッキーにチョコチップ入れていい?」
最悪のタイミングで乃愛登場!
左手が迅速に尻尾をベッド脇に投げ飛ばしたため、こちらはセーフ。
良い子だ、左手。
問題は右手。 君だよ。
がっちりとブツを掴んだままじゃないか。
そーと、右手を下におろしながら…
「あぁ、いいよ。入れて入れて…」
「それなぁに?」
やっぱり気になるよね。
俺の頭が2日分くらいのカロリーを使って言い訳を考えている。
今の乃愛なら、頑張れば、ごまかせる。
「これ、… 前、高橋にもらったプロテイン。変なパッケージやけどな」
「ちょっと、筋トレしようと思ってさ」
こんなプロテインあるわけないけど、乃愛は筋肉好きなだけで、プロテインには詳しくないから・・・
「へぇ、そうなんだ。 じゃあ 筋トレがんばってね!」
といって、パタパタと足音が小さくなっていく。
おそらく言い訳成功。
危なかった。
乃愛以外なら、確実に修羅場。
冷や汗がドッと噴き出す。
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彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
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※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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