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第五話
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「怜奈! ここ教えて!」
「あ、俺はここ!」
「え、な、なんでわたし」
「いいからいいから!」
あたふたとする私の手を捕まえて祈るように両手でぎゅっとしてくるのは、綺麗なブロンドの髪を後ろで乱雑に一つにまとめた女の子、ラフェナ・ルイス。
7歳の女の子に対する私は、過去のことを考えれば20歳以上の差があるはずなのに強引さにやられてしまう。
いや、よくよく考えたらこんなに強引な子もいなかったし。
そして、
「ここなんだけど」
すでに教えてもらう気満々で教科書のページを指さして見せてくるのは、シリィラ・ジーラ。
その頭にはしっかりと寝癖を残しているが本人に気にした様子はない。
「だから、なんでわた.....」
「怜奈なら大丈夫!」
「俺も怜奈に教えてもらうっておふくろに行ってきた!」
私の言葉に見事にかぶせて二人は告げてくるが、そうじゃない。
完璧に教えられるかどうかはわからないけど、座学はそれなりに自信がある。
気になるのは、
「なんで私の家にいるの?」
なんで何の前触れもなく、リビングの机で待っているかだ。
「え?」
「え?」
「「え」」
あとなんで両親もびっくりしてるんだろう。
今日は珍しく、森に連れてかれることも学校があるわけでもなかったのでご飯を食べた後は近くを散歩していた。
どうしてもまだ子供のためにどこまでも一人で行けるというわけではないが、体が小さい今はそれだけで十分だ。
ちょっと森のほうに足を延ばしてこの世界にもいる小動物や、湖で魚を探してみたり、人によってはどこも面白みのなさそうに見えるそれが、このおとぎ話のような世界で生きる私にとってはかけがえのないもののように感じた。
それこそ、庇護欲というか母性というかそういった年とともに養われるそれがある分、小動物を見ると胸が高鳴るのもあり、ちょっとした冒険が楽しくついついお昼近くまで歩き回っていた。
ーーちょっと遊びすぎた。
自分でも浮かれていたと思いつつも、軽やかな足取りで我が家の玄関を開けたとき、
「「怜奈!!」」
玄関空けたら、男女が一組いたわけで...
--------------------
「怜奈ってすごく頭いいんですよ!」
「そうそう、俺なんて全部怜奈に聞いてるよ!」
「そうなの?! 普段全然教えてくれないから」
「おお、さすがうちの娘だ」
「いつも息子がお世話になっております」
「いつも娘が.......」
目の前で行われる、庭に広げたテーブルを囲んでの謎の井戸端会議。
行先は教えていたらしい二人のご両親が、お昼時に帰ってこない子供を迎えに来ればあれよあれよとバーベキューの流れに。
「怜奈ちゃん、いつもラフェナの相手ありがとね」
「いえ、こちらこそです」
「ほんと、怜奈ちゃんと一緒に遊ぶためにラフェナも早起きするようになって大助かりよ」
「怜奈ってお姉さんみたいなの!」
お母さんの言葉にラフェナはそう胸を張ってこたえるが、私からすれば彼女のほうがお姉さんのような気がする。
内気な私をみんなのもとへ連れて行ってくれるお姉さん。
別に家だって、村だから遠くはないがすぐ横というわけではない。
それに何か面白いことを言ってあげれるわけでも。
それでもラフェナは毎日私にかかわってくれる。
めんどくさいと思うときもあるけど、それ以上に嬉しいのは事実だ。
「怜奈ちゃん。 うちのバカ息子もありがとね」
「あ、そんなことないです」
「うちの、旦那ともどもペンの握り方を知らないから」
なんというかとんでもないたとえで、シリィラのお母さんに言われるが件の二人と、私のお父さんで組み手を始めようとしているあたりなんとも否定しづらい。
そこからは、お母さんも交えてお料理のことを教えてもらうことにした。
「....................ふーん、だから昔は『切る切る』いってた髪を伸ばしてるのね。怜奈ちゃんにあこがれて」
「ママ!」
「あ、俺はここ!」
「え、な、なんでわたし」
「いいからいいから!」
あたふたとする私の手を捕まえて祈るように両手でぎゅっとしてくるのは、綺麗なブロンドの髪を後ろで乱雑に一つにまとめた女の子、ラフェナ・ルイス。
7歳の女の子に対する私は、過去のことを考えれば20歳以上の差があるはずなのに強引さにやられてしまう。
いや、よくよく考えたらこんなに強引な子もいなかったし。
そして、
「ここなんだけど」
すでに教えてもらう気満々で教科書のページを指さして見せてくるのは、シリィラ・ジーラ。
その頭にはしっかりと寝癖を残しているが本人に気にした様子はない。
「だから、なんでわた.....」
「怜奈なら大丈夫!」
「俺も怜奈に教えてもらうっておふくろに行ってきた!」
私の言葉に見事にかぶせて二人は告げてくるが、そうじゃない。
完璧に教えられるかどうかはわからないけど、座学はそれなりに自信がある。
気になるのは、
「なんで私の家にいるの?」
なんで何の前触れもなく、リビングの机で待っているかだ。
「え?」
「え?」
「「え」」
あとなんで両親もびっくりしてるんだろう。
今日は珍しく、森に連れてかれることも学校があるわけでもなかったのでご飯を食べた後は近くを散歩していた。
どうしてもまだ子供のためにどこまでも一人で行けるというわけではないが、体が小さい今はそれだけで十分だ。
ちょっと森のほうに足を延ばしてこの世界にもいる小動物や、湖で魚を探してみたり、人によってはどこも面白みのなさそうに見えるそれが、このおとぎ話のような世界で生きる私にとってはかけがえのないもののように感じた。
それこそ、庇護欲というか母性というかそういった年とともに養われるそれがある分、小動物を見ると胸が高鳴るのもあり、ちょっとした冒険が楽しくついついお昼近くまで歩き回っていた。
ーーちょっと遊びすぎた。
自分でも浮かれていたと思いつつも、軽やかな足取りで我が家の玄関を開けたとき、
「「怜奈!!」」
玄関空けたら、男女が一組いたわけで...
--------------------
「怜奈ってすごく頭いいんですよ!」
「そうそう、俺なんて全部怜奈に聞いてるよ!」
「そうなの?! 普段全然教えてくれないから」
「おお、さすがうちの娘だ」
「いつも息子がお世話になっております」
「いつも娘が.......」
目の前で行われる、庭に広げたテーブルを囲んでの謎の井戸端会議。
行先は教えていたらしい二人のご両親が、お昼時に帰ってこない子供を迎えに来ればあれよあれよとバーベキューの流れに。
「怜奈ちゃん、いつもラフェナの相手ありがとね」
「いえ、こちらこそです」
「ほんと、怜奈ちゃんと一緒に遊ぶためにラフェナも早起きするようになって大助かりよ」
「怜奈ってお姉さんみたいなの!」
お母さんの言葉にラフェナはそう胸を張ってこたえるが、私からすれば彼女のほうがお姉さんのような気がする。
内気な私をみんなのもとへ連れて行ってくれるお姉さん。
別に家だって、村だから遠くはないがすぐ横というわけではない。
それに何か面白いことを言ってあげれるわけでも。
それでもラフェナは毎日私にかかわってくれる。
めんどくさいと思うときもあるけど、それ以上に嬉しいのは事実だ。
「怜奈ちゃん。 うちのバカ息子もありがとね」
「あ、そんなことないです」
「うちの、旦那ともどもペンの握り方を知らないから」
なんというかとんでもないたとえで、シリィラのお母さんに言われるが件の二人と、私のお父さんで組み手を始めようとしているあたりなんとも否定しづらい。
そこからは、お母さんも交えてお料理のことを教えてもらうことにした。
「....................ふーん、だから昔は『切る切る』いってた髪を伸ばしてるのね。怜奈ちゃんにあこがれて」
「ママ!」
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