ギターを弾く先輩とピアノを弾く私

豊島 二月

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即興音楽サークル

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「あーもう就活決まらないよ…どうしよ~」
と言いつつ全然焦っている様子には見えない。髪も耳に被るほどの長さだし、情報量が少なくきめ細やかな肌によくにあった癖っ毛が一つも就活生という言葉を連想させない。しかも今はサークルの合宿真っ最中だが、東京から3時間半かけてきたこの長野県に先輩も来ている。ちなみに私達のサークルは即興音楽サークル。朝から晩まで現代の大学のサークルとは思えないほど音楽を楽しんでいた。部活とも飲みサーとも違う、本当に音楽が好きな人が集まっているこのサークルの良さに気づき始めていた頃だった。なぜ飲みサーにならないのか、それはこのサークルに1ヶ月もいれば誰でも気付く。確かにこのサークルでも飲み会は行われるが、活動のほとんどがセッションなのだ。相当な楽器経験者か、音楽オタクか、よほどストイックに練習できる人でなければ苦痛なサークルでしかない。そこいら辺の軽音サークルみたいなものかと思っていると、セッションという謎なものに入れられて、大恥をかく羽目になるのだ。というわけで、即興音楽に興味がない人は勿論、興味があっても実力がないと苦でしかない環境なので必然的にかなりの音楽好きとかなりレベルの高い楽器経験者が残るという仕組みだ。こうゆう人たちが友達になって好きなことをするというのは恐ろしい。それが本当に好きで楽しくてたまらないもんだから一晩中やっていても飽きないのだ。お酒も飲むが、飲みながら演奏している。そんなサークルに私は入った。初めはサークルなのに部室と呼ばれるその部屋に入るのが恐ろしかった。セッションという怖いものが待ち受けているからだ。未だに私達のサークルはサー室のことを部室と呼ぶが、これはきっと部活レベルで楽器を練習している人が多いからなのだろうかとも思うが、いやそれも違う。私達のサークルで楽器の練習という概念を持っている人はいるのだろうか、まぁいるのかもしれない。でも練習といってもみんな夢中で楽しそうに楽器を持っているから練習とはちょっとちがう言葉が合いそうだけどなどと私はよく思う。
こんなサークルで私は先輩と出会った。
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