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生徒会長
しおりを挟む「おい比良、何やってるんだ! 報告書今日までに書いとけって言ったよな?」
「すみません! 今やります」
「まったく......俺の仕事を増やすんじゃねぇ」
この俺に怒号を浴びせてくる人は、蒼帯高校の生徒会長、桐生雅人だ。
雅人先輩は容姿端麗で頭脳明晰。しかし先輩にはある欠点があった。
それはとても厳しい、ということ。
雅人先輩は決して性格は悪くないのだが、口がとても悪い。そのせいで生徒の反感を買うこともしばしば。
けれどその優秀さから一目置かれているのも確かだ。
そして俺は雅人先輩の後輩兼彼氏、浅木比良である。
生徒会に入って数ヶ月、仕事終わりに残るように言われ、何かやらかしてしまったのかとビクビクしていたら急に告白された。
あの時の衝撃は忘れられない。
先輩は顔を真っ赤にして、声も震えていて、それがなんだかとても可愛く見えてついOKしてしまった。
でも今ではこっちが先輩にメロメロである。
告白当時のことを思い出して先輩を凝視していたら睨まれた。
慌てて報告書作りに励む。
そしてなんとか報告書を完成させた。
「先輩、出来ました!」
「おぉ、やれば出来るじゃねぇか。次からは遅れるんじゃねぇぞ」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
「......先輩」
「どうした?」
「あの......手......」
「!? わ、悪い」
先輩は慌てて俺の頭から手を下ろした。
それから一時間後、部活終わりの時間となった。生徒は荷物をまとめて帰り支度を始める。
だんだんと生徒は居なくなっていき、教室には俺と先輩の二人だけとなった。
「比良......」
「なんですか? 先輩」
「今日は怒鳴って悪かったな。その......嫌だっただろ」
先輩は心配そうにこちらを見つめてくる。
「いえ、全然気にしてませんよ」
「そ、そうか......。なら良いけど」
あからさまにホッとした顔。
「先輩、かーわい」
「ん? 何か言ったか?」
「なんでもないですよ。ね、先輩。今日俺ん家誰も居ないんですけど......来ます?」
「......ん、行く」
「良かった。って、先輩顔真っ赤」
「し、仕方ないだろ。お前の家に行くの久しぶりなんだから」
そう言う先輩がとても可愛くて思わず抱きしめる。
「先輩......」
「んっ」
耳元で声を掛けると、くすぐったそうに可愛い声を出した。
「先輩、好きですよ」
「俺も......好きだ。比良」
先輩の言葉に思わず嬉しくなってしまって、その柔らかい唇に口付ける。
「ん、んんぅ、ん!」
初めは軽いキスだったが、だんだんと濃厚になっていく。
先輩から溢れる唾液がもっと欲しくなって、貪るような口付けを交わす。
口を離すと先輩は腰が抜けたのかへなへなと床に座り込んだ。
高揚した顔に思わず口が緩む。
この気持ちよさそうな顔。好きなんだよなぁ。
普段に先輩なら絶対しない顔。
「ねぇ先輩」
「ん?」
「俺以外にそんな顔見せないでくださいよ」
「......馬鹿、見せられるわけないだろ。こんな顔」
「俺だけ?」
「ああ、お前だけ」
照れているのか顔を逸らして告げられた言葉。
まったく、俺の先輩はなんでこんなに可愛いんだ。
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