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第1話 今日はかわいいあの娘との楽しい一日デート

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 さわやかな朝。
 小鳥のさえずりが聞こえてきてぽかぽかと暖かい陽気が窓から差し込んでくる。
 僕はふわあ、とあくびをして枕元にあるスマホを手に取った。
 まだ朝の6時だ。

「早い……寝よう……」
 そう思って布団を深くかぶろうとすると、コツンと頭をこづかれた。

「何二度寝しようとしてるのよ」
 僕は驚いて、布団を蹴飛ばした。

「り、莉紗《りさ》!?」

 僕のベッドの上にクラスメイトの超絶美少女の麻宮莉紗が私服姿で座っていた。

「今日はわたしとデートの約束じゃなかったの?」

 莉紗はむくれっつらになり、僕の蹴飛ばした布団をとって、えいや! と可愛らしい掛け声と一緒に僕の横に体を倒した。

「それともあれは嘘だったのかな?」
「う、嘘じゃないよ……けど、待ち合わせは8時でしょ? まだ早いな、と思って……」
「えー。わたしは待ちきれなくてもう準備ばっちりなのに。ほら」

 莉紗は僕の手をつかむと、手のひらを莉紗の胸に押しつけた。

「り、莉紗!?」
「聞こえる? 私の鼓動? えへへ、すごいバクバク」

 そ、そんなことよりも柔らかい莉紗のお、おっぱいが手に触れて、鼓動を確かめるどころじゃない。むしろ、僕の心臓のどきどきがどんどんと速くなる。

「でもそっか、昨日は期末テストで疲れちゃったもんね。眠ってた方がいいのかな? 大丈夫? おっぱい揉む?」
「な、何を言って……」

 そう言いながらも、莉紗のおっぱいに触れる僕の手はわしわしと柔らかい胸を揉んでいた。
 もう! 僕の手! 何やってるんだ!

「えへへ、かーわいっ」

 莉紗は左手を僕の体の下に潜り込ませ、僕を抱き寄せた。そのまま僕の顔が莉紗のおっぱいに埋まる。

 い、息ができない……!

 だけど、この感じは確かに疲れなんて吹き飛んでしまう。

「起きる! 起きるよ」

 莉紗のおっぱいに顔を埋めながら、僕はもがもがとなんとか言葉を発した。

 莉紗は僕を抱きしめていた腕の力を緩める。僕は名残惜しみつつも、莉紗のおっぱいから顔を離す。

 莉紗がちょっと困り顔で僕を見ていた。

「うーん、さっきは起きて欲しかったけど、わたしはもうちょっとだけ、君とこうしていたいな」

 莉紗の顔が紅潮している。きっと僕の顔だって同じくらいの赤さになっている。

「ね? ちゅーしてもいい?」

 莉紗の言葉に、僕はごくりと唾を飲み込む。

「い、いいよ」
「えへへ、やったー」

 莉紗は僕の両頬を触る。そのまま莉紗から僕に唇を重ねた。
 ちゅっとついばむように莉紗は僕の唇に吸い付く。
「んっ……ぷはぁ」
 一度顔を離し、僕の目を見つめる莉紗。その目はとろんと至福を感じている表情だった。
 再び唇を重ねる。
「んっ……れろ」
 今度はさっきよりも長く。また莉紗が唇を離したので、今度は僕の方から莉紗の唇をうばった。そのままお互いに舌を絡めようとして、舌を突き出したけれど、すっと莉紗が僕の肩を押した。
 さっき以上に真っ赤になった顔はまるでさくらんぼみたいだ。

 か、かわいい。

「……これ以上は、わたしが我慢できなくなっちゃうから」
 もじもじと太腿をこすりあわせる莉紗。その姿が本当に愛らしくて、今度は思わず僕の方から莉紗を抱きしめた。

「ひゃン!?」

 莉紗は急に抱きしめられて驚いたようだったけれど、ふぅと一息つくと両腕で僕を抱きしめ返した。そして膝を僕の股の間にぐりぐりと侵入させて、脚も絡ませる。

「も、もっと……」

 よだれを垂らして口をあんぐりと開け、僕を真っ直ぐと見つめる莉紗に応えて、僕はもう一度、莉紗と唇を重ねた。

 そんな風にしてしばらく莉紗と布団の中でいちゃついていたら、スマホのアラームが鳴った。

「じ、時間だよ」

 僕は布団の中から出て、スマホを掴みアラームを消した。
「そ、そうだね」

 莉紗も起き上がり、しわしわになってしままった自分の服を整えた。

「じゃあ、僕は着替えてくるから……」
 と、僕は自分の部屋を出てすぐにトイレに駆け込んで、自分の心を沈めてから、昨日のうちに箪笥の上に出していた着替えをつかみ、パジャマから外行きの格好に着替えた。

 着替え終わって、部屋に戻ると莉紗もすっかり布団に潜り込む前のように服も髪も整えて待っていた。

 莉紗は僕ににっこりと微笑んで。
「行こっか」
 と、僕の手を握り、恋人繋ぎをした。

 今日は電車に乗って、テスト終わりのお疲れ様も兼ねて動物園デートを企画していた。

 貸切の電車の中、莉紗は僕の肩に頭を預けてすうすうと眠っていた。
 かわいい寝顔に、僕はまた心臓をドギマギさせていたけれど、莉紗も早起きで疲れているんだな、と頭をそっと撫でるだけでそのままにしておいた。

 動物園につくと、自動券売機で入場券を買い、中に入る。

 象やキリン、ライオンなどの定番の動物たちを見て、はしゃいでいる莉紗を見ているのはとても楽しかった。

「じゃーん!」

 自前の効果音と一緒に、莉紗は自分の荷物の中から、お弁当箱を取り出した。
 お昼ご飯は莉紗の手作りだ。

「えへへ、腕によりをかけてみました」

 おお。
 ミートボールや卵焼き、ハンバーグなんかがつまっているお弁当の中身は、ちょっと子供っぽかったけれど、莉紗が僕のためにがんばって作ってきてくれたことが嬉しかった。

「はい、あーん」

 莉紗はミートボールを箸でつかむと、笑顔で僕の顔にそれを近づけた。

 周りの目がないとは言え、外でこれは恥ずかしい。

 口を開けずにただ固まっている僕を見て、莉紗は朝の時みたいにまた膨れっ面になった。

「もう!」

 莉紗はミートボールをぱくりと自分の口の中に入れるともぐもぐと咀嚼した。

 ちょっと残念だけどホッとしたのも束の間。
 莉紗は意地悪そうな笑みを浮かべて、僕の肩に両腕を乗せた。

「んあっ」

 そのまま莉紗は僕の口に自分の口を重ね、その中のものを僕の口の中に押し込む。

 莉紗の唾液といっしょになったぐちゃぐちゃのミートボールが僕の口の中に入ってきて、僕は思わずそのままそれを飲み込んだ。

 そんな僕を見て、莉紗はにししっと歯からこぼれる息とともに笑った。

「せっかくあーんしたのに君がすぐ食べないからだぞ」

 莉紗はもう一個、ミートボールを掴み、僕の口元に持ってきた。
 少しだけ、また口移しを期待してしまい、今度は別の意味で口を開けるのをためらったが、素直に口を開く。
 ぽとん、と莉紗は僕の舌の上にミートボールを落とした。
 僕はそれをしっかりと噛んで飲み込む。

 莉紗は満足そうに僕の食べる姿を見て、一緒にお昼ご飯を楽しんだ。

 動物園をぐるりと一周した頃にはあたりももう夕焼け色に染まっていた。

 動物園を回っている間も、外に出てからもずっと、莉紗は僕と腕を組んでぴったりと顔を僕の体にくっ付けていた。

 もしも他の客もいたらきっと、仲の良いカップルだと羨望の眼差しで見られたことだろうけど、あいにく動物園に他に客はいなかった。

 また貸切の電車に乗って、家の最寄りの駅まで戻ってきた。
 莉紗を家まで送ろうと、暗い夜道の中を歩いていたら、急に莉紗が立ち止まって、ぎゅっと腕を引っ張った。

「ね、ねえ……」

 震えた声で、莉紗は近くにあった建物を指さす。
「まだ帰りたくないよ……」

 莉紗の指さした建物はまるでお城のような立派な宿泊施設だ。

 僕はごくりと唾を飲み込む。

「いや、それは……」
「……ダメ?」

 そんな風に莉紗にうるうるとした目で訴えられてしまったら、もう僕になすすべはない。

 また唾を飲み込もうとしたが、口が乾いている。

「じゃあ、ちょっとだけ……」

 と、僕たちはその建物に足を踏み入れようとした。

 その瞬間《とき》だった。

「動くな!!」

 ラブホテルの中から、銃と盾を持った重装備の人間が十人以上ドタドタと現れた。
 重装備の兵士たちは僕たち二人をとりかこむ。

「な、何!?」

 莉紗が怯えるように僕にぎゅっと身を預ける。
 僕も莉紗を守るように両腕を広げ、彼らを見た。

「な,何ですか!? あなたたちは!?」

 彼らは何も答えずに、お互いに何かハンドサインを送り合っているが、その意味が僕にはわからない。

 と、コロコロと僕の足元に何かが転がってきた。背後から、一人の兵士が投げ込んできたのだ。

「ば、爆弾!?」
 急激な展開に泣きそうな莉紗を、僕は抱き留める。

「大丈……」

 ピカッと辺りが眩く光った。
 ぐわんぐわんと頭がシェイクされるような感覚。目を開けると、電磁波でできた綱のようなものが兵士たちも含めて、僕らを囲んでいる。

「な、何だよ!?」

 僕がパニックで叫ぶと、腕の中にいた莉紗が僕を思い切り突き飛ばした。

「えっ?」

 僕は何が起こったかわからず、そのまま重心を崩し、背中から倒れていく。

「いやあああああああ!!」

 莉紗の悲鳴が夜の闇の中に響いた。

「助けて!! 嫌だ!! こいつがわたしの頭の中を!!! もうこんなのは嫌!!!」

 兵士の方に向かって、莉紗が走っていき、その莉紗を兵士の一人が抱き留め、宥めるのが倒れていく僕の目に映った。

「もう大丈夫……大丈夫だ……」

 宥める兵士の胸の中に顔を埋め、莉紗は泣きじゃくっていた。

 一体、これは……。

 そんなことすら思う間もなく、僕を取り囲む兵士たちが背中から倒れた僕の周りに集まり、両腕両足、それに口を塞いだ。

 カツカツと、他とは違い顔を露にした兵士が一人、僕の眼前に現れた。

21

 その兵士は確かに、僕に向かってそう言った。

「気の毒だとは思う。お前も被害者だ。たまたま宇宙から飛来したを手にしてしまっただけ。だが、お前はその装置を使って、他人が入ってこれない特殊フィールドを作り、何人もの女性をその中に連れ込んだ。こちらもその度に侵入を試み、21回目の調査でようやくこの中に入れた。流石にやり過ぎたんだ。装置は国が秘密裏に回収する。悪く思うな」

 その兵士は僕の額に銃を突きつけた。
 そしてそのまま引き鉄を引く。

 死の間際に、僕は全てを思い出した。
 そうだ。本当にたまたまだったんだ。

 僕はただ、好きな女の子たちと一緒に、青春を楽しみたかっただけで……。





















暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗暗死。


END...
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