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Chapter1:SINK
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ズブズブと沈む。
底などないと錯覚するくらいに。止まらない。ズブズブ。ズブズブと。
脚に括りつけられた錘を取ろうとしたら、余計に沈下が加速した。
キツく脚に縛られた錘は、己が身体を否応なしに海の底へと誘う。ゴボゴボと、口を開けた体内に、海水が容赦なく迫る。
わや、お仕舞いだ。悪運くらいは取り柄だと思っていた俺の命運も、此処で尽きたのだ。
そう諦観し、目を瞑る胸を、グンと引き上げる力を感じた。
引き上がる。沈むだけだった身体が、水の深い所から。
ザパン、と空気のある所まで引き上げられ、肺に溜まっていた水を吐いた。
「感謝しろよ、このロクデナシ」
ジャックの胸を乱暴に叩く男の声には、聞き覚えがあった。
「お前、グラットーか」
「意識はあんのか。流石だな」
ジャックは辺りを見渡した。
海上を走る電動短艇の上に、俺は寝転がっている。
「助かった。あのまま死ぬかと」
「テメェが死んだら、困る奴がいるとよ」
「まさかお前、チャールズに言われて?」
「御明察」
ジャックの脳裏に、娼館で女達を侍らせながら、ニタニタと笑うチャールズの顔が過ぎる。
あの糞野郎、まだ俺に何かさせる気か。
「だが何故お前が。お前達王党派は、巡礼者とは敵同士だろう」
「ジュリアン・ガードナーが党首になった」
「──馬鹿な。ガードナーは俺が殺した」
それで俺はガードナーの手下共にリンチされ、海に沈められたのだ。
間違いなく頚動脈に一突き。奴が生きているとしたら奇跡でも起こらない限り無理だ。
──否。ジャックには一つだけ思い当たる。俺が殺し、血を地面に流し尽くしたガードナーが、今も生きているというのであれば。
「お前が殺したジュリアン・ガードナー、奴は不死者になった。陛下を殺す、槍として」
やはり。最悪の妄想が、現実となっていたか。
「王党右派も巡礼者も、ガードナーという敵対者を葬る為、手を組んだというわけだ。お前が無様にも海に沈められている間にな」
「それはそれは」
「そこでだ、ジャック・ガードナー」
グラットーは依然として電動短艇の上で倒れたままの俺を睨みつけ、言った。
「お前にはもう一度、ジュリアン・ガードナーを殺してもらう」
底などないと錯覚するくらいに。止まらない。ズブズブ。ズブズブと。
脚に括りつけられた錘を取ろうとしたら、余計に沈下が加速した。
キツく脚に縛られた錘は、己が身体を否応なしに海の底へと誘う。ゴボゴボと、口を開けた体内に、海水が容赦なく迫る。
わや、お仕舞いだ。悪運くらいは取り柄だと思っていた俺の命運も、此処で尽きたのだ。
そう諦観し、目を瞑る胸を、グンと引き上げる力を感じた。
引き上がる。沈むだけだった身体が、水の深い所から。
ザパン、と空気のある所まで引き上げられ、肺に溜まっていた水を吐いた。
「感謝しろよ、このロクデナシ」
ジャックの胸を乱暴に叩く男の声には、聞き覚えがあった。
「お前、グラットーか」
「意識はあんのか。流石だな」
ジャックは辺りを見渡した。
海上を走る電動短艇の上に、俺は寝転がっている。
「助かった。あのまま死ぬかと」
「テメェが死んだら、困る奴がいるとよ」
「まさかお前、チャールズに言われて?」
「御明察」
ジャックの脳裏に、娼館で女達を侍らせながら、ニタニタと笑うチャールズの顔が過ぎる。
あの糞野郎、まだ俺に何かさせる気か。
「だが何故お前が。お前達王党派は、巡礼者とは敵同士だろう」
「ジュリアン・ガードナーが党首になった」
「──馬鹿な。ガードナーは俺が殺した」
それで俺はガードナーの手下共にリンチされ、海に沈められたのだ。
間違いなく頚動脈に一突き。奴が生きているとしたら奇跡でも起こらない限り無理だ。
──否。ジャックには一つだけ思い当たる。俺が殺し、血を地面に流し尽くしたガードナーが、今も生きているというのであれば。
「お前が殺したジュリアン・ガードナー、奴は不死者になった。陛下を殺す、槍として」
やはり。最悪の妄想が、現実となっていたか。
「王党右派も巡礼者も、ガードナーという敵対者を葬る為、手を組んだというわけだ。お前が無様にも海に沈められている間にな」
「それはそれは」
「そこでだ、ジャック・ガードナー」
グラットーは依然として電動短艇の上で倒れたままの俺を睨みつけ、言った。
「お前にはもう一度、ジュリアン・ガードナーを殺してもらう」
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