10 / 43
第二章 証拠集めは入念に
第十話 見られてしまいました
クレイグ殿下との婚約を破棄すると決意した翌日。私は早速、証拠集めに取り掛かった。
この世界には前世のようにカメラやボイスレコーダーといった機械は無い。
そのため、聞き取り調査や物的証拠が主に必要になる。
どれほど多くの証拠が集められるか分からないが、とにかく地道にやるしかない。
私は今日も、殿下の様子を観察してみることにした。
「今日は、その、あれだ」
例によってサロンでお茶をしている時、殿下はそう切り出した。
「あれ、とは何でしょうか」
「ええと……そうだ、母上と茶を飲む約束をしていて」
頼まれ事が増えた時期から雑な言い訳になったとは思っていたが、最近の殿下は言い訳をしようと頭の中で考えていることまで口に出るようになった。
今回など、小さく「そうだ」と言ってしまっている。今思い付きました感が甚だしい。
数年前は、言いくるめていると知っている私ですら本当のことだと思い込んでしまいそうになるくらい、上手に口がまわっていたのだけれど。
雑で良いと思い過ぎているのだろう。
それでもこちらとしては口を滑らせてもらった方が、証拠を集めやすくなるので好都合だ。
というか、何だろう。
最近の殿下は段々馬鹿に──じゃなくて、頭が緩くなっている気がする。
……「頭が緩くなっている」って言うのもちょっとアウトか。
言葉にしたら不敬罪ね。危ない危ない、気を付けないと。
思っているだけでも良くないのよ。そのうち殿下みたいに口に出ちゃうから。
私の場合は、間違え続けたら首が飛ぶ。
死刑の執行方法は乙女ゲームでは描写されていなかったけれど。
そんなことを思いながら、帰る支度を終えた殿下を見送る。
……さて、尾行してみるかな。
私は空になったティーカップをテーブルの上に置き、鞄を持ってサロンを後にする。
さりげなく辺りに目をやると、少し離れた場所で金髪の王子の姿を見つけた。
彼が向かった先は、校舎裏だ。
校舎裏は校舎内や校庭、中庭などと違い、人の通りはあまり無い。
人が来るとしても、職員の方々がゴミ袋をゴミ捨て場へ捨てるか、小さな花壇の水やりをするぐらいだ。
今はすでに日が傾き始めており、帰る生徒もたくさんいる。
この時間ならば尚更人は来ないだろう。
これは怪しい。
すると、殿下は校舎裏にある水汲み場の裏手へと回った。
水汲み場はレンガ造りの建物で、出入りがしやすいように扉はない。
そのため、向こう側の様子はよく見える。
私は柱の裏に隠れ、彼の様子を窺うことにした。
彼は数メートル先まで歩き、立ち止まる。すると、声が聞こえてきた。
「すまない、待ったか?」
「いいえ、クレイグ様。私も先程着いたところですわ」
そこにいたのは、思った通りカミラ様だ。
二人は並んでベンチに腰をおろした。
密会だ。こんなところでも会っているのかと驚きつつ、私は制服のポケットからメモ帳を取り出した。
このメモ帳は、殿下の浮気の記録をしておこうと思い、日付や時間、場所などを記すために用意したものだ。
後から見返して密会の傾向を掴めたり、婚約破棄の際に使えたりするかもしれないと考え、昨日準備しておいた。
メモ帳にさっと書き込み、再び彼らの様子を窺う。
しばらく二人は談笑でもしているらしかったが、ふとよく見ると殿下がカミラ様の顔に手を添えている。
そしてそのまま、彼はカミラ様に口付けをした。
「うわあ……せめて婚約破棄してからにしなよ」
思わず虫を見るような目で本音を吐いてしまう。
婚約当初から殿下に恋愛感情は無かったため、そういう身体的な接触を彼としたことはないし、したいとも思わない。
非難しているのは私へ愛を向けて欲しいからでは無く、周囲に彼らの関係性が明るみになった時、私に迷惑をかけられたら溜まったものではないからだ。
いくら校舎裏とは言え、誰も来ないという保証は無い。
そんな私の憂慮など、向こうは知らないのだろう。
知っていたら、こんな場所であんなに何度も口付けなどしないはずだ。
「というか何で見たくもない、他人のキスシーンを見なきゃいけないのよ」
恋愛ドラマじゃあるまいし。
「ほんとだよね」
……ん?
ふいに隣から、聞こえてくるはずのない声が聞こえた。
ここは校舎裏。しかも皆が帰り始める時間だ。
はっとして横を向くと、そこにはある人物が立っていた。
「……っ!?」
驚きのあまり大きな声を出してしまいそうになり、慌てて口を押さえる。
そして私は、彼に向かって恐る恐る口を開いた。
「……ご、ごきげんよう」
「やあ」
若干声が震えたが、彼はそんな私には言及せず口を開く。
「面白そうなことしてるね?」
彼はにこにこと笑いながら、私の目を見つめた。
まさか、こんなところに人が、しかもこの人がいるとは思ってもみなかった。
厄介な場面を見られたわね、と思いながら、私は長い溜め息をついた。
この世界には前世のようにカメラやボイスレコーダーといった機械は無い。
そのため、聞き取り調査や物的証拠が主に必要になる。
どれほど多くの証拠が集められるか分からないが、とにかく地道にやるしかない。
私は今日も、殿下の様子を観察してみることにした。
「今日は、その、あれだ」
例によってサロンでお茶をしている時、殿下はそう切り出した。
「あれ、とは何でしょうか」
「ええと……そうだ、母上と茶を飲む約束をしていて」
頼まれ事が増えた時期から雑な言い訳になったとは思っていたが、最近の殿下は言い訳をしようと頭の中で考えていることまで口に出るようになった。
今回など、小さく「そうだ」と言ってしまっている。今思い付きました感が甚だしい。
数年前は、言いくるめていると知っている私ですら本当のことだと思い込んでしまいそうになるくらい、上手に口がまわっていたのだけれど。
雑で良いと思い過ぎているのだろう。
それでもこちらとしては口を滑らせてもらった方が、証拠を集めやすくなるので好都合だ。
というか、何だろう。
最近の殿下は段々馬鹿に──じゃなくて、頭が緩くなっている気がする。
……「頭が緩くなっている」って言うのもちょっとアウトか。
言葉にしたら不敬罪ね。危ない危ない、気を付けないと。
思っているだけでも良くないのよ。そのうち殿下みたいに口に出ちゃうから。
私の場合は、間違え続けたら首が飛ぶ。
死刑の執行方法は乙女ゲームでは描写されていなかったけれど。
そんなことを思いながら、帰る支度を終えた殿下を見送る。
……さて、尾行してみるかな。
私は空になったティーカップをテーブルの上に置き、鞄を持ってサロンを後にする。
さりげなく辺りに目をやると、少し離れた場所で金髪の王子の姿を見つけた。
彼が向かった先は、校舎裏だ。
校舎裏は校舎内や校庭、中庭などと違い、人の通りはあまり無い。
人が来るとしても、職員の方々がゴミ袋をゴミ捨て場へ捨てるか、小さな花壇の水やりをするぐらいだ。
今はすでに日が傾き始めており、帰る生徒もたくさんいる。
この時間ならば尚更人は来ないだろう。
これは怪しい。
すると、殿下は校舎裏にある水汲み場の裏手へと回った。
水汲み場はレンガ造りの建物で、出入りがしやすいように扉はない。
そのため、向こう側の様子はよく見える。
私は柱の裏に隠れ、彼の様子を窺うことにした。
彼は数メートル先まで歩き、立ち止まる。すると、声が聞こえてきた。
「すまない、待ったか?」
「いいえ、クレイグ様。私も先程着いたところですわ」
そこにいたのは、思った通りカミラ様だ。
二人は並んでベンチに腰をおろした。
密会だ。こんなところでも会っているのかと驚きつつ、私は制服のポケットからメモ帳を取り出した。
このメモ帳は、殿下の浮気の記録をしておこうと思い、日付や時間、場所などを記すために用意したものだ。
後から見返して密会の傾向を掴めたり、婚約破棄の際に使えたりするかもしれないと考え、昨日準備しておいた。
メモ帳にさっと書き込み、再び彼らの様子を窺う。
しばらく二人は談笑でもしているらしかったが、ふとよく見ると殿下がカミラ様の顔に手を添えている。
そしてそのまま、彼はカミラ様に口付けをした。
「うわあ……せめて婚約破棄してからにしなよ」
思わず虫を見るような目で本音を吐いてしまう。
婚約当初から殿下に恋愛感情は無かったため、そういう身体的な接触を彼としたことはないし、したいとも思わない。
非難しているのは私へ愛を向けて欲しいからでは無く、周囲に彼らの関係性が明るみになった時、私に迷惑をかけられたら溜まったものではないからだ。
いくら校舎裏とは言え、誰も来ないという保証は無い。
そんな私の憂慮など、向こうは知らないのだろう。
知っていたら、こんな場所であんなに何度も口付けなどしないはずだ。
「というか何で見たくもない、他人のキスシーンを見なきゃいけないのよ」
恋愛ドラマじゃあるまいし。
「ほんとだよね」
……ん?
ふいに隣から、聞こえてくるはずのない声が聞こえた。
ここは校舎裏。しかも皆が帰り始める時間だ。
はっとして横を向くと、そこにはある人物が立っていた。
「……っ!?」
驚きのあまり大きな声を出してしまいそうになり、慌てて口を押さえる。
そして私は、彼に向かって恐る恐る口を開いた。
「……ご、ごきげんよう」
「やあ」
若干声が震えたが、彼はそんな私には言及せず口を開く。
「面白そうなことしてるね?」
彼はにこにこと笑いながら、私の目を見つめた。
まさか、こんなところに人が、しかもこの人がいるとは思ってもみなかった。
厄介な場面を見られたわね、と思いながら、私は長い溜め息をついた。
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【スカッと】実は、悪役令嬢で聖女なんです。
三谷朱花
ファンタジー
栗原南17才。ネット小説ではよく読んだシチュエーションだった。だから、自分がそうだとわかった時、覚悟をした。勇者か聖女か悪役令嬢か。はたまた単なるモブか。
与えられた役割は、サリエット・フィッシャー公爵令嬢。
悪役令嬢、なのに聖女。
この二つの役割は、南にとっては成立する気がしない。しかも、転生してきた世界は、大好きで読み込んでいた物語。悪役令嬢であるサリエットのほかに聖女が別にいるはずだった。けれど、サリエットは間違いなく聖女としての力も持っていて……。だが、悪役令嬢としての物語は進んでいく。
この物語、一体どんな物語になるのか、南にはさっぱりわからない。
※アルファポリスのみの公開です。
※12時頃に更新します。
ぼっちで死んだら、創造主が迎えに来た!
旬乃助
ファンタジー
(パ―――ン!カンカンカンカン!)(がやがやがや)(ズンチャカ♪ズンチャカ♪…)(ピコ…ピコ…ピコ…)(がやがやがや)一斉に行き交う人と車…。
少しばかりのお惣菜を機械にかざし…小さな財布から小銭を探す…「お金は此方に入れて下さいポイントカードは…」せきたてる言葉に身体が竦くむ。
街の喧騒から逃れる様に家路につく。そんな日々が続いている。
生をなして92年、何時お迎えが来ても良い様 身なりを整え床に就く…。
…
…
…『ニャー』
『…また、目覚めて…し…まった…?』 …? …? う うーん?…「「「…?…眩しいわ!!!」」」…白銀の世界が何処までも続いている…
―――「「「うるさいぞ!!!!」」」―――
「⁉…。」 何処からか声が…神?…女神?…口の悪い少女が立っていた…
「おぬしはこれから別世界に転生する」「…?」なんですと⁉「また人生をやれと⁉」やっとお迎えが来たと思ったら また いちからやれと…。「不満か?」そりゃあ不満ですとも、理不尽な世界、神がいるなら何とか出来なかったのか!
主人公小梅と創造主マロンが繰り広げるハチャメチャ異世界ファンタジー
ちょっぴり笑えてちょっぴり切ない チートな物語
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
転生した本好き幼女は、冷徹宰相パパのために暗躍します!~どんなピンチも本の世界に入れる『ひみちゅのチート』で解決でしゅ~
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
※最終話まで予約投稿済