妖刀浪人と生贄聖女~追放されたサムライは新たな主を見つけたので、復帰命令は御免蒙る!~

白羽鳥(扇つくも)

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18:拙者、国外を目指すでござる

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 その日の夜は脅しが効いたのか誰も侵入してこなかったので、俺は安心してマヤ様の部屋の前で眠る事ができた。また一緒に……とかせめて自分の部屋でとも言われたけれど、長年の習慣でこちらの方が落ち着くのだ。


 そして日が明けて俺たちを待っていたのは、案内役を頼まれた商人と、サウーラよりはかなり小さいが馬ほどはあるドラゴンの仲間だった。

「隣国の商人をしております、ベナンと申します。地下道までの移動手段は、こちらの走竜に乗っていただきます」
「ふわぁ~、大きなトカゲ!」

 物珍しげに近付こうとしたマヤ様は、ガウッと吼えられると縮こまって俺の後ろに隠れてしまった。アピス酋長は愉快そうにゲラゲラ笑っている。

「このジャングルの神とも言うべきサウーラの一族は、我がビーウィが管理していると言っていい。この走竜も人間の乗り物として進化した亜種だ。ただ馬に比べると気性が荒くて乗り心地も最悪でな……イェモン殿、乗馬はできるか?」
「ああ、前の主に連れられて遠出していたからな」
「なら、マヤ殿はイェモン殿に乗せてもらうといい」
「そうします……」

 こうして俺たちは荷物をまとめ、出立する事になった。集落の人たちには保存食や数日分の着替えなども融通してもらう。逆に私物を強請られたりもしたが。

「イェモン様、あなた様がお戻りになられた際に困らないように、クラシックパンツを一着お譲りいただけませんか? 参考にして量産したいのです」
「男性用下着だぞ、あれ。こっちで作るって」
「ああいう形状はこちらでは流通していないからな。今ならシェアを独占し放題だろう」

 いいのか、それ?
 女が強いとは聞いていたが、この肉食っぷり。結局お目にかかれなかったが、種馬の皆さんもさぞ苦労されているに違いない。他人事ながら同情しつつ走竜の下に戻ると、マヤ様がむくれていた。

「イェモンって、モテるんだね」
「侍が物珍しいだけでござろう。ただの玩具でござる」
「ほんとかな……?」

 疑わしそうなところを機嫌取りってわけでもないが、俺はマヤ様に宝石のついたペンダントを渡す。

「これを酋長から、主にと預かって参りました」
「わっ、キレイ! 何だろこれ?」
「どうやら魔除けの効果のあるアクセサリーとか」

 後ろに回って首にかけると、くすぐったいのか身を捩っていたが、その後は満足げに何度も手に取って眺め回していた。

「ねえ、どう? 似合ってる?」
「天下一でござる」
「えへへ~」

 何度も同じ事聞くのも、その度照れるのも狂おしいほど可愛いな!
 準備が整ったところで酋長たちに別れを告げ、二頭の走竜は集落を出たのだった。

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