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5. スパルタ魔法訓練
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「クロエ!2重結界!」
「はい!お母様!」
クロエは、ゼイゼイと肩で息をしながら光魔法の訓練を3時間休み無しで続けていた。
「結界を保ったまま、光の槍、50本!」
「はい!」
((すげーわ……。クロエ、母上のスパルタ魔法訓練についていってるよ……))
「クロエは頑張ってるな」
「父上!」
辺境伯と兄二人は、こっそりと木の陰からクロエの魔法訓練を覗いていた。
クロエが前世を思い出した後に家族で話し合い、クロエの自衛のためにと、魔法と体力の強化を始めることにしたのだった。
今世ではまだ3歳の体ではあるが、前世で20歳まで生きた記憶がある。クロエは前世で警察学校の訓練、それ以前にも剣道や合気道をしていたので、辺境伯騎士団で訓練についていく根性はあるが、なにせ3歳の体のため体力がない。騎士団の訓練に参加させてもらえるようにまずは体作りを地道に頑張るしかないと、クロエは必死に体を作る毎日を過ごしていた。
クロエは、日の出とともに起き、メイドを起こさないように自分で着替え、柔軟体操をした後に辺境伯城の周りを走り、その後に素振り1000本、そして前世の記憶にある合気道の型稽古、メイドに混ざりながら水汲み。それが終わると、汗を流してから朝食。午前中はマナーや歴史・外国語の勉強(理数系は前世チートがあるので省いた)。午後からは魔法訓練。夕食後は、目が開けていられなくなるほどの眠気と戦いながらお風呂に入り、ベッドへ倒れこむように寝る。
クロエは、そんな生活を続けてようやく5才の誕生日を迎えた。
「「クロエ、誕生日おめでとう~!」」
クロエの本当の誕生日は不明だったが、辺境伯に転移してきた日をクロエの誕生日として毎年祝ってきた。
「誕生日おめでとう。クロエも5才になったから、今日から表立って魔法の使用も解禁ね」
「これからはダンやロイと一緒に辺境伯騎士団の訓練に参加していいぞ」
「誕生日のプレゼントに、クロエ専用のかわいい辺境伯騎士団の制服と訓練服も作ったのよ。今度みんなで騎士団の制服を着て肖像画を描いてもらいましょうね」
「クロエ、誕生日おめでとう」お母様の兄のコーナー侯爵もクロエの誕生日に駆けつけてきてくれた。
「伯父様、ありがとうございます!」
「クロエも5才か……。時が経つのは早いものだな。そうだ、食事が終わったら、みんなに話がある。ダンやロイにも聞いておいてもらいたい。私とレーナの弟マックスと、そしてクロエについての話だ」
クロエの誕生日の夕食会を終えた後、全員で談話室に移動し、メイド達を下がらせてからコーナー侯爵は部屋に防音の結界を張った。そして、コーナー侯爵は、ソファに深く腰を下ろすと小さくため息をついてから話はじめた。
「クロエが5歳になった。近日中に魔力と属性が国に報告される。魔力量は実際にクロエが持つ半分の魔力量で申告するということだったが、闇と光の両方を持つ者は希少だ。ブラウン辺境伯家とコーナー侯爵家はこの国で最も魔力を有する家系だが、この国のほとんどの者は小さな生活魔法を使用できるぐらいで属性を2つ以上持つ者は稀だ。だからクロエの属性が国に報告されると、クロエを我が物にしようという輩がでてくる」
「ああ、私達も同じことを想定したんだ。その対策の1つとして、クロエの自衛のために魔法訓練を積み重ねてきた。しかし光魔法についてはレーナが指導してくれていたが、なかなか闇魔法の使い手がいなくて闇魔法のレベルが上げれていないんだ」
コーナー侯爵は少し思案したあと、何か閃いたようにクロエを見た。
「クロエ、ヴァンパイア国に興味はないか?」
「ヴァンパイア国ですか?」
「あぁ。ヴァンパイア国の魔術師には闇魔法使いが多いんだ。実はヴァンパイア国に知り合いのシルバーズ侯爵という方がいるんだが、ヴァンパイア国でも最高峰の闇魔法使いだ。もしクロエが闇魔法を学びたいのであれば、彼から学んだほうがいいと思う。クロエの魔力量を考えると、中途半端な魔術師では指導は難しいと思う」
「たしかに……。普通レベルの魔術師では、クロエを指導できないわね」
「それにな……、今日の本題なのだが、マックスは、そのシルバーズ侯爵に匿われていたんだ。クロエを守るために、レーナにもこのことは伝えていなかったが……」
「はっ?どういうことなのお兄様!」
「マックスは、ヴァンパイア国の王立魔具研究所にいた時に、シルバーズ侯爵の養女であるシエラ嬢と出会って結婚の約束をしていたんだ。シエラ嬢は他国の王女だったが出自を隠してヴァンパイア国のシルバーズ侯爵家の養女として暮らしていた。二人は表立って結婚することができないために、とある場所で身を隠して暮らしていたらしい。そしてシエラ嬢が出産してすぐに、王女を探していた者たちに二人は襲われて……、そしてシエラ嬢はクロエを抱きかかえてレイラのいる辺境伯へ転移してきたということなんだ。緊急時のために、マックスが転移の魔道具にレイナのいる辺境伯城を印していたんだろう……」
「ということは、マックスとそのシエラ様がクロエの実親なのね……」
「あぁ、間違いない」
ダンとロイは、「俺たちが守るから大丈夫だ……」と言ってクロエの手を握りしめた。
クロエは、ダンとロイの手を握りながら「お兄様ありがとうございます。私は大丈夫です」と言うと、コーナー侯爵に向き直った。
「伯父様、お話してくださってありがとうございました。私の実の父が大好きなお母様と血が繋がっていると聞いて嬉しかったです」
泣き崩れていたレーナの肩を抱きしめながら、ジョンはクロエを優しい眼差しで見ていた。
そして、ジョンは父親から辺境伯の顔に表情を変えてクロエの瞳を見つめた。
「クロエは今日で5歳になった。普通の貴族の5歳児なら、まだ甘えて過ごしてもいい年齢だ。しかし、クロエにはすでに成人した前世の記憶がある。だから、これからのクロエの生き方はクロエに選択を委ねることにしようと思う」
「ジョン!それは……」
「クロエ、選択肢は3つだ。1つは、ヴァンパイア国のシルバーズ侯爵から闇魔法を学ぶ。2つ目は、このままブラウン辺境伯で暮らし騎士団で訓練を積んでいく。3つ目は、クロエという名の辺境伯令嬢を亡くなったことにして遠い他国で別の人物として暮らす」
「はあっ?父上!なんてこと言うんだよ!クロエは俺たちが守るから!」
ダンとロイは、ダンッ!と立ち上がって、拳を震わせながらジョンに大声を上げた。
「ダン、ロイ。お前達はまだまだ弱い。マックスやシルバーズ侯爵が守り切れなかったものだ。クロエが辺境伯でこのまま暮らしたいというのなら、私達は全力でクロエを守る。しかし、敵は私達以上の力を持っているのではないかとも想定できる」
ダンとロイは何も言い返せず、俯いて拳を震わせていた。
クロエは、全力で自分を守ろうとしてくれている家族やコーナー侯爵に心から感謝した。前世でも里親になってくれていた両親がいたが、自分に対して遠慮がちに接していたのが感じられ、とても寂しかったのだ。
クロエは、状況と自分の気持ちを整理するために目を瞑って集中した。
まずは状況の整理。
選択ー1:シルバーズ侯爵から闇魔法を学ぶためヴァンパイア国に行く
*メリットとしては、闇魔法を極めることができるかもしれない
*デメリットは、辺境伯の家族と離れて暮らさなければいけないこと
選択ー2:今まで通りに辺境伯で暮らし、騎士団や魔術師団と一緒に訓練を積んでいく
*メリットは、辺境伯のみんなとずっと一緒にいられること
*デメリットは、辺境伯では闇魔法を学ぶことが難しいこと。そして敵が来た場合、辺境伯のみんなを危険な目に合わせてしまうかもしれないとうこと
選択ー3:クロエという名の辺境伯令嬢を亡くなったことにして、他国で別人として暮らす
*メリットは、辺境伯のみんなを危険な目に合わせなくてすむ
*デメリットは……、寂しいなぁ。
そして、私の気持ちは? 私はどうしたい……?
私は、家族や辺境伯のみんなと一緒に暮らしたい。
私は、みんなを危険な目に合わせたくない
私は、みんなを守りたい
私は、辺境伯のみんなが大好き
私は、逃げたくない
……あっ、答えが出たわ。ふふっ、私らしくていいわ!私の選択は、これでいい。
「お父様、私、答えがでました」
ダンとロイは、目に涙を浮かべながらクロエを見つめていた。
「私、ヴァンパイア国にいきます。そしてシルバーズ侯爵から闇魔法を学びたいと思います」
「はい!お母様!」
クロエは、ゼイゼイと肩で息をしながら光魔法の訓練を3時間休み無しで続けていた。
「結界を保ったまま、光の槍、50本!」
「はい!」
((すげーわ……。クロエ、母上のスパルタ魔法訓練についていってるよ……))
「クロエは頑張ってるな」
「父上!」
辺境伯と兄二人は、こっそりと木の陰からクロエの魔法訓練を覗いていた。
クロエが前世を思い出した後に家族で話し合い、クロエの自衛のためにと、魔法と体力の強化を始めることにしたのだった。
今世ではまだ3歳の体ではあるが、前世で20歳まで生きた記憶がある。クロエは前世で警察学校の訓練、それ以前にも剣道や合気道をしていたので、辺境伯騎士団で訓練についていく根性はあるが、なにせ3歳の体のため体力がない。騎士団の訓練に参加させてもらえるようにまずは体作りを地道に頑張るしかないと、クロエは必死に体を作る毎日を過ごしていた。
クロエは、日の出とともに起き、メイドを起こさないように自分で着替え、柔軟体操をした後に辺境伯城の周りを走り、その後に素振り1000本、そして前世の記憶にある合気道の型稽古、メイドに混ざりながら水汲み。それが終わると、汗を流してから朝食。午前中はマナーや歴史・外国語の勉強(理数系は前世チートがあるので省いた)。午後からは魔法訓練。夕食後は、目が開けていられなくなるほどの眠気と戦いながらお風呂に入り、ベッドへ倒れこむように寝る。
クロエは、そんな生活を続けてようやく5才の誕生日を迎えた。
「「クロエ、誕生日おめでとう~!」」
クロエの本当の誕生日は不明だったが、辺境伯に転移してきた日をクロエの誕生日として毎年祝ってきた。
「誕生日おめでとう。クロエも5才になったから、今日から表立って魔法の使用も解禁ね」
「これからはダンやロイと一緒に辺境伯騎士団の訓練に参加していいぞ」
「誕生日のプレゼントに、クロエ専用のかわいい辺境伯騎士団の制服と訓練服も作ったのよ。今度みんなで騎士団の制服を着て肖像画を描いてもらいましょうね」
「クロエ、誕生日おめでとう」お母様の兄のコーナー侯爵もクロエの誕生日に駆けつけてきてくれた。
「伯父様、ありがとうございます!」
「クロエも5才か……。時が経つのは早いものだな。そうだ、食事が終わったら、みんなに話がある。ダンやロイにも聞いておいてもらいたい。私とレーナの弟マックスと、そしてクロエについての話だ」
クロエの誕生日の夕食会を終えた後、全員で談話室に移動し、メイド達を下がらせてからコーナー侯爵は部屋に防音の結界を張った。そして、コーナー侯爵は、ソファに深く腰を下ろすと小さくため息をついてから話はじめた。
「クロエが5歳になった。近日中に魔力と属性が国に報告される。魔力量は実際にクロエが持つ半分の魔力量で申告するということだったが、闇と光の両方を持つ者は希少だ。ブラウン辺境伯家とコーナー侯爵家はこの国で最も魔力を有する家系だが、この国のほとんどの者は小さな生活魔法を使用できるぐらいで属性を2つ以上持つ者は稀だ。だからクロエの属性が国に報告されると、クロエを我が物にしようという輩がでてくる」
「ああ、私達も同じことを想定したんだ。その対策の1つとして、クロエの自衛のために魔法訓練を積み重ねてきた。しかし光魔法についてはレーナが指導してくれていたが、なかなか闇魔法の使い手がいなくて闇魔法のレベルが上げれていないんだ」
コーナー侯爵は少し思案したあと、何か閃いたようにクロエを見た。
「クロエ、ヴァンパイア国に興味はないか?」
「ヴァンパイア国ですか?」
「あぁ。ヴァンパイア国の魔術師には闇魔法使いが多いんだ。実はヴァンパイア国に知り合いのシルバーズ侯爵という方がいるんだが、ヴァンパイア国でも最高峰の闇魔法使いだ。もしクロエが闇魔法を学びたいのであれば、彼から学んだほうがいいと思う。クロエの魔力量を考えると、中途半端な魔術師では指導は難しいと思う」
「たしかに……。普通レベルの魔術師では、クロエを指導できないわね」
「それにな……、今日の本題なのだが、マックスは、そのシルバーズ侯爵に匿われていたんだ。クロエを守るために、レーナにもこのことは伝えていなかったが……」
「はっ?どういうことなのお兄様!」
「マックスは、ヴァンパイア国の王立魔具研究所にいた時に、シルバーズ侯爵の養女であるシエラ嬢と出会って結婚の約束をしていたんだ。シエラ嬢は他国の王女だったが出自を隠してヴァンパイア国のシルバーズ侯爵家の養女として暮らしていた。二人は表立って結婚することができないために、とある場所で身を隠して暮らしていたらしい。そしてシエラ嬢が出産してすぐに、王女を探していた者たちに二人は襲われて……、そしてシエラ嬢はクロエを抱きかかえてレイラのいる辺境伯へ転移してきたということなんだ。緊急時のために、マックスが転移の魔道具にレイナのいる辺境伯城を印していたんだろう……」
「ということは、マックスとそのシエラ様がクロエの実親なのね……」
「あぁ、間違いない」
ダンとロイは、「俺たちが守るから大丈夫だ……」と言ってクロエの手を握りしめた。
クロエは、ダンとロイの手を握りながら「お兄様ありがとうございます。私は大丈夫です」と言うと、コーナー侯爵に向き直った。
「伯父様、お話してくださってありがとうございました。私の実の父が大好きなお母様と血が繋がっていると聞いて嬉しかったです」
泣き崩れていたレーナの肩を抱きしめながら、ジョンはクロエを優しい眼差しで見ていた。
そして、ジョンは父親から辺境伯の顔に表情を変えてクロエの瞳を見つめた。
「クロエは今日で5歳になった。普通の貴族の5歳児なら、まだ甘えて過ごしてもいい年齢だ。しかし、クロエにはすでに成人した前世の記憶がある。だから、これからのクロエの生き方はクロエに選択を委ねることにしようと思う」
「ジョン!それは……」
「クロエ、選択肢は3つだ。1つは、ヴァンパイア国のシルバーズ侯爵から闇魔法を学ぶ。2つ目は、このままブラウン辺境伯で暮らし騎士団で訓練を積んでいく。3つ目は、クロエという名の辺境伯令嬢を亡くなったことにして遠い他国で別の人物として暮らす」
「はあっ?父上!なんてこと言うんだよ!クロエは俺たちが守るから!」
ダンとロイは、ダンッ!と立ち上がって、拳を震わせながらジョンに大声を上げた。
「ダン、ロイ。お前達はまだまだ弱い。マックスやシルバーズ侯爵が守り切れなかったものだ。クロエが辺境伯でこのまま暮らしたいというのなら、私達は全力でクロエを守る。しかし、敵は私達以上の力を持っているのではないかとも想定できる」
ダンとロイは何も言い返せず、俯いて拳を震わせていた。
クロエは、全力で自分を守ろうとしてくれている家族やコーナー侯爵に心から感謝した。前世でも里親になってくれていた両親がいたが、自分に対して遠慮がちに接していたのが感じられ、とても寂しかったのだ。
クロエは、状況と自分の気持ちを整理するために目を瞑って集中した。
まずは状況の整理。
選択ー1:シルバーズ侯爵から闇魔法を学ぶためヴァンパイア国に行く
*メリットとしては、闇魔法を極めることができるかもしれない
*デメリットは、辺境伯の家族と離れて暮らさなければいけないこと
選択ー2:今まで通りに辺境伯で暮らし、騎士団や魔術師団と一緒に訓練を積んでいく
*メリットは、辺境伯のみんなとずっと一緒にいられること
*デメリットは、辺境伯では闇魔法を学ぶことが難しいこと。そして敵が来た場合、辺境伯のみんなを危険な目に合わせてしまうかもしれないとうこと
選択ー3:クロエという名の辺境伯令嬢を亡くなったことにして、他国で別人として暮らす
*メリットは、辺境伯のみんなを危険な目に合わせなくてすむ
*デメリットは……、寂しいなぁ。
そして、私の気持ちは? 私はどうしたい……?
私は、家族や辺境伯のみんなと一緒に暮らしたい。
私は、みんなを危険な目に合わせたくない
私は、みんなを守りたい
私は、辺境伯のみんなが大好き
私は、逃げたくない
……あっ、答えが出たわ。ふふっ、私らしくていいわ!私の選択は、これでいい。
「お父様、私、答えがでました」
ダンとロイは、目に涙を浮かべながらクロエを見つめていた。
「私、ヴァンパイア国にいきます。そしてシルバーズ侯爵から闇魔法を学びたいと思います」
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