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私がかつて所属していた部隊の人事がうまくいかないのは、いくつかの要素がある。
まず、成績と精霊使いの資質には相関性がほとんどないからだ。正確には、ある程度の能力があって、力の強い精霊を与えられれば結果はついてくる。まあ、精霊の力を借りるのだから、いくら本人に資質があっても役に立たないものばかり与えられていれば活躍できないのは当たり前だった。
次に、どうやって精霊の配分が決まっているかというと、ほとんどは家柄や学校での成績、内部に関係者がいるかどうかだ。そもそも学校で優遇されている者もいるだろうから、結局のところある程度家柄が重要視される。学校に通うにしても例外はあるとはいえ、学費が必要だった。
そうやって優遇された場合、かなり高位の精霊使いとして扱われ、出世はできる。ただ、ある一定のところで頭打ちになるのだ。王都でも精霊使いの9割は、そのような感じだった。つまり、精霊使いの能力は誰であろうとほとんど大差がないということだ。ごく一部を除いて。
しかし、さすがに王宮の第一部隊ともなると、そういう『成績だけよい人』をスカウトしてきてもあまり役に立たない。その人のためだけに扱いやすい精霊を用意し、毎回活躍できるよう取り計らうのは難しいからだ。
最終的に、高い能力を必要とする部隊では、まともに精霊を使える人を探している。が、そういう人を取り立てるにあたって障害となるのが周りからの不平、不満だ。基本は成績順なのに、いきなり最上位の部隊だけルールを破ると、厄介なことが起こる。昇進を待っている高位の精霊使いだとか、有名な精霊使いを輩出している一族だとか、いろいろな場所からクレームが来る。しかも、資質に違いがあると説明してもほぼ分かってもらえない。
そういうわけで、人手不足(正しくいうなら役に立つ人材が人手不足、かもしれない)に悩まされている部隊は、クレームが出ないように周囲を納得させた上で人材を集めなければならなかった。
結局のところ、私はこれ以上引き抜きの話を黙っていても意味はないと判断した。何故か半年前に情報は筒抜けだし、その話が原因でエリックの立場が悪くなっている可能性もある。何にしても、最終的に大クレームに発展さえしなければいいのだ。
「エリックさん、王都に来る気はありません?」
断られたら断られたで別に構わないか、と開き直って、私は彼に訊ねた。そもそもエルドレッドはおそらく半年前に失敗している。私がどうであれ、文句を言われる筋合いはない。
「君、今の話聞いてた?」
「レナルドさんのことですか?」
「そうだよ」
「元々、そんな話はないと思いますよ。私はあなたを勧誘しに来たので」
「…………ちょっと、意味が分からないんだけど」
彼の表情からは困惑が読み取れた。拒否されているわけではないようだ。まあ、幸いにもエリックは今まさに退職を迫られているのだし、信用できるかはともかく新しい仕事の斡旋を断る理由はないのだろう。『とりあえず、帰ってからゆっくり説明します』と私は伝えた。
「どうせこのまま辞めさせられるところだったんですよね?それなら、私に協力してくれませんか?」
まず、成績と精霊使いの資質には相関性がほとんどないからだ。正確には、ある程度の能力があって、力の強い精霊を与えられれば結果はついてくる。まあ、精霊の力を借りるのだから、いくら本人に資質があっても役に立たないものばかり与えられていれば活躍できないのは当たり前だった。
次に、どうやって精霊の配分が決まっているかというと、ほとんどは家柄や学校での成績、内部に関係者がいるかどうかだ。そもそも学校で優遇されている者もいるだろうから、結局のところある程度家柄が重要視される。学校に通うにしても例外はあるとはいえ、学費が必要だった。
そうやって優遇された場合、かなり高位の精霊使いとして扱われ、出世はできる。ただ、ある一定のところで頭打ちになるのだ。王都でも精霊使いの9割は、そのような感じだった。つまり、精霊使いの能力は誰であろうとほとんど大差がないということだ。ごく一部を除いて。
しかし、さすがに王宮の第一部隊ともなると、そういう『成績だけよい人』をスカウトしてきてもあまり役に立たない。その人のためだけに扱いやすい精霊を用意し、毎回活躍できるよう取り計らうのは難しいからだ。
最終的に、高い能力を必要とする部隊では、まともに精霊を使える人を探している。が、そういう人を取り立てるにあたって障害となるのが周りからの不平、不満だ。基本は成績順なのに、いきなり最上位の部隊だけルールを破ると、厄介なことが起こる。昇進を待っている高位の精霊使いだとか、有名な精霊使いを輩出している一族だとか、いろいろな場所からクレームが来る。しかも、資質に違いがあると説明してもほぼ分かってもらえない。
そういうわけで、人手不足(正しくいうなら役に立つ人材が人手不足、かもしれない)に悩まされている部隊は、クレームが出ないように周囲を納得させた上で人材を集めなければならなかった。
結局のところ、私はこれ以上引き抜きの話を黙っていても意味はないと判断した。何故か半年前に情報は筒抜けだし、その話が原因でエリックの立場が悪くなっている可能性もある。何にしても、最終的に大クレームに発展さえしなければいいのだ。
「エリックさん、王都に来る気はありません?」
断られたら断られたで別に構わないか、と開き直って、私は彼に訊ねた。そもそもエルドレッドはおそらく半年前に失敗している。私がどうであれ、文句を言われる筋合いはない。
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「そうだよ」
「元々、そんな話はないと思いますよ。私はあなたを勧誘しに来たので」
「…………ちょっと、意味が分からないんだけど」
彼の表情からは困惑が読み取れた。拒否されているわけではないようだ。まあ、幸いにもエリックは今まさに退職を迫られているのだし、信用できるかはともかく新しい仕事の斡旋を断る理由はないのだろう。『とりあえず、帰ってからゆっくり説明します』と私は伝えた。
「どうせこのまま辞めさせられるところだったんですよね?それなら、私に協力してくれませんか?」
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