4 / 13
3
逆らうこともできず、僕は連れていかれ暗い闇へと放り込まれた。
暗い。光がないせいか寒い。
他と離れた地下なのだろうか。音もほとんど聞こえてこない。
感覚的に5日は経っただろう。水も飯も食べていないこの環境はそろそろキツい。
こんな場所に73は来たかったんだろうか。いらなくなったのなら国軍に返してほしい。
水や飯を食べないと動くことすらままならない。戦車だって動力源があるのだ。
でも戦車は苦しまない。燃料を積めばしばらく動けて使わない時は何もしなくていい。
僕は兵器なのだからそれくらい備わったっていいのに。
キーーバタンッ
重い扉が開く音と共にランタンの明かりがこの部屋に入ってきた。
「どうだー死んだかー……ってまだ生きてるのか。さすが人間兵器」
ランタンを持った従者と共に華美な装飾がされた杖を持った豚公爵がこちらの顔を見た。
「ここから……出してくれ。そしてっ……国軍に……返してくれ」
「おお!まだ喋れる元気もあるのか!すごいなー」
豚公爵は話しながら杖で僕のことをツンツンと触った。
不快で避けたかったがそんな気力も僕には残っていなかった。
「うーん、どうしようかな次は……そうだ!この杖で目ん玉を突いたらどうなるか気になるなぁ!」
僕の左目の前に杖の先端が向く。
「やめっ……ろ」
目がなくなれば使い物にならなくなり、軍に戻れなくなる。それは絶対に嫌だ。
勢いよく向かってくる先端をその場に倒れ込むように避ける。
「抵抗するなよ。おい!こいつを抑えろ」
「はっ!」
豚公爵の後ろに控えていた従者が僕の両腕を掴み抑えた。
「お願いだ……目は…やめてくれ」
「やだ!我が気になるのだから確かめさせろ!」
いつもなら簡単に振り解ける抑えも力が出ず、左目目掛けて進む杖を避けることはできなかった。
「うわあああぁぁぁ」
強烈な痛みと視界の変化に僕は泣き叫んだ。
目が……これじゃ戻れても使い物にならない。分解されて他の奴らの臓器のスペックとなるだけ……僕はこれじゃどうにも……
「うわっ杖が汚れたー。あと、うるさいよ」
豚公爵のムカつく言葉も頭に入ってこないくらい失ったことが大きかった。
「さて、潰した目はどうなってるか……」
「シバル様!」
僕の元へと寄ろうとした時、後ろから従者が豚公爵を呼んだ。
「なんだ。今いいところなのに」
「それが……」
「何?!……とりあえず戻るぞ」
豚公爵たちはドタドタと足音を立てながら一斉に部屋を出ていった。
支えがなくなり頭は床に倒れ込み再び1人になった。でも、さっきまでとは周りの見え方が違った。
この目でどうやって戦場に出ればいいのだ。どうやって撃てば、どうやって相手を振り切れば。
動くこともできず、ただ左目から伝う赤を眺めた。
キーーーバタンッ
「ここか!……大丈夫か君!」
また扉が開き、ランタンのような光と共に先ほどとは違う誰かの声がした。
元々力尽きてたのと痛みで叫んだことで、僕の喉は口を動かそうとカスカスとした空気を送るだけだった。
「もう大丈夫だからな」
パクパクと口を動かすだけの僕を優しく包み込むように抱きしめる。
人は触れると温かいのだった。
暗い。光がないせいか寒い。
他と離れた地下なのだろうか。音もほとんど聞こえてこない。
感覚的に5日は経っただろう。水も飯も食べていないこの環境はそろそろキツい。
こんな場所に73は来たかったんだろうか。いらなくなったのなら国軍に返してほしい。
水や飯を食べないと動くことすらままならない。戦車だって動力源があるのだ。
でも戦車は苦しまない。燃料を積めばしばらく動けて使わない時は何もしなくていい。
僕は兵器なのだからそれくらい備わったっていいのに。
キーーバタンッ
重い扉が開く音と共にランタンの明かりがこの部屋に入ってきた。
「どうだー死んだかー……ってまだ生きてるのか。さすが人間兵器」
ランタンを持った従者と共に華美な装飾がされた杖を持った豚公爵がこちらの顔を見た。
「ここから……出してくれ。そしてっ……国軍に……返してくれ」
「おお!まだ喋れる元気もあるのか!すごいなー」
豚公爵は話しながら杖で僕のことをツンツンと触った。
不快で避けたかったがそんな気力も僕には残っていなかった。
「うーん、どうしようかな次は……そうだ!この杖で目ん玉を突いたらどうなるか気になるなぁ!」
僕の左目の前に杖の先端が向く。
「やめっ……ろ」
目がなくなれば使い物にならなくなり、軍に戻れなくなる。それは絶対に嫌だ。
勢いよく向かってくる先端をその場に倒れ込むように避ける。
「抵抗するなよ。おい!こいつを抑えろ」
「はっ!」
豚公爵の後ろに控えていた従者が僕の両腕を掴み抑えた。
「お願いだ……目は…やめてくれ」
「やだ!我が気になるのだから確かめさせろ!」
いつもなら簡単に振り解ける抑えも力が出ず、左目目掛けて進む杖を避けることはできなかった。
「うわあああぁぁぁ」
強烈な痛みと視界の変化に僕は泣き叫んだ。
目が……これじゃ戻れても使い物にならない。分解されて他の奴らの臓器のスペックとなるだけ……僕はこれじゃどうにも……
「うわっ杖が汚れたー。あと、うるさいよ」
豚公爵のムカつく言葉も頭に入ってこないくらい失ったことが大きかった。
「さて、潰した目はどうなってるか……」
「シバル様!」
僕の元へと寄ろうとした時、後ろから従者が豚公爵を呼んだ。
「なんだ。今いいところなのに」
「それが……」
「何?!……とりあえず戻るぞ」
豚公爵たちはドタドタと足音を立てながら一斉に部屋を出ていった。
支えがなくなり頭は床に倒れ込み再び1人になった。でも、さっきまでとは周りの見え方が違った。
この目でどうやって戦場に出ればいいのだ。どうやって撃てば、どうやって相手を振り切れば。
動くこともできず、ただ左目から伝う赤を眺めた。
キーーーバタンッ
「ここか!……大丈夫か君!」
また扉が開き、ランタンのような光と共に先ほどとは違う誰かの声がした。
元々力尽きてたのと痛みで叫んだことで、僕の喉は口を動かそうとカスカスとした空気を送るだけだった。
「もう大丈夫だからな」
パクパクと口を動かすだけの僕を優しく包み込むように抱きしめる。
人は触れると温かいのだった。
あなたにおすすめの小説
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
忘れた名前の庭で
千葉琴音
BL
【凍てついた記憶を溶かすのは、不器用な守護者の体温】
「俺のことはルーカスでいい」
目覚めると、僕は自分の名前すら忘れていた。 唯一の肉親である兄・テオドールの死と同時に失われた記憶。無愛想な兄の友人ルーカスと共にゆっくりと兄の足跡を辿っていく。
厳格で甘いものが嫌いだった亡き兄・テオドール。彼が密かに弟のために植物図鑑を読み、内緒で菓子を買い与えていたという、口にされることのなかった真実。
ルーカスの語る「かつての自分」と、今の自分が少しずつ重なっていく中、アルノは因縁の魔獣の住む森へと足を踏み入れる。そこで彼が思い出したのは、独りで耐える術ではなく、誰かに抱きしめられて「息をする」方法だった。 孤独な少年と、彼を見守り続けた騎士。二人が雪解けの庭で見つける、新しい絆の物語。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
ただのハイスペックなモブだと思ってた
はぴねこ
BL
神乃遥翔(じんの はると)は自分のことをモブだと思っていた。
少年漫画ではいつだって、平凡に見えて何か一つに秀でている人物が主人公だったから。
その点、遥翔は眉目秀麗文武両道、家も財閥の超お金持ち。
一通りのことがなんでも簡単にできる自分は夢中になれるものもなくて、きっと漫画のモブみたいに輝く主人公を引き立てるモブのように生きるのだと、そう遥翔は思っていた。
けれど、そんな遥翔に勉強を教わりに来ている葛城星 (かつらぎ ほし)は言った。
「BL漫画の中では、神乃くんみたいな人がいつだって主人公なんだよ?」
そう言って、星が貸してくれた一冊のBL漫画が遥翔の人生を一変させた。
自分にも輝ける人生を歩むことができるのかもしれないと希望を持った遥翔は、そのことを教えてくれた星に恋をする。
だけど、恋をした途端、星には思い人がいることに気づいてしまって……
眉目秀麗文武両道で完璧だけど漫画脳な遥翔が、お人好しで気弱な星の心に少しずつ少しずつ近づこうと頑張るお話です。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
悪役の僕 何故か愛される
いもち
BL
BLゲーム『恋と魔法と君と』に登場する悪役 セイン・ゴースティ
王子の魔力暴走によって火傷を負った直後に自身が悪役であったことを思い出す。
悪役にならないよう、攻略対象の王子や義弟に近寄らないようにしていたが、逆に構われてしまう。
そしてついにゲーム本編に突入してしまうが、主人公や他の攻略対象の様子もおかしくて…
ファンタジーラブコメBL
シリアスはほとんどないです
不定期更新
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー